狭窄部位が3つ以上であった場合などに、緊急冠動脈バイパス術 (CABG) が行われる施設もある。PCI と CABG を比較すると PCI では25?30%再狭窄をきたすとされていたため、1枝病変であっても CABG に優位性があるという説もある。しかし、2004年から薬剤溶出性ステント (Drug-eluting stent, DES) が保険適応となり、PCI の成績向上が期待されている。 急性期にインターベンションが成功すると、比較的予後は保たれることが多い。安定期には安静、内服加療が中心となり、疾患の特徴上糖尿病、高血圧、高脂血症、コレステリン塞栓症などが併存することが多いため、これらに対する検査・加療、患者教育などが中心となる。 インターベンション不成功例、発症から時間が経過していた例などは下記の様な合併症を生じることが多い。 狭窄が生じた冠動脈の部位と発生からの時間で大まかに分別される。 心筋梗塞による急性期の死亡の多くは発症後の不整脈による。急性期24時間以内に最も多く発生し、心筋梗塞の死因の第1位である。 頻度は低いが、心不全は発症すると死亡率が高い。Swan-Ganzカテーテルで心機能を評価する Forrester分類に応じ、対症的に治療する。 発症数日後に生じることが多く、右冠動脈 (RCA) 梗塞の下壁梗塞に生じることが多い。たいていは発症すると重篤な僧帽弁閉鎖不全を伴い、心不全の原因となる。治療として CABG をおこなう場合は、同時に僧帽弁置換術をおこなうこともある[19]。 心筋が壊死し、心臓の血圧に耐えられずに外壁が破裂する症状。基本的にこれが起こると失血と心タンポナーデによって即死となる場合が多く、助かることは難しい。ちなみに右心室と左心室の間に穴が開くことを心室中隔穿孔という。「心破裂」も参照 心室瘤は、左冠動脈前下降枝 (LAD) 梗塞の結果として心尖部に生じることが多い。心筋梗塞治療後も遷延する ST上昇の原因の一つである。破裂しやすく、心タンポナーデの原因となる。 Dressler症候群とは心筋梗塞の発症数週間後に生じる自己免疫性心外膜炎。 致死率は30?50%と非常に高い[20]。そのほとんどは急性期に生じる致死性不整脈や心原性ショックを合併した例である。発症後2時間以内の致死率が特に高いため、それを乗り切れば救命できる確率も高くなる[20]。
安定期
合併症
不整脈
期外収縮
ほとんどに合併する。
心室細動
左冠動脈 (LCA) 梗塞で特に前壁梗塞に生じやすい。発症後数時間以内に生じるものが多い。致死的な合併症である。
房室ブロック
房室結節は、ほとんどが右冠動脈からの血流で灌流されているため、右冠動脈閉塞によって起こる下壁心筋梗塞に伴って房室ブロックが発生しやすい。洞房結節そのものが障害されると Sick Sinus Syndrome (SSS) をおこしうる。
心不全
乳頭筋断裂
心破裂
心室瘤
Dressler症候群(心筋梗塞後症候群)
予後
出典[脚注の使い方]^ a b c d e f g h i j k l m n o 小室(2004)、p.146-153、II.循環器疾患を深く学ぼう、A.虚血性心疾患、心筋梗塞
^ Ewald DR, Sumner SC (November 2016). “Blood type biochemistry and human disease”
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