イギリス軍のモントゴメリー将軍にはM・E・クリフトン・ジェームズ中尉という影武者がいた。ノルマンディー上陸作戦を隠蔽するための欺瞞作戦の一つ「コッパーヘッド作戦(英語版)」の折、モントゴメリーに扮したジェームズは地中海にて高官たちと南フランス侵攻について公の場で語り合い、あえてその情報をドイツ側に漏らすことでドイツ軍の主力を南フランスへ逸そうと試みた。
他にもイラクのサダム・フセインには本人と見分けがつかない影武者が複数人いたことを面会経験のある河内家菊水丸が証言している。
ウラジーミル・プーチンがロシア大統領に就任した時期は、チェチェン共和国独立派によるテロリズムが相次いでいたこともあり、影武者の利用が検討されていた。本人は利用を断ったとしているが、影武者の存在に関する憶測は、在任中に幾度も流れた[5]。
上記の意味が転じて、著名人がマスメディアの取材・追跡を避けるため、秘書や友人など関係者を身代わりとして、マスメディアの方向をそらす際に「影武者」という表現を用いることがある。
影武者の例
歴史家テオファネスは著書『テオファネス年代記』にて、655年のマストの戦い(英語版)にて、皇帝コンスタンス2世が影武者に帝衣を着せて逃げ、影武者が殺されたという記述を残している[6]。
パトロクロス:『イーリアス』で英雄アキレウスに成り代わって友軍の士気を立て直そうとした。
影武者を題材にした作品
映画
影武者黒澤明監督作品。仲代達矢主演。武田信玄の影武者を主人公とする。
SHADOW/影武者原題『影』。チャン・イーモウ監督。ダン・チャオ、スン・リー主演。
小説
影武者徳川家康隆慶一郎の小説。後に原哲夫により漫画化され(週刊少年ジャンプ連載)、1998年には高橋英樹を主演としてテレビ朝日でテレビドラマ化された。また、2014年にはテレビ東京の新春ワイド時代劇において、西田敏行を主演として再びテレビドラマ化されている。徳川家康は実は関ヶ原の戦いで暗殺され、それ以後活躍したのは家康の影武者であるという内容。
第三の陰武者南条範夫の小説。井上梅次監督・市川雷蔵主演で『第三の影武者』として映画化された。また黒藤広隆により漫画化された。
身代わり忠臣蔵土橋章宏の小説。2024年に映画化。ムロツヨシが吉良上野介を演じる。吉良上野介が松之大廊下での刃傷沙汰で死亡し、彼にそっくりな弟が替え玉に仕立て上げられる内容。
漫画
レイリ岩明均原作、室井大資作画の漫画。武田信勝の影武者の一人となる少女を主人公とする。