性行為
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古事記ではイザナギイザナミがそれぞれの身体の違い(原文では、「余ったところ」と「足りないところ」と書かれている)に気付き、挿し塞いで子供(日本の島々)を作ったとある。

日本書紀には神々(イザナギイザナミ)は鶺鴒(ニハクナブリ)が交尾する様をみて、子を成す方法を知ったとある。こういった伝説のため、古来日本では結婚と鶺鴒の縁は深い。セキレイは結婚と交接を象徴する鳥となっている。

性行為に関わる民俗(性風俗)詳細は「性風俗」を参照
日本の性風俗

一部の農漁村においては、かつては
夜這いという風習があった。夜間、他人の家に押し入り、未婚の女性と性交を行う行為である。複数の男と関係を持った娘が妊娠した場合、その娘は子の父親として若衆宿の好きな男性を指名し、指名された男性はそれを受け入れることが求められた。将来の夫婦(許婚)など双方の家族が暗黙の了解のもとに行っている場合もあった。この習慣により村の団結が強化された。

古くは筆下ろし水揚げといって年頃になった若者に、遊郭で実地の性教育をほどこす風習があったという。13歳など一定の年齢に達した男女に対し、大人が相手をして性教育をしたとされる。当然、結婚まで処女童貞を守るという発想はなかった。ただし武士の娘は処女性が求められた。

江戸時代は、男女間の性行為は厳しい規則があった。夫婦関係にない男女間の性交は、不義密通と呼ばれ、「御定書百箇条」では不倫の現場を押さえた夫が、妻と相手の男を殺しても罪にならないとされた。この場合、女性の不貞に対しては厳しい制裁が課せられたが、男性のそれには寛容であった。しかし相手が人妻の場合は別で、表沙汰にするのは外聞が悪いということで実際には金銭で片を付けることが多かった。刑罰としては数日間晒し者にされて、遠島もしくは江戸所払いなどに処せられた。

欧米圏の性風俗

西欧では領主初夜権を持っていたと言われる(結婚初夜に新婦と初めて性交するのは新郎ではなく、領主であった)。ただし、この初夜権は、ほとんどの場合、新郎が代価として金銭などを支払うことによって領主から買い取ることが通例となっていたため、実質的には新夫に対する一種の「結婚」としての性格を持っていたと言える。

性交と結婚

結婚制度は性交を社会的に管理する役割を持つとともに、夫婦間の結びつきを強め、家族機能を保障する側面も併せ持っている。本能のままに行動していては、子の養育などの責務を果たさない者が増加する恐れがあるからである。

結婚しているにもかかわらず、配偶者以外の異性と性交をすることを姦通(やや遠まわしに「不倫」)と言う。2015年までの韓国第二次世界大戦敗戦までの日本のように、結婚している者が配偶者以外の異性と性交を行った場合、姦通罪に問われる国もある。 ただし、韓国の姦通罪は男女共に罰せられたが、日本の旧刑法における姦通罪の場合、罰せられるのは女性のみであった。姦通(不倫)の場合、姦通(不倫)を実行した者は刑法に違反しなくとも精神的苦痛を受けた配偶者から民事裁判を起こされ、高額な慰謝料を請求されたり、離婚されたりする場合がある[12]。また、当事者以外からの糾弾や職場からの排除といった社会的制裁が課され、時にはあらゆる社会関係が絶たれて人生が立ち行かなくなる場合もある[13]。姦通(不倫)は社会的に厳格に定められた結婚の契約に違反する事になるため、一般的に姦通(不倫)という行為は社会家庭の秩序を乱す重大な裏切り行為として扱われ、姦通(不倫)を実行した者は社会的な信用を失うことになる。

夫婦が性交を行う頻度は当然各々違うが、国によっても差異があるようである。Durex社のGlobal Sex Surveyでは、日本人の性交回数は、諸外国と比較すると少ないとされている。近年は、性交がほとんどない夫婦をセックスレス夫婦と呼ぶことも多い。厚生労働省の調査によると、1ヶ月以上性交渉のない夫婦をセックスレスとみなした場合、日本の夫婦のうち、実に32%がセックスレス状態にあるとのことである。ただし、日本の夫婦においては精神的なつながりが希薄との統計的な資料は存在しない。

