強制性交等罪
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

法改正で非親告罪に変わり、強盗などと同じく、被害者が意思を示しているかどうかにかかわらず、事件の認定をもって処罰ができるようになった[22][23][20]

強姦罪の法定刑引き上げ及び非親告罪化により、「集団強姦等罪」を廃止した[64][20]

監護者性交等罪」「監護者わいせつ罪」を新設し、18歳未満の子どもを監護(生活全般を支える)する親や児童養護施設職員などが、その影響力に乗じて性交・わいせつ行為を行った場合は、暴行や脅迫がなくても処罰されるようになった[36][23]

罪名が強姦罪から強制性交等罪に改定されたことに伴い、刑法178条2項の「準強姦罪」(3年以上の懲役)は「準強制性交罪」(5年以上の懲役)に、刑法181条の「強姦致死傷罪」(無期または5年以上の懲役)は「強制性交等致死傷罪」(無期または6年以上の懲役)に、刑法241条の「強盗強姦罪」(無期または7年以上の懲役)は「強盗・強制性交等罪」(無期または7年以上の懲役)に、「強盗強姦致死傷罪」(死刑または無期懲役)は「強盗・強制性交等致死傷罪」(死刑または無期懲役)へと変更された[66][38]

「強制性交等致死傷罪」は、強制性交等により被害者を死亡・負傷させた場合に成立し、結果的加重犯として罪が重くなる[81]

強盗・強制性交等罪」は、強盗犯人が強姦をした場合や強姦犯人が強盗をした場合であり、強盗罪や強制性交等罪よりも罪が重くなる[23][66][20]。結果として死亡させた場合は死刑または無期懲役となる[23][66]

これらの罪は未遂も処罰される(刑法180条、243条など)[66][38]


監護者性交等罪(2017年創設)

虐待の実情を鑑み、関係性を利用した強姦の中でも特に被害者の拒否が難しいと考えられることや、その後の人生に与える影響の深刻さから、「監護者性交等罪(刑法179条2項)」「監護者わいせつ罪(刑法176条)」が新設された[82][36][83]。「監護者」とは、親などの生活や生計を共にし、保護・被保護、依存・被依存の関係にある者を監護する者のことである[36]。これにより、監護者(実親や養親養護施設の職員など子どもを監護する立場の人)が、18歳未満の子どもが自分の言葉を信じていることを利用したり、生活の面倒をみているという立場を利用して性交やわいせつな行為をした場合は、「暴行・脅迫」がなく、子どもの同意がある場合も罪に問われることになった[82][36][83]。刑法改正前は、親子などの監護者と被監護者の間では、「暴行・脅迫」がない場合は強姦罪等よりも量刑が軽い児童福祉法違反(淫行、10年以下の懲役または300万円以下の罰金)で処分される例が多かったが、この法改正により強制性交等罪と同じく5年以上20年以下の有期懲役という重い罰則を科すことが可能となった[38][84][85]。ただし、「監護者」は、同居して子どもの身の回りの世話をしている者に限定されており、その範囲が非常に狭いことが指摘されている[38][83]。部会における議論では、被害者に対して強い影響力を持つ教師スポーツ指導者雇用主等も対象に含めるべきとの意見が出たが、具体的な事情を考慮すると規定が曖昧化しかえって抜け道が生じかねない等の理由から、改正法案には含まれなかった[38]。被害者団体や支援者らは、そもそも「『暴行・脅迫要件』の立証が課せられる『性交同意年齢(13歳、性行為への同意を自分で判断できるとみなす年齢)』が他国と比べても低すぎること」「監護者以外であっても、地位・関係性を利用した性加害をした場合には、『暴行・脅迫』が無くても罪に問えるように法改正すること」などを求めている[83]。2019年のフラワーデモのきっかけとなった事案では、父親が精神的支配下に置いていた娘(19歳)の意思に反して性交し、「暴行・強迫要件」による「抗拒不能」にあたらないとして1審で無罪判決になっている[44][86]

この監護者性交等罪の創設にあたっては、日本弁護士連合会(日弁連)が、「親子間で真摯な性交(子どもがその意味を理解し同意する性交)がないとは言えない」として反対し、被害者支援57団体は「子どもは保護して育ててもらっている親にノーと言えるのだとさえ思っていない」「何をしているのかを理解できず、怖さのあまり、抵抗することも拒否を示すこともできなかった」と抗議を行った[82][20][13]
2017年の改正の課題

強制性交等罪の「暴行・脅迫」の要件が据え置かれた
[40][74][87]。強制性交等罪は、13歳未満の場合は、「暴行・脅迫」がなくても、その事実が立証できれば犯罪となるが[40][74][87]、13歳以上の場合には、「同意していないこと」に加え、加害者が「暴行や脅迫」して犯行に及んだことや、「抵抗できない状態(抗拒不能)につけ込んだ」ことを証明しなくてはならない[4][87][40]。また、犯罪が成立するには、加害者が「被害者の同意がないことや、抗拒不能を認識していること」が必要であり、この認識がなければ、故意が否定されて無罪となることがある[11][74][40][73]。この刑法では、どのような行動が犯罪となり、どのような行動なら犯罪とならないのかの基準が明確ではなく、裁判所は証拠から「経験則」に基づいて事実認定をするため、裁判官の「経験則」が異なると、同じ証拠でも異なる判決になっていた[88][89][90][74][73][91]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:323 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef