性的暴行の最中に発生する殺人や、性的暴行への対応として行われる名誉殺人は、性暴力の要素のひとつである。こういった点から、被害者は不相応な苦しみを強いられている[6]。あらゆる年齢の者が性暴力の被害者になりうる。また、両親、介護者、知人、見知らぬ他人、親密なパートナーのいずれであっても性暴力の加害者になりうる。性暴力が痴情による犯罪として発生することは稀であり、むしろ、加害者が自らの権威や優位を被害者に知らしめることを目的に行われることが頻繁にある。
あらゆる状況において性暴力の被害は大きな汚名であるとされていることから、その情報を開示する度合いは地域によって異なっている。一般的に性暴力は過少報告される現象であることから、これに関して公表されているデータは、この問題を実態より少なく見積もる傾向がある。加えて、性暴力は軽視されている研究分野でもあり、性暴力に反対する組織的な運動を展開するためには、より深く問題を理解することが不可欠である。ドメスティック・バイオレンスは、紛争と関わりのある性暴力とは区別される[7]。大抵の場合、配偶者に性的な行為を強制する者は、相手と結婚していることが自らの行為を正当化すると信じている。
紛争が起きている状況では、免責の循環過程にある戦争の反響として性暴力が発生する傾向にある[8][9]。しばしば、戦争の手段のひとつとして女性または男性を強姦することが行われる。これは敵に対する攻撃のひとつの方法であり、被害者の女性または男性を征服し、その体面を傷つけることの象徴として機能する[10]。こういった行為は国際人権法、慣習法、国際人道法によって固く禁止されていても、これらの法律が執行される仕組みは、地球上の多くの地域で脆弱であり、存在しないも同然であることさえある[5][6][11][12]。
性暴力は公衆衛生上の深刻な懸念にもなっており、被害者の心身の健康に短期的・長期的な影響を及ぼしている。具体的には、性的または生殖上の健康におけるリスクの増加[13]、自殺や自覚のない性感染症の感染のリスクまた性病パンデミックのリスクの増加が挙げられる。
脚注[脚注の使い方]^ World Health Organization., World report on violence and health (Geneva: World Health Organization, 2002), Chapter 6, pp. 149.
^ [Elements of Crimes, Article 7(1)(g)-6 Crimes against humanity of sexual violence, elements 1. Accessed through “Archived copy
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