なおプロテスタントの一部では、復活祭・復活日当日を「復活節」と呼ぶこともある[12]。
復活祭に関する習俗
復活祭のあいさつロシア帝国で発行された、復活祭を祝う家族が描かれた絵葉書。左上には「ハリストス復活!」と教会スラヴ語で書かれている。「en:Paschal greeting#The Paschal Greeting in various languages」も参照
日本では、「復活祭、おめでとう(ございます)」、「ハッピー・イースター」(Happy Easter)などが使われる。英語の「Happy Easter!」以外に、ロシア語の「フリーストス・ヴァスクリェース」(キリストは復活した)に対して「ヴァイーストゥヌ・ヴァスクリェース」(まことに復活した)と答える習慣が世界的には比較的広く知られている。
食品復活祭に祝福される食品を入れた籠(ポーランド)復活祭の食卓(スウェーデン)ドイツの復活祭の卵、オスターブロート(復活祭のパン)、オスターハーゼ(ウサギ型のパン)
西方教会と東方教会では、伝統的に四旬節および大斎の期間中禁じられていた肉、乳製品、卵(東方教会では魚肉も)が復活祭の日に初めて解禁になるため、復活祭の正餐の食卓にはこれらの動物性食品が並ぶ。また、卵、バター、乳などをふんだんに使った復活祭独特の菓子パンやケーキが作られる。家禽を飼っている家庭では、四旬節および大斎の期間中に生まれたために食べられずにたまっていた卵をまとめて消費するという理由もある。
ドイツでは、オスターフラーデン(ドイツ語版)という円形のパンを食べる。パン生地をウサギの形に成形するとオスターハーゼ(Osterhase)となる[50]。
スイスのドイツ語圏のオスターフラーデンは、アーモンドとレーズンのタルトである[51]。
イタリアの復活祭の伝統料理は地方によって異なるが、主菜には子羊が好まれる。もっとも有名な食品はコロンバ・パスクワーレ(復活祭のハト)という、ハトをかたどった菓子パンであろう。パン生地に卵を殻ごと入れて焼いた、クッドゥーラ (cuddura) やプッドリーケ (puddhriche) というパンを作る地域も多い。シチリア島ではペコレッレ (pecorelle) と呼ばれるマルチパンでできた子羊が食べられる。復活祭の翌日の月曜日はパスクエッタ(pasquetta、小復活祭の意)と呼ばれる祝日で、戸外でピクニックをする日となっている。
ギリシア神話の神々の信仰が盛んだったシチリアでは、復活祭の伝統行事の中に死から蘇るキリストとハーデースから帰還するペルセポネーの習合と、デーメーテールやアドーニス信仰の名残りが見られる[52]。
スウェーデンでは、ゆで卵をニシンの酢漬けやアンチョビなどと供する。主菜は家庭によって子羊の脚またはサケが供される[53]。
フィンランドでは、東方教会の影響下にあったカレリアではパスハを、その他の地域ではマンミ(Mammi)というライ麦粉と廃糖蜜のプディングを食べる[54]。
アイスランドでは、子羊肉またはマトンの燻製と、米またはオオムギのミルクプディングを食べる習慣があった[55]。
ポーランドの復活祭の正餐には、ゆで卵、ソーセージ、乳飲み豚のロースト、ハム、おろしたセイヨウワサビなどが並ぶ。デザートにはマズレク(英語版)やクグロフに似たババ・ヴィルカノツナ(ポーランド語版)を食べる[56]。
アカディアには、朝食にゆで卵、昼食に卵とハムまたは塩漬け豚肉、夕食にはオムレツかフラン(パンケーキ)にメープルシロップかメープルシュガーをつけて食べる習慣があった[57]。
イースター・エッグ(復活祭の卵)詳細は「イースター・エッグ」を参照
イースター・エッグ、または復活祭の卵とは、復活祭に出される、彩色や装飾を施されたゆで卵である[58]。
卵は大斎(四旬節)に節制される食品である(ただしこうした断食・節食の習慣は、西方教会では大幅に簡略化されるかもしくは消滅している)。卵が使われる意義については、見た目には動かない卵から新しい生命が生まれ出ることから、死と復活を象徴しているとされる。赤く染められる事が多いが、その赤い色は十字架上で流されたキリストの血の色と、血は生命を表すことから(レビ記 17:11)復活の喜びを表すとされる[59][60][61]。
ウクライナには表面に模様を描いていくプィーサンカと呼ばれる復活祭の卵がある[61]。ルーマニアには卵の表面をビーズで装飾する復活祭の卵がある[62]。
国や地域によっては、復活祭の際に庭や室内のあちこちに隠して子供たちに探させるといった遊びもおこなわれる。
また、上記のイースターエッグの探し物遊びにちなんで、ソフトウェアの中に開発者がまぎれこませたメッセージ(開発チームスタッフへの謝辞やスタッフロール)のことも「イースター・エッグ」と呼ばれる[58]。
この習慣の起源については様々な説がある。教会の伝承の一つとして、マグダラのマリヤが、キリストの復活を知らせるためにローマ皇帝に謁見した際、赤い卵を献上したことに由来するというものがある[59]。他方、その由来を春の到来を祝う異教に求める見解もある(ただしこの見解をとる教会においても、上述の意義付けは同様である)[60]。「プィーサンカ」および「イースター・エッグ (おまけ要素)」も参照
卵の染め方・柄には下記画像に挙げている諸例のほかにも様々なものがあり、各国・各地域内でも多様である。
最も基本的な、赤一色に染めた復活祭の卵(ギリシャ)
復活祭の卵(フランス)
復活祭の卵(アルメニア)
プィーサンカ(ウクライナ)
装飾された復活祭の卵(ルーマニア)
復活祭直後から宗教を問わず祝われるシャンム・ナシームの「彩色卵」(エジプト)
ホワイトハウスから手をふるナンシー・レーガンと復活祭のウサギ(1981年)