思い出のマーニー
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祖母に育てられたが、三歳ごろのときに祖母も病死してしまい、孤児院に入れられ、その数年後にプレストン夫妻に引き取られた。母や祖母が自分を残して死んだことを恨んでおり、そのためミセス・プレストンが母や祖母の話をしようとしても聞こうとはしない。変わり者扱いされており、人と仲良くなろうとしても相手のほうがすぐにアンナから興味をなくしてしまい友達ができない。その原因を自分が目に見えない魔法の輪の外側にいるからだと考えており、その失望を作り物の表情である「ふつうの顔」[註釈 1]をして隠そうとする。養親のミセス・プレストンのことを愛しており、自分のことを実の子供のように思ってくれていると感じていたが、少し前にミセス・プレストンがアンナの養育費を市から受給していることを隠していると知ると、愛の純粋さに疑問を持つようになった。それに端して無気力になり、半年前からミセス・プレストンや担任の教師から「やろうとすらしない」と言われ続けている。最近では一日のほとんどを何も考えずに過ごすようになり、友達ができないことも気にしなくなった。喘息の転地療養で訪れたリトル・オーバートンでも孤独を深めたが、そこで運命的に出会った湿地屋敷を特別な存在だと感じ、この屋敷に住むことになる家族は特別な人のはずだと夢見るようになる。


