性感染症
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トリコモナス症(膣トリコモナス)[18]。性器の痛みと分泌物。

検査

感染した細菌によって、血液検査、尿検査、ぬぐい取って染色、または培養して観察など各種の方法がとられる。同じ細菌に対しても、方法によって検出精度に差があり不適切な場合がある。

検査機関には病院のほか、肝炎に関しては日本では無料で各自治体が行っている場合がある。エイズ、梅毒、淋病、クラミジアに関しても保健所が無料で行っている場合がある[34]。こうした無料の検査は月に1?2度である。ほか、郵送での検査キットが販売されている。
強制検診

日本では、1948年性病予防法が施行されると、路上の売春婦などを摘発して保健所に同行させ、強制的に性感染症の検診を受けさせる「狩込み」が行われた時期がある。この狩込みについては、1950年10月30日に法制意見局から違憲の疑いがあるとして警告が出されて中止に追い込まれている[35]
診断

梅毒やHIVでは特徴的な口腔の病変が生じ診断の機会となりうるが、淋菌やクラミジアでは症状がなかったり、特徴のない炎症が生じるため見逃されやすい[36]。梅毒の感染が発覚した場合、HIVの検査も推奨される[37]

イボでは尖圭コンジローマ伝染性軟属腫
鑑別診断

排尿痛、尿道の痛みや分泌液は、性感染症以外でも起こりうるため鑑別が必要である[38]

淋菌性尿道炎[38]

クラミジア性尿道炎 - クラミジアが分離できる[38]

非クラミジア性非淋菌性尿道炎 - 主にマイコプラズマ、ウレアプラズマ、トリコモナスなどであり、他の多くの細菌では確実な証拠は不足している[39]

男性の尿道炎の70%は非淋菌性であり、そのうち30-50%がクラミジアを検出するが、そのクラミジア性尿道炎と非クラミジア性非淋菌性尿道炎との症状の差はみられないため、症状による鑑別は困難であり検査により容易となる[40]。初診時にグラム染色で淋菌の診断が得られれば、クラミジアの検査も行う[38]。淋菌感染者の20-30%がクラミジアの感染を合併しており、クラミジアの検査も必須とされる[41]。グラム染色で淋菌が検出できなければ、核酸増殖法(SDA法)を行う[38]

淋病では、3-7日で発症し強い排尿痛と膿を伴い、クラミジアでは1-3週間で発症し軽い排尿痛で粘液性の分泌物を伴う[38]。非クラミジア性非淋菌性尿道炎では1-5週間である[40]
予防カリフォルニア州サンフランシスコにある性病検査のためのサンフランシスコ・シティ・クリニック。詳細は「セーファーセックス」を参照
カウンセリングと行動科学的アプローチ

淋菌の保菌者の場合、非罹患者との性行為により一回あたり約3割の確率で相手への感染が生じるとされている[42]

一切の性行為(肛門性交や口腔性交などを含む)を避けることは性感染症を回避する最も信頼のおける方法となる[6]。また、性感染症を防ぐ上では「特定の相手とのみ性行為を行う」「コンドームを使用する」などのセーファーセックスの実行が重要である。これは望まない妊娠を防ぐ上でも重要となる[2][6][43]
コンドーム

コンドームの使用は効率的に性感染症を予防する事ができる[2][6]
ワクチン

HPV感染症の一部とB型肝炎ワクチンの接種により予防可能である。さらにHIVとヘルペスウイルスについてもワクチンの開発が進められている[2][6]
その他

男性の割礼はHIVをはじめとした性感染症に予防効果がある事が知られている。また、抗ウイルス薬であるテノホビルのゲルもHIVの感染予防等に効果があるとされる[2]
治療

クラミジア感染症淋病の診断を受けた人のパートナーの治療選択肢には、初回検査なしで医薬品を提供することも慣行である[44]。パートナーの検査や治療を放置すると簡単に再感染する[45]

以下、日本の2016年のガイドラインより説明する。

オーラルセックスの増加により咽喉の淋菌やクラミジアの感染も増えており、咽喉にも有効な治療が第一選択となる[38]。淋菌の薬剤耐性は著しく、薬剤感受性試験も行う[38]。咽喉では淋菌、クラミジアともに2週間以上開けてから治療判定の検査を行う[46]

淋菌の薬剤耐性は著しく、ペニシリン系は90%、テトラサイクリン系ニューキロノン系では70-80%、第三世代のセファロスポリン系でも30-50%が耐性を持ち、セイフィキシムでも無効例が報告されるようになり、セフトリアキソンスペクチノマイシンの注射剤のみが保険適用の上で推奨でき、2016年時点で100%に近い有効性があり、治療後の検査は必須ではない[47]アジスロマイシンの2グラムは、90%以上の有効率であるが、1グラムでは40%が治療に失敗しており、地域的に耐性を持つ菌も増えており、第一選択肢ではない[41]。例えば、福岡では2010年の1.8%の割合であったアジストロマイシンに耐性を持つ淋菌は2013年には22.6%だと報告されている[48]。咽喉の淋菌では推奨されるのはセフトリアキソンを1グラムの注射剤のみである[46]。セフトリアキソンの耐性菌も日本では世界に先駆けて報告されている[42]

クラミジアではマクロライド系のアジスロマイシンやニューキノロン系やテトラサイクリン系が用いられる[49]。咽喉のクラミジアでは性器への感染に準じる[46]。非クラミジア性非淋菌性でも同様である[50]。マイコプラズマ・ジェニタリウムは、薬剤耐性があり、テトラサイクリン系よりも、アジスロマイシンやクラリスロマイシンやなどマクロライド系が強い殺菌効果を持つが、それでも2000年前後にはほぼ100%であった有効率は低下してきており、2012年のオーストラリアの報告ではアジスロマイシン1グラムでは69%であり、日本ではそこまで失敗が頻発していないため1グラムか2グラムを第一選択とする[51]。ウレアプラズマでは、アジスロマイシン1グラム、あるいはレボフロキサシン500mgを7日間、あるいはシタフロキサシン200mgを1日2回7日間で100%であったため、これらのマクロライド系やニューキノロン系が推奨される[51]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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