彼氏彼女の事情
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また、制作面でも今石洋之佐伯昭志など当時若手だったスタッフの起用が目立っている[4]。通常のアフレコとは違い、セミプレスコとして仮編集の映像で声優が台詞を入れ、音声を優先して絵のタイミングや各カットの尺を変更、同時にタイムシートの変更や原画チェックも行う作業を行っていた。これはスケジュールを圧迫した原因の一つにもなり[5]、庵野は「今のテレビアニメの制作システムでは、役者優先は難しかった。でも既にできた絵のイメージを通り越して、役者特有のトーンができたのは独特の面白さがあった」と苦労と手応えについて振り返っている[3]

ガイナックスがセル画からデジタル制作へ移行する過渡期に作られた作品でもある。
原作との相違点

ACT25.0や総集編などを除けば、漫画でのネームをそのまま台本として使えるほど原作に忠実なセリフ回しだが、作画や演出における相違点は当然ある(テレビアニメ版は庵野の意向によりギャグ要素をより強調している[6][7])ほか、オリジナルの展開もある。特にACT25.0「これまでと違うお話」では、主人公の妹である宮沢花野をヒロインにした全編オリジナルストーリーが展開された。

番外編『桜の林の満開の下』は原作と同じく物語途中に組み込まれているが、アニメ版では『ACT0.5』と幕表示されている。また、放送当時は原作の連載が終了しておらず、終盤にはアニメ側のストーリー進行が原作側にほぼ追いついたという事情もあり、物語としては完結させずに最終話を迎えている。最終回は、雪野と有馬の物語が一段落したところで佐倉と十波のエピソードを一話入れ、「彼と彼女(男と女)の物語は、つづく」という形で終了させている。

原作では一年生の夏休み明けにあたるタイミングでアニメ化発表がなされ、原作はその後しばらく休載した。連載再開時に原作の画風が変化していたこと(それまでの丸みを帯びた画風が相対的に直線的で清楚なものになっている)とアニメ化の関係、およびアニメ終盤の展開との関係[6]が取りざたされたが、詳細は不詳である。放送期間中の原作では、やはりアニメ化との関連か「初号機」などの『エヴァ』ネタが登場したこともあった。
スタッフィング

鶴巻和哉監督による新作アニメ(後に『フリクリ』として発表される)の企画が難航して制作に入れず、『エヴァ』で集まったスタッフを留めておく為に急遽立ち上げられた企画である。そのためオリジナル企画を立ち上げる時間的余裕がなく、庵野監督としては初となるマンガ原作付きの監督作品となった。

参加したスタッフの内、佐伯昭志は第8話で原画デビューを果たした[8]。また、作画監督を務めた高村和宏は、キャラクターの服を調べるために雑誌を集めていたと2003年のインタビューの中で振り返っており、「別にシャツなんかちょっとくらい形変わってても気にはならないはずなんですけど、実際にあるものだから探してみないと、不安なんですよね。もし違ってたらと思うと。」とも話している[8]
監督降板劇

第14話のテレビ東京による納品拒否により、放送内容に責任を持てない状況で監督を続けられない、というのが表面上の理由となっている。

実際それは理由の一つではあったが、庵野監督の方法論・作業がスケジュールを圧迫する最大要因となっていた為、この作業を無くし普通のアニメ制作方法にすることでスケジュールを巻き戻すのが最大の理由であったという。スケジュールとスタッフの自主性や自由度を守る為に、怒って自ら辞める形にしたとのこと[9]

ただし、監督を降板したとは言っても毎日制作現場に来てチェックや指示を出しており、普通の監督としての作業は行っていた。その為、実際は監督を降板したとは言わない状況であった。また第26話に関してはスケジュールがきつかった為、積極的にスタッフのコントロールを行い、第14話以前に戻ったような積極的な監督作業を行っている[10]
スタッフ

原作 - 津田雅美(
白泉社LaLaコミックス刊)

企画 - GAINAX

監督 - 庵野秀明(第1話 - 第15話)→あんのひであき(第16話)→アンノヒデアキ(第17話 - )、佐藤裕紀(第16話 - )

アニメーションキャラクターデザイン - 平松禎史

美術監督 - 佐藤勝

美術設定 - 平澤晃弘、服部由美子

色彩設定 - 高星晴美

撮影監督 - 黒澤豊

編集 - 三木幸子

音響監督 - 庵野秀明

音響プロデューサー - 中野徹(第17・20話のみ音響監督の役職名でクレジット)