結婚した夫婦が一度も膣性交(膣への陰茎の挿入)をしていない状況を未完成婚という。

人間の性交体位

コンドームメーカーのDurex社の調査によれば、世界で最もよく行われる体位は騎乗位で全体の29%。続いて後背位が28%、正常位(正しくは通常位、対面男性上位)が20%となっている。

現代日本では、男性が女性の上から被さる形の正常位の体位がその名の通り一般的と考えられているが、後背位が日本古来の性交の姿だったと考えられている。

日本では四十八手という体位のバリエーションがある。中国でいう房中術は、単なる体位や技術ではなく、男女の「気」を高める一種の健康法という要素があるという。

健康

ハーバード大学医学院によると、身体的な愛情的な親密さは体に良いとされる[14]

ストレスを和らげ、幸福感を促進するホルモンであるオキシトシンのレベルを上げるとされる[14]

性行為は女性の健康にとって重要である。新陳代謝を活発にし、免疫力を高める効果がある。頻繁な性交は、心臓発作のリスクを減らすことと関連している。膣の潤滑性、弾力性、健康を維持するのに役立つ[15]

性行為は男性にとっても適度な運動である。全体として、フォックストロット掃除卓球ゴルフをするためにコースを歩くのとほぼ同じである。週に2回を超えて性行為をした男性は、月に1回未満の性行為をした男性よりも心血管疾患を発症する可能性が45%低かった。 週に3回以上オルガスムを報告した男性は、射精の頻度が少ない男性よりも死亡率が50%低かった[16]

さらに、心臓発作から数か月以内に通常のレベルの性的活動に戻ることが、生存率の改善に関連している。健康状態の改善や配偶者との良好な関係など、健康の改善に関連する他の要因を反映している可能性がある、と研究者は述べた[17]。ケーゲル体操を行うことによって、男性も女性も、骨盤底筋を鍛えることで性的健康を改善することができる[18]
諸問題
性感染症

無症候性キャリアとの性的接触によって
性感染症になる場合がある。

2004?2007年の報告例[19] では、男性が性的接触(複数の経路が記載されたものを除く)が1,415例(うち75%が異性間)、女性が性的接触が578例(うち86%が異性間)であったとされている。

性交不能症・性機能障害

勃起不全膣痙膣内射精障害などの疾患によって性交が行なえない、射精できない、または妊娠できないという問題が生じる。医学的定義では性欲、勃起、性交、射精、極致感のいずれか一つ以上欠けるかもしくは不十分なものを指す。詳細は「性機能障害」を参照
若年の性行為

コンドームメーカーの
Durex社は主要国の初体験の統計を発表している。2005年の報告では全世界平均が17.3歳、一番年齢が高いインドが19.8歳、日本が17.2歳、アメリカが16.9歳、最も低いアイスランドが15.6歳であった [1]。

婚前交渉が一般化した近年、「初体験を済ませる年代が低年齢化している」とも言われるが、この主張は正しくないとされる。なぜなら、上述のように、過去において筆下ろし水揚げといった形で早い時期に性体験が行われていた事実があるからである。赤松啓介ら一部の民俗学者が、この点を指摘している。正しくは、性体験における性別や階層による差が縮小しただけと考えたほうが良いとされる。妊娠、性感染症などに関する知識も不十分なまま、好奇心あるいは金銭を得る目的で性行為を行うことは、将来に悪影響を残しかねないが、学校での性教育も、こうした事態にうまく対処できていないのが実情である。

自分またはパートナーが10歳代以下の時は男性器乳房タナー段階がVの状態だけでなくI?IVの状態をパートナーに見られたり接触されたりする、自分が見たり接触する場合もありえる。

10歳代では複数のパートナーと性行為を行うケースが多く、パートナーも多様化している。新しく出会ってから性行為に至るまでの期間も短いのが特徴。さらにパートナーが避妊具を拒否するなど避妊無しの性行為の割合が高く、その為に妊娠し、人工中絶をする女性が多い。


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