文法的形態素(ぶんぽうてきけいたいそ)とは、語根 (基礎語幹) で示す観念を特定の文法範疇へ方向づけるものである。比較言語学によってその原初的構成部分を分離できる。語根と接尾辞からなる全体が語幹を形成するが、語基と形態素の複合でもある。印欧語学では、セム語派と異なり、この語幹を基礎として全体系が構築される。その理由は、語幹に文法的形態素が前接(加音/重複等)するか、後接(接尾)するという、文法的特性を有する形態素の附加により、格と数と人称(語尾の活用・曲用)とが示されるからである。(ギリシア語では、「現在のアスペクトの動詞語幹とアオリストのアスペクトの動詞語幹」とが対立し、活用の基礎となる。)
そしてこれらに、「派生」が加わる:形態素の附加により、派生語が形成される。活用や曲用のわく内で同一語が採るさまざまな語形のことでなくて、接尾される形態素により、名詞・形容詞・動詞・副詞等のあらゆる文法範疇の語が派生する(この派生語はセム語系の「形態素」にも広く通じるものであり、「語基」をもとに、あらゆる文法的形態素が附加され、意味論的観念からも、膨大な派生語(語彙)を形成する)。
また、形態素の附加とそれから生ずる音韻の変化は、通時的な音韻の変化・発展を考慮する必要をも生じ、同定については歴史言語学的音韻論に依拠しなければならない。
関連文献
鈴木重幸 「構文論における形態素主義について」(『横浜国立大学人文紀要』第二類 語学・文学第二十二輯,1975年。『形態論・序説』むぎ書房,1996年,1996年,ISBN 978-4-8384-0111-6 に再録)
脚注^ 『広辞苑』
関連項目
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外部リンク
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典『形態素
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