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なお、善の行為には宗教的なものと世俗的なものがあり、世俗的なものは真実の功徳ではない不実功徳とされる[3]
西洋哲学史における徳

西洋的徳の目録は少なくとも、知恵、勇気、節制、正義というプラトーンの『国家』(435,また443)のそれにまで遡られる。より包括的な目録はアリストテレースの『ニコマコス倫理学』に見出される。徳の概念は古代の哲学において共通の話題であったし、それらはキケローによって採用されたのでキリスト教哲学者に広く受け容れられ、カトリック神学の要諦となった。

なお、この場合の徳とは、virtueの訳語として当てられている。
謙遜

古代ギリシアローマでは謙遜という徳は知られていなかった。「新約聖書」の「エペソ書」や聖典外典の「十二使徒の教え」、いわゆるディダケーなどに出てくる、タペイノプロシューネーなる言葉が最初である。直義乞食の心構え。キリスト教の成立までは徳として謙遜が挙げられることはなかった。
四元徳(cardinal virtues)詳細は「四元徳」を参照

西洋古典世界の基本的な (cardinal) 徳( virt?t?s cardin?l?s )は、

思慮叡智

正義

忍耐勇気

節制

である。これは、ギリシア的な教養に由来するもので、プラトーンの著作『ゴルギアース』や主著『国家』でこれらの徳が議論された。
徳の調和

古典期の哲学者、特にアリストテレースは、人はこれらの徳を完全に追求するために全てを習得せねばならないと唱えた。例えば、正しくあるために人は賢くあらねばならない。徳の調和という論点は論争を呼ぶ。人間は賢くあることなしに勇敢でありうるし、正しくあることなしによく節制されうる、などと議論できよう。また、人間の最上の状態は「中庸」において発揮されるとし、「中庸の徳」を説いた。
思慮と徳

ストア派セネカは、完全な思慮は完全な徳と区別できない、と言った。彼の論点は、もし人が最も遠い視野に立って全ての結果を考慮すれば、結局、完全に思慮深い人は完全に高徳な人間と同じように行為するだろう、ということだ。多くの哲学者は「各々の徳はいかに思慮深くあるのか」を決めることに「各々の徳はいかに調和するのか」を決めるのと同様の価値を見出していた。
キリスト教の徳

キリスト教において神学的徳は、コリント書13:13に由来する信仰希望 (charity) である。これらは、神と人間への愛を完全にするという特殊な慣習的意味を持っている。これら徳の調和とこれらへの思慮の相伴が主張され、キリスト教神学の特色をなす。
徳と悪徳

徳の反対は悪徳である。悪徳をなす1つの方法は、徳を腐敗させることである。こうして、四元徳愚昧、無節操、臆病貪欲となるだろう。キリスト教神学的悪徳は、偽証強欲憎悪偽善となる。[要出典]

しかしながら、アリストテレースは徳がいくつか反対物を持ちうることを指摘していた。徳は2つの極端の中間として考えられうる(→中庸)。例えば、臆病と蛮勇の両方は勇気の反対であり、それらは思慮に反して過度の慎重と過小な慎重の両方なのである。より「近代の」徳である寛容は一方における心の狭さと他方における愚鈍さとの2つの極端の中間と考えられる。従って悪徳は、徳の反対として同定できるが、各々の徳は全て他とは異なる多くの反対物を持つことがありうるという落とし穴を伴うことになる。
関連

「徳
」の字は日本においては人名用の漢字としても用いられる。読みは「のり」「とく」などが一般的であるが、これ以外の読み方をする例もある。貴人の称号に用いる場合には慰撫の意味が込められる場合も多い。

日本では当用漢字字体表に「徳」が採用される前は、主に「コ」の字体(旧字体)を用いた。戸籍等では旧字体の「コ」であっても日常では「徳」を使用している場合も多い。(歌手のコ永英明は途中から「コ」を使っている。)

脚注^ 第2版,世界大百科事典内言及, 日本大百科全書(ニッポニカ),精選版 日本国語大辞典,ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,デジタル大辞泉,世界大百科事典. “徳とは”. コトバンク. 2022年2月9日閲覧。
^ a b 中村元著 『広説佛教語大辞典』 下巻「徳」, 上巻「功徳」。
^ 日本大百科全書(ニッポニカ)の解説 『功徳』。

関連項目.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィクショナリーに関連の辞書項目があります。徳

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