強制性交等の認知件数[159]年度認知件数被疑者被害者
男女男女
2021年1,3881,2447581,330
2020年1,3321,1734721,260
2019年1,4051,1726501,355
2018年1,3071,0844561,251
2017年1,1099064151,094
2016年98987140989
2020年度に内閣府が行った調査では、異性から無理やり性交された経験があると答えた女性は14人に1人だったが、そのうち警察に相談したのはわずか6.4%である[160][161][162]。さらに客観的な証拠が無い場合、被害届が警察に受理されないというケースもあり[92][74][40]、「強姦事件」としてカウントされるのは、ほんのわずかである[160][161][162]。また、男性は100人に1人が無理やり性交された経験があったが、誰にも相談していない割合が女性よりも高く、被害者の多くが1人で苦しんでいる実態が分かった[160][163][162]。
内閣府の「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」の相談件数は2021年度に5万件以上あったが、誰かに相談できた被害者のうち、ワンストップ支援センターに相談した人は0.6%だった[164][165][41][166]。性暴力の被害に遭ったときの対応には、証拠の採取や緊急避妊薬を飲むなど、急を要するものがあるが、性暴力の被害に関する電話相談のうち、72時間以内に寄せられたものは14.7%だった[165][41]。一方で、同年度の警察による強制性交等の認知件数は1388件にとどまっている[167][41]。国連薬物犯罪事務所(UNODC): 人口10万人あたりのレイプ報告件数(2011年)。左から2番目が日本
国ごとに「強姦事件」が成立する条件が異なるため、日本は統計上は強姦の発生率が低い国になっている[168][161]。先進国で強姦事件の認知件数が最も多いスウェーデン
では、「強姦」は、膣や肛門への指や物の挿入や、自慰行為の強制等も含まれる[161]。2018年からは「暴行・脅迫要件」も撤廃され、「イエス」という自主性を確認できない性行為は犯罪になった[161][169][170][171][43][172]。また、被害届を出しやすい環境も整っている[173]。ストックホルムのレイプ救急センターは365日24時間体制で被害者を受け入れ、被害から10日後までレイプキットによる検査ができる[173]。検査結果は6カ月間保管されるため、被害者が検査や治療、カウンセリングを受け、一連の処置が終わった後に警察へ届け出を出すかどうかを考えることができる[173]。男性被害者専門のカウンセラーが対応する男性のレイプ救急センターも併設され、トランスジェンダーの被害者も受け入れている[173]。子どもへの性教育も義務化され、危険から身を守る知識を学校で得られるよう、幼稚園の頃から、胸や性器といった他者が触れてはいけない部分があると教えている[43][174]。国際的に性教育は基本的人権の1つとされ、性行為や避妊方法、性暴力、性感染症、ジェンダー論など、包括的な性教育をおこなう国は少なくない[175][85]。