性_(生物学)
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植物では、二倍体生物は減数分裂によって単数体の一種の胞子を生成し、この胞子は細胞分裂を繰り返して多細胞の単数体生物を作り出すことができる。いずれの場合も、配偶子は緑藻類のアオサのように外見が似ていることもあれば(同型配偶子(英語版))、大きさなどが異なることもある(異型配偶子(英語版))[11]。その大きさの違いは、異型配偶子の一種である卵生殖(英語版)において際だっており、小さな運動性の配偶子が、はるかに大きく運動性のない配偶子と結合する[12]

慣例により、異型配偶を行う生物では、大きい方の配偶子(卵子または卵細胞と呼ばれる)は雌性と見なされ、小さい方の配偶子(精子または精子細胞と呼ばれる)は雄性と見なされる。大きな配偶子を作る個体は雌性であり、小さな配偶子を作る個体は雄性である[13]。両方の配偶子を持つ個体は雌雄同体と呼ばれる。いくつかの種では、雌雄同体が自家受精(英語版)して、単独で子孫を残すことができる。
動物詳細は「有性生殖#動物」を参照ハナアブの交配

ほとんどの有性生殖を行う動物は、二倍体段階として生活し、単数体段階では単細胞の配偶子に還元する[14]。動物の配偶子には雄と雌があり、それぞれ精子と卵細胞のことを指す。これらの配偶子は結合してを形成し、その胚は新しい生物へと発達する。

雄性配偶子である精子(脊椎動物では精巣内で作られる)は、それを推進させる一本の長い鞭毛(べんもう)を持つ小さな細胞である[15]。精子は極度な凝縮細胞であり、胚発生に必要な細胞成分の多くを欠いている。精子は運動性に特化し、卵細胞を探し出し、受精と呼ばれる過程で卵細胞と融合する。

脊椎動物の場合、雌性配偶子である卵細胞は卵巣内で作られる。卵細胞は、発達中の胚に必要な栄養素や細胞成分を含む、大きくて動かない細胞である[16]。卵細胞は多くの場合、胚の発達を支える他の細胞と結びついてを形成する。哺乳類では、受精した胚は雌の体内で発達し、母親から直接栄養を受け取る。

たいていの動物は移動して、交配するために異性の配偶者を探す。水中で生活する動物は、卵と精子が周囲の水中に放出されて結合する、体外受精によって交配することができる[17]。しかし、水から離れて生活するほとんどの動物は、配偶子の乾燥を防ぐために精子を直接雌の体内に移す体内受精を行う。

ほとんどの鳥類では、排泄と生殖の両方が、総排出腔と呼ばれる単一の後部開口部を通して行われる。雄と雌は総排出腔キスと呼ばれる過程で総排出腔を触れて精子を輸送する[18]。他の多くの陸上動物では、雄は精子の輸送を補助するために、挿入器(英語版)と呼ばれる特殊な性器を使用する。ヒトや他の哺乳類では、この雄の生殖器は陰茎として知られ、雌の生殖管(と呼ばれる)に入り、性交と呼ばれる過程を通じて授精(英語版)を行う。陰茎には精液(精子を含む液体)が通る管がある。雌の哺乳類では、膣は子宮とつながっている。子宮は受精胚の発達(この過程を懐胎(英語版)という)を直接支える器官である。

動物の性行動はその運動性から、強制的な性交を伴うことがある。たとえば、一部の昆虫種では、腹腔内の傷口から雌に授精させる外傷性授精(英語版)を行うが、これは雌の健康にとって有害な過程である。
植物詳細は「植物の生殖」を参照花は顕花植物の生殖器を含む。通常、雌雄同体で、雄と雌の両方の部分を持つ。

動物と同様に、陸上植物にも特殊な雄性配偶子と雌性配偶子がある[19][20]種子植物の場合、雄性配偶子は、(やく)から柱頭への輸送中に、雄性配偶子形成細胞を保護する硬い被膜を持つ花粉内に含まれる還元性雄性配偶子によって生成される。種子植物の雌性配偶子は胚珠中に含まれている。これらは受精すると種子を形成し、(動物の)卵のように胚性植物の初期発達に必要な栄養素が含まれる。

顕花植物には生殖器が備わっている。ほとんどの顕花植物は雌雄同体であり、雄と雌の両方の部分を同じ花に持つか、あるいは同じ植物上に両方の単性花をつける。植物種の約5%は、雄・雌どちらか一方の性の個体を持っている[21]。雌雄同体または雌花の中心にある雌の部分は雌蕊(しずい、めしべ)で、これは心皮(英語版)、花柱柱頭の部位からなる。これらの生殖単位が2つ以上融合して1つの複合雌蕊を形成し、融合した心皮が子房(英語版)を形成することもある。心皮の中には胚珠(はいしゅ)があり、受精すると種子になる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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