怪獣大戦争
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196X年[注釈 5]木星の裏側に発見された13番目の新衛星「X星」の探険に派遣された地球連合宇宙局の宇宙パイロット・富士一夫とグレンは、高度な文明を有しながら宇宙怪獣キングギドラによる襲撃で地底での生活を強いられているX星人と出会う。X星人の統制官はキングギドラへの対抗手段として、ガンの特効薬と引き換えに地球怪獣のゴジララドンを貸してくれと申し出た。

帰還した富士たちがX星人の要請を発表したことにより、地球は歓迎ムード一色となる。さらに、防衛軍の調査でX星人の指摘どおりゴジラが日本の明神湖にいることが判明する。数日後、円盤で地球を訪れた統制官たちとの交渉が成立するが、富士とグレンはどこかうさん臭さを感じていた。かくして、X星に運ばれたゴジラとラドンはキングギドラを撃退する。一方、富士の妹であるハルノの恋人にして町のしがない発明狂・鳥井哲男は、波川と名乗る美女から自分の発明品である不協和音を発する女性用護身器「レディガード」の商品化契約を持ち掛けられるが、いつまで経っても交渉は進まない。彼女の勤務先である「世界教育社」を何度も訪れるうち、波川がグレンの恋人であることを知って不審に思った鳥井は世界教育社の所有する目倉島の別荘へ潜入するが、捕らえられてしまう。

これらはすべてX星人の罠であり、世界教育社は彼らの地球侵略前線基地の隠れ蓑だった。キングギドラはX星人の電磁波で操られており、ゴジラやラドンも同じく彼らの兵器となって秘密裏に地球に再配置されていた。X星統制官がガンの特効薬データを装った音声テープで地球の植民地化を宣言して世界中が暴動で混乱に陥る中、X星人であるにもかかわらずグレンを本心から愛するようになっていた波川は彼への愛を貫いて同胞たちに処刑され、X星人はグレンを捕らえる。

地球に武力を示して24時間以内の降伏か滅亡の選択を迫るX星人に対し、地球連合宇宙局は電磁波を遮断する「Aサイクル光線」でX星人の怪獣コントロールを破る計画を密かに進める。一方、目倉島に囚われた鳥井とグレンは波川の遺した手紙から、レディガードの発する音波がX星人の弱点であったことを知り、隠し持っていたレディガードを用いて島を脱出する。鳥井たちの提案により、レディガードの音波を増幅してX星人に反撃する作戦が計画に加わる。

異変を察知したX星人は期限を待たず円盤と怪獣たちによる総攻撃に移行するが、グレンたちの手配によってテレビやラジオの音量を最大にするよう要請するアナウンスが放送され、レディガードの音波の中継が始まる。その結果、X星人はその設備ごと致命的な打撃を受け、怪獣たちはAサイクル光線の放射でコントロールから脱する。防衛軍の攻撃によって侵略基地を失ったX星統制官は、未来への脱出指令を口走りながら円盤とともに自爆する。

怪獣たちは自我のままに闘い、もつれ合うようにして水中へ転落する。ゴジラとラドンは消息不明となり、キングギドラは宇宙へ逃亡するという結果に富士とグレンは喜び合うものの、休息の間もなくX星の再調査を命じられ肩を落とすのだった。
登場キャラクター
ゴジラ
詳細は「
ゴジラ (2代目)#『怪獣大戦争』」を参照
ラドン
詳細は「ラドン (架空の怪獣)#『怪獣大戦争』」を参照
キングギドラ
詳細は「キングギドラ (昭和ゴジラシリーズ)#『怪獣大戦争』」を参照
X星人
詳細は「X星人#『怪獣大戦争』のX星人」を参照
登場人物
富士 一夫(ふじ かずお)
[50]
本作品の主人公。地球連合宇宙局局員[出典 13]。短気で、妹思いな性格[51]。P-1号でのX星調査でX星人に遭遇する[50]
グレン[53][54][注釈 6]
もう一人の主人公。地球連合宇宙局局員であるアメリカ人[54]。冷静沈着な性格で、頭に血が上りやすい富士をサポートする[53]。富士とともにX星調査に赴く[53][54]。世界教育社の波川とは恋人であるが、その正体がX星人であることは知らなかった[出典 14]
富士 ハルノ(ふじ ハルノ)[50][注釈 7]
富士一夫の妹で、兄と同様に宇宙局に勤務する[出典 15]。恋人の鳥井哲男からレディガードを買い取ろうとする波川を不審に思う[51]
桜井博士(さくらい はかせ)
地球連合宇宙局の科学者で、X星探査計画の責任者[55][56]。鳥井の発明したレディガードをもとに、Aサイクル光線車を開発する[52]
鳥井 哲男(とりい てつお)[出典 16][注釈 8]
ハルノの恋人である発明家[出典 18]。収入が安定せず、気も弱いため一夫からは信頼されていないが、発明品の一つであるレディガードが偶然にもX星人の弱点である音を発するものであったことから、X星人の計画に巻き込まれることとなる[59][57]

書籍『ゴジラ画報』では、脚本家の金城哲夫がモデルと推測している[9]

登場兵器・メカニック
架空
P-1号(ピーワンごう)
[出典 19]
地球連合宇宙局の新鋭木星探検用宇宙ロケット[出典 20]。2人乗りで[出典 21][注釈 9]、富士・グレンによるX星探査に用いられた[65]。地球からX星まで一切の補給なしで行ける高性能を誇る。昇降用リフトやNBCセンサーを装備しているが、非武装である[出典 22]。最初の調査の際にX星人に詳しく分析されており、後にガンの特効薬のデータを取りに来た富士・グレン・桜井博士を地球に帰還させるために3人乗りのコピー機がX星人によって用意されたが[72][注釈 10]、X星人の地球攻撃の際に円盤の攻撃で破壊される[60]

デザインは渡辺明井上泰幸[62]。造形物は1サイズのミニチュアだけでなく、X星への着陸シーン用に実物大の下端部分も作られている[73]

その後、このミニチュアは『ウルトラマン』第16話「科特隊宇宙へ」で岩本博士の火星ロケット研究室に飾られた[74][64]ほか、『クレージーの大爆発』(1969年)ではポスターなどの宣伝素材に使われている。また、グレンたちの宇宙服も、そのヘルメット部分は『ウルトラマン』第25話「怪彗星ツイフォン」に登場する子供の宇宙服に流用されており[75]、現存する。

Aサイクル光線車[出典 23][注釈 11]
X星人が怪獣たちを操る電磁波を遮断するためのAサイクル光線を放射する[出典 24]、地球連合宇宙局の切り札である大型車両[65]。地球連合宇宙局の桜井博士が開発した[52]。自走できないため、牽引車を必要とする[76][79]。車体には防犯ブザーレディガードの出す音波を元にした、X星人が極端に嫌う不協和音を流すためのスピーカーを装備している[出典 25]

デザインは豊島睦が手掛けた[85][注釈 12]。模型製作は「アカツキ工芸」に外注され[85][62][注釈 13]、大型サイズのミニチュア2台と小型サイズのミニチュア4台以上が作られた[87][注釈 14]


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