強姦
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21世紀に入り、アメリカ・韓国・インドネシアでは、小児への性犯罪者に対し、薬物により「化学的去勢」を行うことが認められた[24][25][26]

こうした断種や去勢に対して、香山リカは優生思想に基づく断種の歴史の軽視や、人道に対する罪であるとして否定的な見解を示している[27]
法的定義

強姦の定義は国などによって異なる。
日本「不同意性交等罪」も参照

長らく強姦罪として、暴行または脅迫を用い、または13歳未満の女子に対して、男性器により女子の抵抗を著しく困難な状態に追い込み女性器を姦淫した場合に限り強姦罪が適用されていた。強姦罪の制定目的は女性の保護よりも血統の乱れや嫡出関係の崩壊を防ぐことが想定されていたと考えられており[28]、旧法では実質的に関係が破綻していたと認められない限り、夫婦間での強姦罪は成立しないというのが通説であった[28]

法定刑も2年以上の懲役と低いままであったが、2004年に3年以上に引き上げられた。2017年7月13日には法改正により強姦罪は廃止され強制性交等罪に置き換えられた。強制性交罪では被害者が男性の場合や、肛門や口腔を犯しまたは犯させた場合も適用対象に加え、法定刑も5年以上の懲役となった。男性器が膣、肛門または口腔の中に挿入されることにより既遂となる(射精は既遂の要件ではない)[29]から、主体には一人以上の男性器保有者が必要と解され(ただし、男性器非保有者も 暴行・脅迫の主体とはなりうるから、間接正犯共同正犯にはなりうる[30])、単純な強制レズビアン・セックスは強制わいせつ罪を構成するにすぎない(クンニリングスを口腔性交と解すればこの限りではない)。また、さらに監護者の立場に乗じて18歳未満の者にこれらの行為を働いた場合(同意の有無を問わない)にも同じく処罰されるようになった(監護者性交等罪)。
アメリカ合衆国

アメリカでは、互いの合意のない性行為の強要は恋人間(デートレイプ)や夫婦間(マリタル・レイプ)でも強姦と見なされ、刑事罰の対象となるという判例が定着している[31]。さらに司法省は2012年1月7日にFBIの「強姦」の定義を拡大することを明らかにした[32]

司法省によれば、2010年に発生した強姦件数は18万8380人となっているが、これは氷山の一角との指摘もある。「疾病予防管理センター」によれば、全米で無作為抽出した約1万人の女性に電話アンケートを行ったところ、18.3%が「強姦されたことがある」または「強姦されそうになったことがある」と回答し、また加害者との間柄については、被害を受けたと回答した女性の過半数を占める51.1%が、「親密な現在・過去の恋人や配偶者」と回答した。次いで多かったのが「知人」だった。

2014年保健福祉省に属する「疾病予防管理センター」が実施した調査結果によれば、「アメリカに在住する女性のうち、ほぼ5人に1人がレイプ被害者であり、その数は2300万人超」だという。[33]

米産婦人科学会誌の1996年の研究によれば、こうしてレイプされた女性が妊娠してしまう確率は5%に上り、毎年、推定3万2101件のレイプによる妊娠があるという。また、キリスト教国であるという性格を持ち、社会・政治への宗教的影響が強いアメリカでは、人工妊娠中絶の是非が選挙の争点の一つになるなど多大な関心が寄せられる。キリスト教原理主義の立場から「レイプ被害者の人工妊娠中絶も絶対禁止すべき」と主張する中絶反対派もおり、キリスト教保守派が支持基盤にある共和党党員・支持者にも存在し問題が複雑化している[34]
脚注[脚注の使い方]
注釈
出典^ 小学館『デジタル大辞泉』、三省堂大辞林』第3版. “強姦”. コトバンク. 2019年10月23日閲覧。
^ 平凡社世界大百科事典』第2版、. “強姦”. コトバンク. 2019年10月23日閲覧。
^ 小学館『精選版 日本国語大辞典』. “強姦”. コトバンク. 2019年10月23日閲覧。
^ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』、平凡社『百科事典マイペディア』、ほか. “性暴力”. コトバンク. 2019年10月23日閲覧。
^ 小学館『デジタル大辞泉』. “性的暴力”. コトバンク. 2019年10月23日閲覧。
^ “今日のKEIBEN用語集一覧 ツッコミ”. 刑事弁護OASIS. 2021年5月10日閲覧。
^ “犯罪統計”. 警察庁. 2022年10月20日閲覧。
^ a b “平成30年1?12月犯罪統計【確定値】 訂正版”. e-Stat 統計で見る日本(公式ウェブサイト). e-Stat(cf. 政府統計共同利用システム) (2019年3月8日). 2019年10月23日閲覧。
^ 大塲 2006, pp. 28?34.
^ 安藤 2010.
^ “2 強制性交等・強制わいせつ - 平成30年版 犯罪白書 第1編/第1章/第2節/2”. 犯罪白書(公式ウェブサイト). 法務省 (2018年). 2019年1月31日閲覧。
^ 総務省 統計局統計調査部 国勢統計課 (2019年3月20日). “人口推計 各月1日現在人口 「全国:年齢(5歳階級),男女別人口」及び「(参考表)全国人口の推移」平成30年10月確定値、平成31年3月概算値”. e-Stat 統計で見る日本(公式ウェブサイト). e-Stat. 2019年3月22日閲覧。
^ FBI. “Uniform Crime Reports>2018 Crime in The United States>Violent Crime>Table1”. 2019年10月3日閲覧。
^ 法務省:犯罪被害実態(暗数)調査
^ a b 「南ア男性の4人に1人がレイプ経験者!? 研究機関調査」『産経新聞産業経済新聞社、2009年6月19日。2019年10月23日閲覧。[リンク切れ]
^ Zieminski, Anna「南ア男性の4人に1人がレイプ経験者!? 研究機関調査」『AFPBB News』フランス通信社 (AFP)、2009年6月19日。2019年10月23日閲覧。
^ 「性犯罪が米大学内で横行「キャンパスレイプ」の実態」『』DIAMOND Online、2016年6月24日。2022年10月21日閲覧。
^ a b 「なぜ大学生は性犯罪に走るのか」『東スポweb』Tokyo Sports Press、2016年11月23日。2022年10月21日閲覧。
^ 「韓国20代男性の53% 「キスは性関係に同意したこと」…大学の性暴力が危険レベル(1)」『中央日報』韓国経済新聞社、2022年7月23日。2022年10月21日閲覧。
^ 「アメリカの女子大生4人に1人が性的暴行被害に─調査結果により判明」『』COURRiER、2019年10月22日。2022年10月21日閲覧。
^ ダイヤグラムグループ 1992, p. 288 (M. Amir, "Patterns of Forcible Rape")
^ 「性的暴行、8割は知り合い・親族による犯行」『Record China』2008年9月9日付配信
^ [1]
^ “子どもへの性犯罪、死刑と「去勢刑」認める インドネシア”. CNN.co.jp. 2020年3月21日閲覧。
^ 「小児性犯罪者を化学的に去勢 米アラバマで州法成立」『BBCニュース』、2019年6月12日。2020年3月21日閲覧。
^ 姜?來「 ⇒韓国における性犯罪者に対する化学的去勢 : 性暴力犯罪者の性衝動薬物治療に関する法律の概観」『比較法雑誌』第46巻第2号、日本比較法研究所、2012年、75-102頁、.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISSN 0010-4116、NAID 120006638529。


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