性格(せいかく、英: Personality)は、生物学的・環境的要因から進化する行動、認知、そして情動パターンの特徴的な集合として定義される[1]。一般的に合意されている性格の定義はないが、ほとんどの理論は、動機づけと環境との心理的相互作用に焦点を当ている[2]。レイモンド・キャッテルによって定義されたもののような伝統に基づく性格理論は、性格を人の行動を予測する特質として定義する。一方、より行動に基づくアプローチにおいては、学習や習慣を通じて性格を定義する。それにもかかわらず、ほとんどの理論は性格を比較的安定したものとみなしている[1]。
人格心理学と呼ばれるパーソナリティの心理学における研究では、行動の違いの根底にある傾向を説明しようと試みる。性格を研究するために、生物学的、認知的、学習的そして伝統に基づく理論、さらに精神力学的、人文主義的なものを含む多くのアプローチがとられてきた。パーソナリティ心理学は最初にそれを唱えた理論家ごとに分けられており、ジークムント・フロイト、アルフレッド・アドラー、ゴードン・オールポート、ハンス・アイゼンク、アブラハム ・マズロー、カール・ロジャースらによって提唱されたいくつかの有力な理論がある。 性格はさまざまな検査を通じて判断される。性格は複雑な概念であるために,性格検査の性格や尺度の次元は様々なものがあり,しばしば十分に定義されていない。性格を測定する2つの主要なツールは,客観的検査と投影的測定である。そのような検査の例としては、ビッグファイブインベントリ(BFI)、 ミネソタ多面人格目録(MMPI-2)、 ロールシャッハ・テスト 、 神経症性人格アンケート・KON-2006
測定
性格はしばしば因子分析によって大規模アンケートから統計的に抽出された因子や次元に分割される。 2つの次元にすると、多くの場合、1960年代にアイゼンクによって最初に提案されたように、内向性-外向性と神経症(情緒的に不安定-安定)の次元が使用される[6]。
ビッグファイブビッグファイブ性格特性
性格はしばしば、 ビッグファイブと呼ばれる統計的に求められた5つの因子に分けられる。これは5つの因子はそれぞれ、開放性、 誠実性、外向性、協調性、神経症傾向(または情緒安定性)である。 ビッグファイブは一般的に長期にわたって安定しており、その分散の約半分は環境の影響ではなく、人の遺伝に起因している[7][8]。
成人時の幸福と外向性の関係が子供にも見られるかどうかを調査した研究がいくつかある。 これらの知見は、うつ病の出来事を経験する可能性が高い子供を特定し、そのような子供に影響する可能性が高い治療を開発するのに役に立つ。 研究によると、子供と大人に関わらず、環境要因とは対照的に遺伝が幸福度に大きな影響を与えることが示されている。 性格は生涯を通じて安定しているわけではないが、子供の頃は特に速く性格が変化するため、子供の性格構造は気質と呼ばれている。 気質は人格の前駆体と見なされている[9]。マクレアとコスタのビッグファイブモデルは成人の性格特性を評価するが、EAS(感情、活動、社交性)モデルは子供の気質を評価するために使用される。 このモデルによって、子供の感情、活動、社交性、内気のレベルが計測される。 性格理論家は、大人のビッグファイブモデルに似た気質EASモデルを考慮している。ただし、これは上記の性格と気質の概念のが混同している可能性がある。 調査結果によると、高レベルの社交性と低レベルの内気さは大人時の外向性と同等であり、子供時代の高レベルの生活満足度
と相関している。別の興味深い発見は、外向的な行動と肯定的な感情との間に見られる繋がりである。 外向的な行動には、おしゃべり、断定的、冒険的、発信的、演技的といった要素が含まれている。 この研究においては、肯定的な影響は、幸せで楽しい感情の経験として定義され[10]、人の気質に反する方法で行動することの効果に関して調査された。 つまり、この研究が焦点を当てたのは、内向的(内気で、社会的に抑制しており、攻撃的でない)な人が外向的に振る舞うこと、そして外向的な人が内向的に振る舞うことの利点と欠点である。 内向的な人は外向的に振る舞った後に、ポジティブな感情を多く経験したが[10]、外向的な人は内向的に振る舞うと低レベルのポジティブな感情を経験し、自我消耗に苦しんだとされる。 自我消耗、または認知疲労は、自身が持つ内的性質に反する方法で公然と行動するために自身のエネルギーが消耗してしまうことである。 人々が自身の性格と対照的な振る舞いで行動するとき、その人達は、すべてではないにしても、認知に使用するエネルギーのほとんどを、この変わったスタイルの行動と態度の調節に使う。この相反する行動を維持するために利用可能なエネルギーがすべて使われているため、結果として、重要なそして難しい決定を下したり、将来の計画を立てたり、感情を制御または調節したり、他の認知的課題に効果的に対処したりするために、いかなるエネルギーも使うことができなくなってしまう[10]。
なぜ外向的な人の方が内向的な人よりも幸せになる傾向があるのか、という疑問が提起されている。この違いを説明しようとしているのは、道具理論と気質理論の2種類である[11]。道具理論では、外向的な人は結局、よりポジティブな状況下でいられるような選択をし、ポジティブな状況に対して内向的な人よりも強く反応することを示唆している。