大前提として、旧商法が大陸法を基本として成立し、改正商法・会社法が英米法概念に相当接近した事により役員の範囲・責任が大幅に変化している。 会社の組織をどのようにするかで権限が異なるため、会社法における取締役の一義的な定義は困難である。 会社法の原則形態である取締役会非設置会社においては、取締役とは会社において内部的な業務執行を行うとともに、対外的に会社を代表する必要的常設機関である(348条
取締役
これに対して、取締役会設置会社においては、取締役は取締役会の構成員である。この場合、取締役は3人以上でなければならない(331条4項)。
会社法の規定によるものではないが、社長や専務などの内部的職制を有する取締役を役付取締役、そうではない取締役を平取締役と呼ぶことがある。 代表取締役は、取締役会設置会社と任意に代表取締役設置を決めた取締役会非設置会社において、内部的な業務執行を行うとともに、対外的に会社を代表する機関である(349条
代表取締役
取締役会設置会社においては、設置が義務づけられている必要的常設機関である。一方、取締役会非設置会社においては、原則として各取締役が会社の代表権を有している(会社法349条1項・2項)ため、代表取締役は定款に定めることで任意に設置できる(会社法349条3項)。また、委員会設置会社においては、取締役には業務執行権がなく(415条)、代表権は代表執行役が有するため、代表取締役は設置できない。
代表取締役の人数については、1人と誤解されていることがあるが、法律上は人数に制限が無く、2人以上を選定した場合は各代表取締役が会社を代表する。 社外取締役とは、株式会社の取締役であって、当該株式会社又は子会社の業務執行取締役・執行役・支配人その他の使用人ではなく、かつ、過去に当該株式会社又は子会社の業務執行取締役・執行役・支配人その他の使用人となったことがない者のことである(会社法2条15号)。 社外の者が取締役会の構成員になることで、会社の業務執行の適正さを保持させる趣旨である。しかし、この定義に当たれば社外取締役なので、業務執行をしていなければ就任から何年経っても社外取締役であるし、親会社の役員も子会社の社外取締役になりうる。 委員会設置会社においては、社外取締役が必ずいなければならず、各委員会の過半数が社外取締役でなければならない(400条 会社法では役員等(「等」が付く)であり、「取締役」でない者は会社法の役員ではない。執行役は、委員会設置会社の業務執行をおこなう機関である(418条
社外取締役
執行役
委員会設置会社においては、業務の意思決定と執行が分離される。前者は取締役会が、後者は執行役が担当する。この場合、取締役には業務の執行権限はないが、取締役と執行役を兼任することは可能である。 執行役の一種であり、会社法では役員等(「等」が付く)であり、「取締役」でない者は会社法の役員ではない。代表執行役は、委員会設置会社において会社を代表する権限を有する執行役である(420条 監査役は、取締役の業務執行を監査する会社の機関である(381条 社外監査役とは、株式会社の監査役であって、当該株式会社又は子会社の取締役・会計参与・支配人その他の使用人となったことがない者のことである(2条 法律に規定のない名称は会社が自由に付けられるので、必ずしも一義的な定義があるわけではない。会社によって使われ方がまちまちである。以下では、比較的多い使われ方の説明をする。下記の役職のほか、最近は欧米企業で用いられているチーフ・オフィサー(最高責任者)の名称を使用している企業も多く見られる。 この役職や呼称であっても、「監査役」「取締役」でない者は、会社法の役員ではない。会長とは、日本の会社においては一般に社長より上位の役職であり、社長を退いた前社長が就く肩書として用いられる。また、複数の企業を傘下に置くグループ全体の長であることを示すために会長を使用する例も多い。この場合、グループ各社の持株会社であるホールディングス企業の代表取締役を兼任することもある。 ただし、「会長」という役職について会社法では特段定義付けされておらず、その地位の上下、権限や責任の軽重などは個々の会社の任意である。これは、以下に記載する専務・常務、執行役員など会社法に定義が明記されない全ての肩書に当てはまる。取締役を兼任すること、またはしないこと、代表取締役であること、そうでないことも、いずれもまた任意である。(前述のCEO/COOも、会長/社長でなく社長/副社長であっても良い) 相談役的な位置付けであることもあれば、いわゆる「院政」を敷くために便宜上用いられることもある。かたや、実質的な権限は取り上げた上で会長という肩書をもって形式上祭り上げておく名誉職の場合もあり、その位置付けは個々の会社によって様々である。 なお、「会長」が取締役会の会長である旨の記述も散見されるが、これは誤りである。取締役会には「議長」を設ける事は出来ても「会長」は存在しない。取締役会の決議はあくまでも出席取締役の過半数(もしくは定款で定めた割合)で決まるものであり、議決権という意味では各取締役は同列であり法的に地位の優越はない。 トヨタ自動車のように、会社によっては会長の下に「副会長」というポストが置かれ、副会長も代表取締役であるケースもある[5]。 取締役会の議長は社長あるいは会長が行うことが一般的だが[注 1]、コニカミノルタのように社長・会長とは別に「取締役会議長」を置いて監督と執行の分離を図ったり[7]、日立製作所や東芝などのように、社外取締役を「取締役会議長」として取締役会の議事進行権を与え、取締役会の改革を図っているケースもある[8]。 この役職や呼称であっても、「取締役」でない者は、会社法の役員ではない。社長は、文字通り、会社の長である。銀行では、頭取と呼ぶところが多い。社長は、通常は代表権を有する取締役(代表取締役)または執行役(代表執行役)である。ただし、あくまで会社内部の名称であるから、取締役(代表取締役)や執行役(代表執行役)である必要は法律上はない。また、取締役や執行役であっても代表権がある(代表取締役、代表執行役)とは限らない。ただし、代表権がなくても表見代表取締役(354条
代表執行役
監査役
社外監査役
会計参与)。公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人でなければ会計参与にはなれない(333条1項)。会社法においてはじめて設けられた新しい制度である。
会社法に規定のない内部的職制
会長
会長が会社全体の戦略を指揮し(CEO)、社長が日常の業務執行を指揮する(COO)といった分担をすることもあり、その場合は会長が事実上の最高責任者である。
大企業の場合は、たとえ第一線から退いた場合であっても大きな影響力を持ち敬意をもって遇されることも少なくないが、一方で街の中小企業でも用いられることの多い肩書である。(オーナー企業における引退した前社長等)
議長
社長
取締役でも執行役でもない社長に、ライブドア社の平松庚三執行役員社長(当時)の例がある。これは、ライブドア事件に関与したとして主だった取締役が退任した結果、社長たる人材が取締役から居なくなってしまったため、2006年1月24日に執行役員のまま社長に就任したことによる。あくまでも暫定的な措置であり、同年6月14日の株主総会で取締役に選任されている。
また、社内に社長等、会社の長を名乗る人がいない状態である社長なしの会社であっても問題はないが、事実上のリーダーを制定するために、代表取締役または他の役員等から社長を選任するのが一般である。 この役職や呼称であっても、「取締役」でない者は、会社法の役員ではない。社長に準じる地位。1人とは限らず、大規模な企業では2人以上を置く場合もある一方、小規模な企業では置かないことが多い。副社長は、通常は取締役(代表取締役)や執行役(代表執行役)である。ただし、あくまで会社内部の名称であるから、取締役(代表取締役)や執行役(代表執行役)である必要は法律上はない。また、取締役や執行役であっても代表権がある(代表取締役、代表執行役)とは限らない。ただし、代表権がなくても表見代表取締役(354条
副社長
専務、常務、執行役、執行役員