マーニー(Marnie)
本名はマリアン(Marian)。淡い金髪と海の色の目を持つ、湿地屋敷に住む裕福な家庭の一人娘。無人のはずだった湿地屋敷に突然現れたが、本人はなぜか「生まれてこのかた夏はいつだってここ」と話す。村の子供と遊ぶことは禁じられており、湿地を訪れたアンナと友達になりたいと思っていた。両親をこの上なく誇りに思い自慢しているが、両親からはほったらかしにされており、世話は婆やとメイドにまかせっぱなしにされている。小さいころに躾と称して婆やたちに風車小屋へ閉じ込められそうになったことがあり、それからは風車小屋を恐れている。アンナと親友になり一生友達でいる誓いを立てたが、嵐の夜にアンナを風車小屋に置き去りにしてしまい、後日湿地屋敷を訪れたアンナに許しを求めながら豪雨に打たれた窓の中に消えてしまう。
ナンシー・プレストン(Nancy Preston)
アンナの養母。いつも不安そうな顔をした女性。夫・スタンリーと銀行員の息子・レイモンドがおり、アンナからは"おばちゃん"(Auntie)と呼ばれている。アンナに友達がいないことや「やろうとすらしない」ことを心配しているが、アンナのことを愛して心配するあまり、かえってすれちがいを起こしてしまう。アンナを本当の娘だと思えるように、アンナを引き取るときに名前をマリアンナからアンナに変えた。
スーザン・ペグ(Susan Pegg)
ミセス・プレストンの昔なじみ。リトル・オーバトンに住む丸顔で大柄な女性。子供はいない。喘息の転地療養としてアンナを預かることをミセス・プレストンから引き受ける。アンナがサンドラと喧嘩したことをミセス・スタッブズから責められても、アンナのことを「金のように良い子(as good as gold)」だと言ってかばう優しい女性だが、時としてアンナをしかることもある。
サム・ペグ(Sam Pegg)
スーザンの夫。日焼けしてしわのある顔に青い目とぼさぼさの眉毛を持つ男性。スーザンと同じくアンナには優しい。
ワンタメニー・ウェスト(Wuntermenny West)
[註釈 2]
寡黙な漁師。小柄で背が曲がり、しわだらけのやせた顔をした老人。アンナをよくボートに乗せてくれるが会話はほとんどない。11番目の子供として生まれたが、母から「この子はあまりんぼだ(one-too-many)」と言われ、以後ワンタメニーと呼ばれるようになる。アンナがマーニーと別れた直後に、増水した入江でアンナが死にかけていたところを救い出した。
サンドラ(Sandra)
ペグ家の近所に住む色白でどっしりとした少女。スーザンからは「行儀のいい上品なお嬢ちゃん」と呼ばれている。母に連れられてペグ家を訪れアンナとトランプで遊ぶが、ズルをしたためアンナから嫌われ無視されてしまう。しかし本人は当初アンナと友達になりたいと思い、一番いい服を着てペグ家を訪れていた。ペグ家から帰ったあとでアンナのことを「不細工なでくのぼう」だと陰口を言うが、後日アンナからは「太ったブタ」と言われてしまう。
ミセス・スタッブズ(Mrs Stubbs)
サンドラの母。黒い目をした大柄な女性でスーザンの友人。娘のサンドラをつれてペグ家へ遊びにいくが、アンナとサンドラがけんかをしたことを知ると、それをスーザンに言いつける。
ミスター・リンジー(Mr Lindsay)
マーニーが去ったあとに湿地屋敷を別荘として購入したリンジー家の父。口数が少ない学者。本人は仕事で忙しいため平日は湿地屋敷にはおらず週末にときどき帰ってくる。アンナがボートの錨を盗んだと知ったあとでも、アンナを信じて思いやる優しさを見せる。
ミセス・リンジー(Mrs Lidsay)
リンジー家の母。灰色の目で、顔は娘のジェーンそっくりだが少しふっくらしている。堅苦しい態度はとらず自然にアンナを受け入れる優しい女性。
アンドリュー(Andrew)
リンジー家の長男。14歳くらい。最初リンジー兄弟を恐れて逃げ回っていたアンナを捕まえる。
ジェーン(Jane)
リンジー家の長女。金髪をお下げにしている、大人っぽくてかしこそうな少女。末弟のローリーポーリーの面倒を良く見る。
プリシラ(Pricilla)
リンジー家の次女。愛称はシラ(Scilla)。長い茶色の髪をもつ痩せた少女。アンナより少し年下に見える。リンジー兄弟の中で最初にアンナを見つけた。棚の後ろからマーニーの日記を発見し、アンナをマーニーだと思い込む。
マシュー(Matthew)
リンジー家の次男。7歳 - 8歳くらい。ジョークを言うのが好き。
ローリーポーリー(Roly-poly)
リンジー家の三男。本名はローランド(Roland)。ほとんど赤ちゃんで、かたことの言葉だけを話す。家族の愛を一身に受ける。
ギリー(Gillie)
ミセス・リンジーの古い友人。本名はペネロピ・ギル。背が低くてずんぐりしており、短い白髪がバサバサしている老婆。画家であり、湿地屋敷の絵を描いているときにアンナと知り合う。子供のころからのマーニーの友人で、マーニーが死ぬ少し前まで連絡を取っていた。アンナたちの前でマーニーの過去を語る。
マリアンナ(Marianna)
マーニーの母。若くて明るく美しい女性。夏の間はマーニーの世話を婆やとメイドたちにまかせっきりにしており、自身は湿地屋敷にいることよりもロンドンの自宅にいることが多い。湿地屋敷のパーティーに訪れたアンナからシーラベンダーの花を買う。
マーニーの父
背の高い海軍軍人。作中で名前は明らかにされない。湿地屋敷のパーティーでアンナに優しい声をかける。第一次大戦中に溺死した。
エドワード(Edward)
マーニーの遠い親戚。金髪で背が高い16歳くらいの少年。マーニーからはいとこのような人だと言われている。厳しいところがあり、風車小屋を恐れるマーニーを風車小屋に連れていきたがる。のちにマーニーと結婚し一人娘のエズミを授かるがその後亡くなる。
エズミ(Esme)
マーニーとエドワードの一人娘。第二次世界大戦が始まってからアメリカに疎開させられたが、一人で遠くに追いやられたことを恨み、13歳近くに帰国したときには別人のようになっていた。家出をして母に知らせもせずに若くして結婚する。相手は真っ黒な髪に黒い目をしたハンサムだが責任感のない男性。娘が生まれた直後に離婚し、しばらくして再婚するが新婚旅行交通事故死する。
ナン(Nan)
湿地屋敷でマーニーの世話をする婆や。マーニーをいじめており、マーニーを部屋に閉じ込めたり乱暴に髪をとかして痛がらせることがある。マーニーが小さいときにエティに命じてマーニーを風車小屋に連れていこうとした。マーニーが風車小屋で発見された直後にマーニーをいじめていたことが明らかになり解雇された。
エティ(Etti)
湿地屋敷でマーニーの世話をするメイド。怒りっぽくて人を怖がらせるのが好き。ナンに命じられてマーニーを風車小屋に連れていこうとしたことがある。
リリィ(Lily)
湿地屋敷でマーニーの世話をするメイド。優しい女性で、ときどきフライドポテトを作ってマーニーのベッドに持ってきてくれる。エティとボーイフレンドをめぐって喧嘩をした。
書誌情報

以下は日本での翻訳版の情報である。

思い出のマーニー 上・下(1980年/1995年改版/2003年改版)、
岩波書店岩波少年文庫〉、訳・松野正子

特装版 思い出のマーニー(2014年)、岩波書店、訳・松野正子ISBN 978-4-00-025973-6


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