性感染症
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性感染症の原因となる細菌ウイルス寄生虫は30種以上にのぼる[2]。細菌性にはクラミジア感染症淋病梅毒などがある。ウイルス性には性器ヘルペスHIV/AIDS尖圭コンジローマなどがある。寄生虫にはトリコモナス症などがある。性感染症は通常は性交によって伝播するが、汚染した血液や臓器との接触、授乳出産など性交以外の接触によって伝播することもある[2]

診断検査は先進国では利用しやすいが、発展途上国においてはその限りでない[2]

性交を避けることは感染を回避する最も信頼のおける方法でもある[6]。予防接種によってある種の性感染症のリスクを低減する事も可能であり、B型肝炎、一部の型のHPVがこれにあたる[6]コンドームの使用、不特定多数の相手と性交をしないといったセーフセックスの実施も感染のリスクを低下させる[2][6]。男性の割礼はある種の性感染症の予防に効果的である[2]。ほとんどの性感染症は寛解可能あるいは完治可能である[2]

一般的な性感染症の中では梅毒淋病クラミジア感染症、トリコモナス症が完治可能だが、ヘルペス、B型肝炎、HIV/AIDS、HPVは寛解可能である一方完治はできない[2]。淋菌などの一部の病原体はある種の抗生物質に耐性を獲得しつつある[7]

2008年には5億人の人々が梅毒淋病、クラミジア、トリコモナスのいずれかに感染したと推定された[2]。さらに少なくとも5.3億人が性器ヘルペスに、2.9億人の女性がヒトパピローマウイルスに感染している[2]。HIVを除いても性感染症は2013年の一年間で14万2千人の死を引き起こした[8]

アメリカ合衆国では2010年に1900万人が新たに性感染症に感染している[9]。歴史的な記述は少なくとも紀元前1550年頃のエーベルス・パピルス旧約聖書までさかのぼる[10]。性感染症にはしばしば恥や汚名を伴う[2]。英語では症状を示さない感染者を含む、sexually transmitted infection の語が、sexually transmitted disease や venereal disease よりも好まれて用いられる[11]
名称

世界保健機構 (WHO) は1999年から sexually transmitted infection の単語の使用を推奨している[11]。これは sexually transmitted disease より広い意味を持つ[12]Infection(感染)は寄生生物の侵入を意味するが、感染が必ずしも悪影響を与えるとは限らない。Disease(疾病、疾患)においては infection が機能の異常や障害につながる。そしていずれにおいても徴候や症状を示さないことがある[13]

日本においては1948年に公布された性病予防法にある、梅毒淋病軟性下疳、鼠径リンパ肉芽腫症の4疾患のことを「性病」と呼んでいたが、その後、性交およびその類似の性行為によって感染する病気を広く捉えて「STD(sexually transmitted disease)」、「性行為感染症」と呼ぶようになった。近年では「性感染症」の用語が使われることが多い[14]
徴候と症状

すべての性感染症が症状を示す訳ではなく、また症状を示すとしても感染直後にそれが現れるとは限らない。症例によっては感染症が無症状で保有される事があり、このような場合は他の人を感染させる可能性が高くなる。感染症の種類によって性感染症は不妊慢性痛、さらには死を引き起こしうる[15]

性感染症に思春期以前の子どもが感染していた場合は性的虐待の可能性を示すことがある[16]

なお、性感染症というが、あくまで「性行為で感染することが多い」というだけであり、性行為以外でも感染することはある。他人の唾液くしゃみのしぶきなどが偶然、に入ったりしても感染する可能性はある[17]
病原体
細菌

梅毒 - Treponema pallidum(英語版)[18]。次第に全身症状。

クラミジア感染症 - クラミジア・トラコマチス: Chlamydia trachomatis[18]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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