音楽 - 鷺巣詩郎

オープニングテーマプロデュース - 藤井フミヤ

エンディング撮影協力 - 摩砂雪、シネバザール

プロデューサー - 小林教子、柳沢隆行、大月俊倫

アニメーション制作プロデューサー - 阿部倫久、松倉友二佐藤裕紀→神村靖宏

アニメーション制作・2Dデジタルワークス - J.C.STAFF、GAiNAX

製作 - テレビ東京SOFTXガンジス

主題歌
オープニングテーマ「天使のゆびきり」
作詞 -
藤井フミヤ / 作曲・編曲 - 有賀啓雄 / 歌 - 福田舞

ACT1.0?ACT5.0、ACT7.0はOPなし

エンディングテーマ「夢の中へ
作詞・作曲 - 井上陽水 / 編曲 - 光宗信吉 / 歌 - 榎本温子鈴木千尋

一部ACTで榎本のソロ歌唱、またはカラオケバージョンあり。

ACT25.0 エンディングテーマ「風邪ひいた夜」
作詞・作曲・編曲 - 松浦有希 / 歌 - 渡邉由紀山本麻里安
ACT6.0 挿入歌「S・O・S
作詞 - 阿久悠 / 作曲 - 都倉俊一 / 歌 - 渡邉由紀、山本麻里安
各話リスト

『ACT14.0 - 14.6』および『ACT24.25 - 24.75』は総集編となっている。

回話数・サブタイトル(アイキャッチの四字熟語)脚本絵コンテ演出作画監督放送日
1ACT1.0 彼女の事情 (油断大敵)庵野秀明
今石洋之
佐伯昭志安藤健平松禎史1998年
10月2日
2ACT2.0 二人の秘密 (塞翁失馬)大塚雅彦
小倉陳利大塚雅彦小倉陳利10月9日
3ACT3.0 彼氏の事情 (厚貌深情)今石洋之安藤健今石洋之10月16日
4ACT4.0 彼女の難題 (自縄自縛)佐伯昭志
鶴巻和哉佐藤育郎中山由美10月23日
5ACT5.0 日々の迷宮 (千荊万棘)横田和笠井賢一平岡正幸10月30日
ACT5.5 彼の野望 (虎視眈々)
6ACT6.0 僕を変える、君の声 (芝蘭結契)鶴巻和哉
佐伯昭志大塚雅彦小倉陳利11月6日
7ACT7.0 二人の阻隔 (不撓不屈)伊藤尚往佐藤英一中山由美11月13日
8ACT8.0 彼女の日常 (安閑恬静)平松禎史佐伯昭志平松禎史11月20日
ACT0.5 桜の林の満開の下 (人面桃花)佐伯昭志安藤健
9ACT9.0 モラトリアムの贖罪 (因果応報)笠井賢一薄谷栄之11月27日
10ACT10.0 すべてはこれから (急転直下)岡本英樹
今石洋之岡本英樹伊東伸高12月4日
11ACT11.0 1学期の終わりに (憐香惜玉)伊藤尚往安藤健今石洋之12月11日
ACT11.5 夏の休みの始まりに (同気相求)
12ACT12.0 仕合わせの在処 (悲歓離合)鶴巻和哉12月18日
13ACT13.0 幸せの主観 (帰馬放牛)大塚雅彦平松禎史12月25日
14ACT14.0 これまでのお話 (前編) (紆余曲折)-大塚雅彦-12月30日
ACT14.3 これまでのお話 (中編) (有為転変)
15ACT14.6 これまでのお話 (後編) (多事多難)安藤健
大塚雅彦1999年
1月8日
ACT15.0 声の向こうに見えるもの (一日千秋)伊藤尚往岩崎良明高村和宏
16ACT16.0 永遠の点綴 (生生流転)小倉陳利安藤健小倉陳利1月15日
17ACT17.0 彼の去来 (暮雲春樹)笠井賢一薄谷栄之1月22日
18ACT18.0 シン・カ (朝雲暮雨)佐藤順一大塚雅彦平松禎史1月29日
19ACT19.0 14DAYS・1 (清風故人)今石洋之木村隆一今石洋之2月5日
20ACT20.0 14DAYS・2 (臥薪嘗胆)庵野秀明高橋裕一
藤井昌宏鈴木行高橋裕一
藤井昌宏2月12日
21ACT21.0 14DAYS・3 (幽愁暗恨)岡本英樹今泉友宏
佐田和弘2月19日
22ACT22.0 14DAYS・4 (気炎万丈)布施木和伸高島大輔高橋裕一
藤井昌宏2月26日
23ACT23.0 14DAYS・5 (落花流水)伊藤尚往石堂宏之
高島大輔今泉友宏
佐田和弘3月5日
24ACT24.0 今までと違うお話 (屋梁落月)佐伯昭志高村和宏3月12日
ACT24.25 これまでのおさらい「天ノ巻」 (瓦釜雷鳴)
ACT24.50 これまでのおさらい「地ノ巻」 (故歩自封)
ACT24.75 これまでのおさらい「人ノ巻」 (咬文嚼字)
25ACT25.0 これまでと違うお話 (傍目八目)佐藤竜雄中山勝一小倉陳利
中山勝一3月19日
26ACT26.0 14DAYS・6 (有無相生)庵野秀明
安藤健安藤健平松禎史3月26日

映像ソフト

KING AMUSEMENT CREATIVE(旧・スターチャイルド)からリリースが行われ、今までVHS/LD/DVD/BDで発売されている。
映像ソフトにおける庵野秀明「監督」表記について


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