強姦
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20世紀以降は、アメリカ[17]や日本[18]、韓国[19]等において大学生による性的暴行事件、いわゆる「キャンパスレイプ」が多発し社会問題になっている。日本では2003年に発生した早稲田大学インカレサークルによる集団強姦事件「スーパーフリー事件」から集団強姦罪・集団強姦致死傷罪が創設されるなどしたが、2010年代後半に再び事件が多発し、その実態が明るみになっている[18]。アメリカでは、女子大学生のおよそ4人に1人が性的暴行を受けていることが2019年に行われたワシントンポストのアンケートによって判明しており、その大多数の被害にアルコールが絡んでいたという[20]
社会学

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社会学的見地

アメリカでは強姦する加害者の半数以上が若年層であるという統計もあり[21]、強姦する側が貧民層であるというのは、ある種の差別的な幻想である。社会的地位の低さによって満足な性生活が送れない、あるいは失う物が少ないなどの理由で犯行に及ぶ場合もないわけではない。貧困と強姦を特に結びつける根拠としては説得力に欠ける。富裕層の強姦事件も決して少なくなく、社会的地位と強姦についての因果関係に結論は出ていない。

強姦は一般に見知らぬ他人が加害者であるイメージがある。犯罪白書によれば70%が見知らぬ人による犯罪で、知人による犯行は20%程度である。これを元に判断すれば見知らぬ他人が加害者であるというイメージは、ある程度の妥当性を持っている。一方、香港における女性への性的暴行においては約8割のケースで親族や知り合いが加害者になっているとの報告もある[22]。相手が旧知の間柄である場合、「強姦」として報告されない事例があるためにこのような差が生まれるとも考えられる。

ラディカル・フェミニズムでは、男性による女性に対する性的な支配が、男性社会を維持する仕組みとして使われてきた側面があるとする社会学的見方が主張されている。スーザン・ブラウンミラーは、強姦は、社会的に抑圧された男性がその弱さを糊塗するため、女性を支配することによって力を誇示して満足感を得ようとする権力作用であり、男女間の力関係を支配・征服により確認する行為であるとしている。
性犯罪者への断種・去勢

レイプが男性の性欲に強く依存することに基づいて、抗アンドロゲン剤を投薬あるいは注射することにより、性犯罪者の更生と再発防止を図る試みも、アメリカなど一部の国で行われている。しかし、これはまた別の人権論争を巻き起こしている。

20世紀以降、北欧などの民主主義的国家において性犯罪者に対し、強制断種が合法的に実施された。デンマークの「全国女性会議」は1920年代に男性の性犯罪者から女性を守るために性犯罪者に対する去勢手術を合法化する必要があると運動を展開し、フェミニスト達の解釈による政治的運動が法的に反映された[23]

21世紀に入り、アメリカ・韓国・インドネシアでは、小児への性犯罪者に対し、薬物により「化学的去勢」を行うことが認められた[24][25][26]

こうした断種や去勢に対して、香山リカは優生思想に基づく断種の歴史の軽視や、人道に対する罪であるとして否定的な見解を示している[27]
法的定義

強姦の定義は国などによって異なる。
日本「不同意性交等罪」も参照

長らく強姦罪として、暴行または脅迫を用い、または13歳未満の女子に対して、男性器により女子の抵抗を著しく困難な状態に追い込み女性器を姦淫した場合に限り強姦罪が適用されていた。強姦罪の制定目的は女性の保護よりも血統の乱れや嫡出関係の崩壊を防ぐことが想定されていたと考えられており[28]、旧法では実質的に関係が破綻していたと認められない限り、夫婦間での強姦罪は成立しないというのが通説であった[28]

法定刑も2年以上の懲役と低いままであったが、2004年に3年以上に引き上げられた。2017年7月13日には法改正により強姦罪は廃止され強制性交等罪に置き換えられた。強制性交罪では被害者が男性の場合や、肛門や口腔を犯しまたは犯させた場合も適用対象に加え、法定刑も5年以上の懲役となった。男性器が膣、肛門または口腔の中に挿入されることにより既遂となる(射精は既遂の要件ではない)[29]から、主体には一人以上の男性器保有者が必要と解され(ただし、男性器非保有者も 暴行・脅迫の主体とはなりうるから、間接正犯共同正犯にはなりうる[30])、単純な強制レズビアン・セックスは強制わいせつ罪を構成するにすぎない(クンニリングスを口腔性交と解すればこの限りではない)。また、さらに監護者の立場に乗じて18歳未満の者にこれらの行為を働いた場合(同意の有無を問わない)にも同じく処罰されるようになった(監護者性交等罪)。
アメリカ合衆国

アメリカでは、互いの合意のない性行為の強要は恋人間(デートレイプ)や夫婦間(マリタル・レイプ)でも強姦と見なされ、刑事罰の対象となるという判例が定着している[31]。さらに司法省は2012年1月7日にFBIの「強姦」の定義を拡大することを明らかにした[32]

司法省によれば、2010年に発生した強姦件数は18万8380人となっているが、これは氷山の一角との指摘もある。「疾病予防管理センター」によれば、全米で無作為抽出した約1万人の女性に電話アンケートを行ったところ、18.3%が「強姦されたことがある」または「強姦されそうになったことがある」と回答し、また加害者との間柄については、被害を受けたと回答した女性の過半数を占める51.1%が、「親密な現在・過去の恋人や配偶者」と回答した。次いで多かったのが「知人」だった。

2014年保健福祉省に属する「疾病予防管理センター」が実施した調査結果によれば、「アメリカに在住する女性のうち、ほぼ5人に1人がレイプ被害者であり、その数は2300万人超」だという。[33]

米産婦人科学会誌の1996年の研究によれば、こうしてレイプされた女性が妊娠してしまう確率は5%に上り、毎年、推定3万2101件のレイプによる妊娠があるという。また、キリスト教国であるという性格を持ち、社会・政治への宗教的影響が強いアメリカでは、人工妊娠中絶の是非が選挙の争点の一つになるなど多大な関心が寄せられる。キリスト教原理主義の立場から「レイプ被害者の人工妊娠中絶も絶対禁止すべき」と主張する中絶反対派もおり、キリスト教保守派が支持基盤にある共和党党員・支持者にも存在し問題が複雑化している[34]
脚注[脚注の使い方]
注釈
出典^ 小学館『デジタル大辞泉』、三省堂大辞林』第3版. “強姦”. コトバンク. 2019年10月23日閲覧。
^ 平凡社世界大百科事典』第2版、. “強姦”. コトバンク. 2019年10月23日閲覧。
^ 小学館『精選版 日本国語大辞典』. “強姦”. コトバンク. 2019年10月23日閲覧。
^ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』、平凡社『百科事典マイペディア』、ほか. “性暴力”. コトバンク. 2019年10月23日閲覧。
^ 小学館『デジタル大辞泉』. “性的暴力”. コトバンク. 2019年10月23日閲覧。
^ “今日のKEIBEN用語集一覧 ツッコミ”. 刑事弁護OASIS. 2021年5月10日閲覧。
^ “犯罪統計”. 警察庁. 2022年10月20日閲覧。


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