心が叫びたがってるんだ。
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これに同意した大樹は、拓実と順の出番に代役を立てて乗り切るプランを出し、拓実を送り出した。

ヒロインの少女を菜月が演じる形でミュージカル『青春の向う脛』が開演する。客席では主役の変更に気づいた生徒もおり、泉は「やっぱり、ダメなんじゃない…」とつぶやく。必死で順を探す拓実は、廃墟になっていた山の上のお城(ラブホテル)で順を見つける。「喋ったりするから不幸になった、言葉は人を傷つける」と自暴自棄に主張する順に、拓実は「(自分が)傷ついていいから、お前の本当の言葉、もっと聞きたいんだ」と話しかけた。順は勇気を振り絞り拓実を傷つける言葉(罵倒)を叫び、拓実はそれをすべて受け止める。拓実は順に「お前と会えてうれしい」「お前のおかげで、俺、いろいろ気づけた気がする」と話し、それを聞いて順は立ち直った。その場を去る直前、順は「もう一つ言いたいことがあった」と拓実に好意を伝え、拓実は感謝しながらもほかに好きな人(菜月)がいると返事する。そして二人は既に始まっていたミュージカルに出演するため学校に向かう。順は第5幕で少女の「心の声」役として「わたしの声」(イングランド民謡「グリーンスリーブス」のメロディに日本語の歌詞を乗せたもの)を歌いながら会場(体育館)の観客席通路を歩いてステージにあがり、泉は涙をこぼした。楽屋に戻った順は他の生徒から温かく迎えられ、「みんなに迷惑かけて…なのに」と声に出して詫びながら涙ぐんだ。順は「本当に玉子なんていなかったんだ。呪いをかけていたのはわたし。玉子はわたし。一人で玉子に閉じこもっていたわたし自身。」と呪いが思い込みであったことに気づく。「心が叫びだす&あなたの名前呼ぶよ」の合唱でミュージカルが終幕すると観客席からは大きな拍手が送られた。後片付け中にゴミ出しに行った順は大樹からの告白(台詞の描写はなし)を受け、顔が真っ赤に染まる中、風が吹き、玉子の妖精の帽子が落ち葉と一緒に飛ばされていた。

拓実と順の「?玉子の中には何がある? いろんな気持ちを閉じ込めて、閉じ込めきれなくなって、爆発して、そして生まれた、この世界は、思ったより綺麗なんだ?」の台詞で物語は締めくくられる。
登場人物

※作中でフルネームが紹介されない人物の名前や読み仮名は小説版および限定版ビデオグラム封入のブックレットによる。以下では記載を省略した2年2組の他の生徒にも全員名前が設定されており[12]、ビデオグラムのオーディオコメンタリーによるとそれらの名前はスタッフから取られている[注釈 7]
揚羽高校2年2組
「地域ふれあい交流会」実行委員
成瀬 順(なるせ じゅん)
- 水瀬いのり[注釈 8]本作の主人公。ボブカットの少女。幼少時は夢見がちで[12]お喋りな[注釈 9]性格だったが、自分の言葉がきっかけとなり両親が離婚した過去のトラウマから言葉を発することができなくなり、声を出すと腹痛に襲われてしまう[15]。その影響で、他人とは文書か携帯電話(フィーチャーフォン[注釈 10])のメールを通して対話している。メールを打つスピードは非常に速い。母の泉と二人暮らしで、泉が多忙で帰宅が遅いため、夕食を自分で作っている。感情は失っておらず、表情や身振りで表現する場面が複数ある(拓実からは仕草で思っていることがわかると指摘されている)。拓実が即興で作った歌を家で口ずさみ、「歌」であれば腹痛にならないことを知り、歌を通して気持ちを伝えようと、拓実に「わたしの言葉を歌にして下さい」と依頼する。「言葉は傷つける」として心ない言葉を浴びせる者に対して腹痛になるのも忘れて厳しく非難することもある。
坂上 拓実(さかがみ たくみ)
声 - 内山昂輝物静かで冷めた性格の男子生徒。DTM研究会に所属。友人はいるものの他人に本音を語ることは少ない。中学生の頃に自身の教育方針を巡って両親が対立し離婚している[17]。父親に引き取られるものの、父は多忙から不在がちで、めったに顔を合わせない。そのため、父方の祖父母と生活している。音楽好きな父親の影響で音楽関係には詳しく、ピアノなどの楽器を扱えるが、両親が離婚する一因になったという思いから長らく演奏していなかった。岩木曰く「押しに弱い」。
仁藤 菜月(にとう なつき)
声 - 雨宮天チアリーダー[18]の部長を務め、クラスの女子の中心的存在。相沢からは「優等生」と評されている[19]。拓実とは中学校が同じで、その頃に交際していたが、手をつないだこともないまま関係はうやむやになっている。拓実との縒(よ)りを戻したいと思いつつも、お互いに言い出せずにいる。順に対しては、実行委員として頑張っている姿を見て応援したいと思う一方、拓実との交流を深める様子を見て嫉妬に近い感情を抱いている。口元にほくろがある。
田崎 大樹(たさき だいき)
声 - 細谷佳正野球部の元エースの男子生徒[20]甲子園出場まであと一歩という所でチームは敗退し、自身は右肘を痛めて療養中で現在はエースの座を後輩の山路に譲っている。目つきが悪く、実際に口調と気性が荒くわがままに思われやすいが、自分に非がある場合は頭を下げて謝るなどスジを通すまっすぐな性格で、樹をはじめとする彼をよく知る者からの信頼は厚い。夢を突然絶たれたことでやさぐれており、故障してからも部に顔を出して後輩部員を厳しく指導しているが、攻撃的で苛立ちをぶつけるかのように指導する態度ゆえに後輩たちからは陰で「使えないポンコツ」呼ばわりされ内心煙たがられている。
実行委員の友人等
三嶋 樹(みしま いつき)
声 -
村田太志野球部のキャプテンの男子生徒。大樹の親友でもあり、怪我をした大樹の無念を察して代わりに野球部を引っ張っていこうと努力している。交際している陽子からは「いっくん」と呼ばれている。拓実や菜月と同じ中学校の出身で、二人が交際していたことを知っていた。順を「使えないやつ」と馬鹿にした大樹に対して拓実が「後輩たちから使えないポンコツと呼ばれている」と揶揄した時には、怒りで我を忘れ拓実に食って掛かってしまう(順の歌声で正気に戻った)。
岩木 寿則(いわき としのり[12]


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