胸部のX線検査は、心筋梗塞に対する特異的な所見は得られないが、重症度の判定や動脈瘤を除くための診断に用いられる[1]。
血液検査
トロポニン
トロポニンTとIは非常に特異度が高く、発症3時間以上経過した心筋梗塞の診断に役立つ[1]。トロポニンTとトロポニンIの測定キットには各製品にそれぞれ特徴があるが、総じてトロポニンIの方が感度・特異度のバランスに優れている[12][13][14]。
H-FABP(=Heart-type fatty acid-binding protein =心臓型脂肪酸結合蛋白
特異的でないが必ずみられる所見として、最初に上昇する白血球[1]、AST(GOT)、LDH、CK、ミオシン軽鎖 の上昇があり、それぞれ上昇し始めた時期は発症時間の予測に役立つ。
一般的な血液検査で異常をきたす時間は、白血球 2?3時間、CK 2?4時間、AST 6?12時間、LDH 12?24時間、CRP 1?3日、ESR 2?3日である。 絶対安静が原則である。発症後急性期には致死的不整脈が容易に起こり死亡する危険性が非常に高い。また、虚血の時間が長引くほど心筋の死滅が進み心機能の不可逆的低下が進行していく。発病を疑った際は患者から目を離さず直ちに救急車を要請すること、患者の意識が消失し脈拍を触れない際には躊躇せず心臓マッサージを行うことが必要である。機能的な心停止に陥った際には3分から5分以上の無処置は社会復帰率をほとんど無にしてしまう。救急隊の到着を待たず直ちに救命処置(心臓マッサージなど)を開始する必要がある。 心筋梗塞は、心筋に対する相対的・絶対的酸素供給不足が原因であり、安静にして酸素吸入を行う。また鎮痛および体の酸素消費低下目的で、モルヒネを投与する場合もある。急性期には心筋梗塞の病巣拡大を防ぐことが最大の目的となる。一般的に「モルヒネ」「酸素吸入」「硝酸薬」「アスピリン内服」などが中心に行われ、Morphine
治療
急性期
発症から2時間を経過すると急速に壊死が進行していくが[17]、6時間以内の心筋梗塞の場合、積極的に閉塞した冠動脈の再灌流療法を行うことで、心筋の壊死範囲を縮小可能である[17]。これに限らず、発症から24時間以内の症例では、再灌流療法を行う意義が高いとされる。大別してカテーテル的治療 (PTCA, PCI) を行う場合と、血栓溶解療法 (PTCR) がある。日本では、PCIの可能な施設も多く、急性期であればPCIが行われることが多い。ただし、動脈を介した検査・処置であることから合併症も多い。特に心電図上STの上昇が見られた場合、如何に早くPCIを行うかが重要であるが、救急搬入後直ちに同療法を行える体勢を取っている病院は、心臓病治療の先進国である米国でもわずかである[18]。
狭窄部位が3つ以上であった場合などに、緊急冠動脈バイパス術 (CABG) が行われる施設もある。PCI と CABG を比較すると PCI では25?30%再狭窄をきたすとされていたため、1枝病変であっても CABG に優位性があるという説もある。しかし、2004年から薬剤溶出性ステント (Drug-eluting stent, DES) が保険適応となり、PCI の成績向上が期待されている。 急性期にインターベンションが成功すると、比較的予後は保たれることが多い。安定期には安静、内服加療が中心となり、疾患の特徴上糖尿病、高血圧、高脂血症、コレステリン塞栓症などが併存することが多いため、これらに対する検査・加療、患者教育などが中心となる。 インターベンション不成功例、発症から時間が経過していた例などは下記の様な合併症を生じることが多い。
安定期