弾道ミサイル潜水艦
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冷戦終結後、イギリスでは航空機搭載核爆弾が退役し、フランスでは陸上配備中距離弾道ミサイルが廃止される等、核戦力が整理されたがSSBNの配備は続けており、中国も094型(晋級)の配備によるSSBNの増勢を行う等、SSBN戦力の維持・増加が続けられている。また、北朝鮮は2010年代より、SLBMの開発を積極的に進めており、2022年時点で通常動力型のSSB1隻を保有しているとされる[6]
構造・運用ボレイ級の内部構造

弾道ミサイル潜水艦では、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の搭載・発射のため、艦体に垂直発射筒を装備している。アメリカ海軍では、このミサイル区画をシャーウッドの森と俗称している[7]オハイオ級原子力潜水艦においては、SLBMはコールド・ランチ方式により水中発射される[8]。ロケット式燃焼器により、水タンクの水を加熱し、発生した水蒸気を用いてミサイルを艦体から上方に射出、その後、ミサイルは本体のロケット推進機に点火し、飛翔する[8]

弾道ミサイル潜水艦の主要任務は報復核戦力の確実な保持であり、そのために戦略パトロール(核抑止哨戒)を行う[9][10]。作戦中の正確な位置は潜水艦隊の司令官にも知らされていないなど、位置の秘匿が徹底されている[1]。哨戒の際は、仮想敵国をSLBMの射程に収め、できれば敵対潜部隊の脅威が少なく、味方部隊の支援が得られる地域で行動することが望ましい[9]。このような哨戒海域は軍事的な聖域とされ、ソ連・ロシア海軍におけるオホーツク海等がそれにあたる[11]。そのような中でも、特に冷戦期のアメリカ海軍の攻撃型原子力潜水艦は、ソ連海軍のSSBNの追尾を行っており、戦時に入れば直ちに撃沈し、核戦力の無効化することを図っていた[10]。そのため、1993年3月にはコラ半島沖で、アメリカ海軍のUSSグレイリング(SSN-646)がロシア海軍のK-407との衝突事故を起こしているコラ半島沖潜水艦衝突事件(英語版)等、水中での衝突事件も発生している。

弾道ミサイル潜水艦を恒常的に哨戒配備につけるためには、哨戒・訓練・整備のローテーションの都合上、最低3隻が必要とされ、予備も含めれば少なくとも4隻が必要とされる[10]。アメリカ海軍とイギリス海軍では、哨戒効率の向上を図るため、艦ごとに2チームのクルーを準備しており、それぞれチーム名はブルー及びゴールド(Blue and Gold)、ポート及びスターボード(Port and Starboard)と呼ばれる[10][12]。アメリカ海軍では、ジョージ・ワシントン級の時点より2チーム制であるが、これは当時のSLBMの射程が短くソ連近海での哨戒配備の必要があり、アメリカ本土まで戻らずにホーリー・ロッホ(スコットランド)やロタ(スペイン)、グアム等の前進基地において、潜水母艦を用いて補給・乗員交代と軽度の整備を行い、移動時間の節約を図っていたことでもあった[13]
主な弾道ミサイル潜水艦

アメリカ合衆国

オハイオ級原子力潜水艦

コロンビア級原子力潜水艦(計画中)


イギリス

ヴァンガード級原子力潜水艦

ドレッドノート級原子力潜水艦(計画中)

インド

アリハント級原子力潜水艦


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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