復活祭
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大斎期間中には祈りと食事の節制が行われ[33]、喜びと浄化の時とされる[30]
復活祭当日正教会における復活大祭十字行ガッチナカトリック教会における典礼エーリンゲン

教会暦の区切りは日没頃にある[34][35]。従って、教会における復活祭の当日は、一般の暦で言う前日晩の「復活徹夜祭」から始まる。

正教会における復活大祭当日における奉神礼は、一般の暦でいう前夜に始まり、夜半課、早課一時課聖体礼儀と続けて行われる。夜半課と早課の間には十字行が行われる。夜半課、早課、一時課は構造が通常のものと若干異なる上に、普段は誦経 (正教会)される部分も詠隊によって歌われる聖歌となる。これらの奉神礼の際、「ハリストス復活!」「実に復活!」という挨拶が繰り返し交わされ、パスハの讃詞が繰り返し歌われる。またこの祈祷の最中に、復活の生命を象徴する赤く染められた卵が成聖されて参祷者に配られる[36]。「パスハ (菓子)」および「クリーチ」も参照

カトリック教会では、キリストの受難と復活からなる過越の聖なる3日間(英語版)は、全典礼暦年の頂点と位置づけられ、復活の祭日は典礼暦年の中で最高位を占める主日であると位置づけられる[37]。「過越の聖なる3日間」は、始まりを「主の晩さんの夕べのミサ」とし、中心は復活徹夜祭であり、終わりは「復活の主日の晩の祈り」としている[37]。復活徹夜祭は夜から明け方にかけて行われるよう定められている[37]。この日、イースター・エッグが配られる[注釈 5]。また毎年、教皇から復活祭のメッセージが発表される[38]

聖公会では、復活日前日に復活徹夜祭(復活日前宵礼拝)、復活日当日には復活を祝う聖餐式が行われる。また、復活日の聖餐式後に祝会やイースター・エッグ配布を行う教会も多い[39]

プロテスタント諸教会においては、教会暦にあまりこだわらない場合もあるなど[28]、内実の多様性から一概に言えない。しかし、特別に復活日(復活祭)を祝う礼拝を行い、正教会、カトリック教会、聖公会と同様、イースター・エッグが配られる場合もある[40][41][42]
復活節・復活祭期

復活祭から始まる期間が「復活節」(ふっかつせつ、カトリック教会[8]/ 聖公会[43]/ ルーテル教会[44]の用語)・「復活祭期」(ふっかつさいき、正教会の用語[45])であり、ペンテコステ(聖霊降臨)の日まで7週間続く。それぞれの教会の教会暦において、読まれるべき聖書の箇所や、特別に行われる礼拝典礼奉神礼が定められている。

正教会においては、復活祭期には「ハリストス復活!」「実に復活!」との挨拶が信者間で交わされる。復活大祭からの一週間は光明週間と呼ばれる[46]。この一週間には(食品の制限をはじめとする精進)は行われず[46][47]、この一週間に奉神礼が行われる場合は全て復活大祭と同様の形式で行われる[48]。光明週間は復活大祭翌主日(翌日曜日)である、「聖使徒フォマの主日」とも呼ばれる「アンティパスハ(代逾越節)」まで続く[48][49]

カトリック教会においては、復活節の最初の8日間を「主の復活の8日間」と呼び、この期間内には主日(日曜日)ではない平日でも主の祭日のように祝われる[8]

なおプロテスタントの一部では、復活祭・復活日当日を「復活節」と呼ぶこともある[12]
復活祭に関する習俗
復活祭のあいさつロシア帝国で発行された、復活祭を祝う家族が描かれた絵葉書。左上には「ハリストス復活!」と教会スラヴ語で書かれている。「en:Paschal greeting#The Paschal Greeting in various languages」も参照

日本では、「復活祭、おめでとう(ございます)」、「ハッピー・イースター」(Happy Easter)などが使われる。英語の「Happy Easter!」以外に、ロシア語の「フリーストス・ヴァスクリェース」(キリストは復活した)に対して「ヴァイーストゥヌ・ヴァスクリェース」(まことに復活した)と答える習慣が世界的には比較的広く知られている。
食品復活祭に祝福される食品を入れた籠(ポーランド)復活祭の食卓(スウェーデン)ドイツの復活祭の卵、オスターブロート(復活祭のパン)、オスターハーゼ(ウサギ型のパン)

西方教会と東方教会では、伝統的に四旬節および大斎の期間中禁じられていた肉、乳製品、卵(東方教会では魚肉も)が復活祭の日に初めて解禁になるため、復活祭の正餐の食卓にはこれらの動物性食品が並ぶ。また、卵、バター、乳などをふんだんに使った復活祭独特の菓子パンケーキが作られる。家禽を飼っている家庭では、四旬節および大斎の期間中に生まれたために食べられずにたまっていた卵をまとめて消費するという理由もある。

ドイツでは、オスターフラーデン(ドイツ語版)という円形のパンを食べる。パン生地をウサギの形に成形するとオスターハーゼ(Osterhase)となる[50]

スイスドイツ語圏のオスターフラーデンは、アーモンドレーズンタルトである[51]

イタリアの復活祭の伝統料理は地方によって異なるが、主菜には子羊が好まれる。もっとも有名な食品はコロンバ・パスクワーレ(復活祭のハト)という、ハトをかたどった菓子パンであろう。パン生地に卵を殻ごと入れて焼いた、クッドゥーラ (cuddura) やプッドリーケ (puddhriche) というパンを作る地域も多い。シチリア島ではペコレッレ (pecorelle) と呼ばれるマルチパンでできた子羊が食べられる。復活祭の翌日の月曜日はパスクエッタ(pasquetta、小復活祭の意)と呼ばれる祝日で、戸外でピクニックをする日となっている。

ギリシア神話の神々の信仰が盛んだったシチリアでは、復活祭の伝統行事の中に死から蘇るキリストとハーデースから帰還するペルセポネーの習合と、デーメーテールアドーニス信仰の名残りが見られる[52]

スウェーデンでは、ゆで卵ニシンの酢漬けやアンチョビなどと供する。


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