彼らは生きていた
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129分 (拡張版)[1][2]

製作国 ニュージーランド
イギリス
言語英語
興行収入$20,400,000[3][4]
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『彼らは生きていた』(かれらはいきていた、They Shall Not Grow Old)は、2018年ニュージーランドイギリスドキュメンタリー映画。監督・脚本はピーター・ジャクソン
概要

帝国戦争博物館(IWM)が所有する第一次世界大戦の映像を利用して製作され、音源はBBCとIWMが所有する実際に戦闘に参加したイギリス軍人のインタビューが用いられている。映像のほとんどは現代の製作技術で着色化・変換され、さらに効果音と読唇術で解析した会話の音声が追加されて兵士の実体験により近づけられた。

祖父が第一次世界大戦経験者であるジャクソンにとって初のドキュメンタリー映画であり、彼は兵士の体験に没入できるように意図して製作した。スタッフは200人の退役軍人の600時間のインタビューと100時間のフィルム映像を精査して映画を作り上げた。タイトルはローレンス・ビニョンの1914年の詩「戦没者のために」の「残された我々が年をとっても、彼らは年をとらない」("They shall grow not old, as we that are left grow old")から引用されている。

2018年10月16日にロンドン映画祭と英国の一部劇場で同時にプレミア上映され、また休戦から100周年となる2018年11月11日にBBC Twoで放送された。またアメリカ合衆国では12月17日に限定公開され、その興行的成功を受けて翌2019年2月にワーナー・ブラザース配給で拡大公開された[5]。修復作業、没入感のある雰囲気、戦争の描写は評論家から絶賛され、また英国アカデミー賞ドキュメンタリー賞にノミネートされた。

日本ではAmazonプライム・ビデオでの配信やWOWOWでの放映時には『ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド』のタイトルが使われている[6][7]
製作

2015年、14?18 NOW(英語版)と帝国戦争博物館(IWM)はBBCと共にジャクソンにプロジェクトを委託した[8]。ジャクソンによると映画の製作のためにスタッフたちはBBCの600時間のインタビューとIWMの100時間のオリジナル映像を検証した[9][10]。インタビューは200名の退役軍人たちのものでああり、そのうち120人の音源が映画で使用された[11]。映像を受け取ったジャクソンは従来のようなナレーションを使わず、代わりに戦争の記憶を語る兵士の音声のみを活用して彼ら自身の映画を作ることにした。同じ理由で日付や撮影地の名前はほとんど表示されない方針となった[10]。「これは第一次世界大戦の物語でも歴史的な物語でもなく、完全に正確でさえもないかもしれないが、戦った男たちの記憶であり、彼らは兵士であることがどのようなものであったかについての印象を与えているだけだ」?プレミアでのピーター・ジャクソン[9]

ジャクソンは「映画を実現するにあたって私たちは兵士を特定しないことに決めた。声が出るたびに画面に名前がポップアップするほど多くの兵士がいた。ある意味でそれは匿名で不可知論的な映画となった。また私たちは日付や場所の参照もすべて削除した。この日やその日についての映画にしたくなかったからだ。その全てについての何百もの本があるのだ。私はこの映画が人間の経験であり、そのように不可知論的であることを望んだ。(中略)私は個人に関する個別の物語は欲しなかった。最終的に120人が1つの物語を語るようにしたかった」と述べた[10]。また別のインタビューで彼は「(兵士たちは)カラーで戦争を目撃しており、確実に白黒ではなかった。私は時間の霧を乗り越えて彼らを現代の世界に引き込み、ヴィンテージのアーカイヴ映画のチャーリー・チャップリン型の人物としてだけでは無く、人間性をもう一度取り戻したかった」と述べた[12]。この映画は第一次大戦でイギリス軍として戦ったジャクソンの父方の祖父のウィリアム・ジャクソン軍曹に捧げられており[13]、ピーターは父と一緒に祖父の戦争の話をして育てられていた[14]。ジャクソンは映画の製作後、「私の父が何を経験したかについての理解が深まった」と語った[12]

ジャクソンは映画製作にあたってギャラを受け取らなかった[8]。完成した映画で使われた映像はほんの一部だったが、ジャクソンのスタッフたちは帝国戦争博物館から受け取った100時間の映像全てを「アーカイヴをより良い形にするため」に復元した[10]

映画はウィングナット・フィルムズがハウス・プロダクションズと共同で製作し、英国国営くじ(英語版)とデジタル・文化・メディア・スポーツ省の支援を受けた[15][16]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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