引用
[Wikipedia|▼Menu]

憲法その他の法令(著作権法第13条第1号)

国、地方公共団体の機関又は独立行政法人が発する告示、訓令、通達(著作権法第13条第2号)

裁判所の判決、決定、命令、審判(著作権法第13条第3号)

詳細は著作権侵害を参照(キャッチコピーの著作権については、同項を参照)。
要約による引用

引用には、原文をそのまま抜粋して引用するもの(quotation)と、要約して引用するものがある。学界では通例、後者の要約による引用が行われる。世間では要約による引用を「参考」と言い換えている事例が散見されるが、参考は著作権法上の用語ではない。また、自分の言葉で要約したから引用に当たらない、ということにはならない。以下の説明のとおり注意する必要がある。

要約による引用を行う際は、

内容の同一性を損なわないこと
字句が変更されていても、内容の同一性が保たれた要約による引用は翻案であるが、正当な引用のために必要な限りにおいて、
翻案権[14]同一性保持権[15]を侵害することにはならない。

引用部分の直後に出典を示し、明瞭区別性[3]を確保すること
要約文は引用者の言葉なので、原文の著作者の言葉であるとの誤解を避けるため、カギ括弧や段落分けではなく、ハーバード方式バンクーバー方式などによって引用部分の直後に出典を示す[8]

の2点に注意が必要である。もっとも、学界での引用は「言葉を引く」というよりも「典拠を示す」という態度なので、同一性としては主旨があっていればよく、明瞭区別性については、出典を示した箇所の直前のわかるところに主旨が含まれていればよい。

なお、要約による引用は、正当な範囲や主従関係、必然性などの引用の要件を守らなければならない点は、抜粋による引用と同様である。
複製の要件を避けるための変更

複製の要件を避けるために、自分の言葉でまとめなおす例がある。しかしながら前述の通り、字句を変えたところで、出所を明示するなど、引用の要件を守らなければならないことに変わりはない。出所の明示を怠ると、日本では50万円以下の罰金に処される(著作権法第122条)。

また、内容が変わるほど書き直しても、原文の創作性が残っている場合は[注 8]翻案及び同一性保持権の侵害にあたり、著作権の侵害として10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金(又は併科)(法第119条1項)、著作者人格権の侵害として5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金(又は併科)に処される(法第119条2項)うえ、法第114条の規定に基づいて計算された損害額の賠償を請求され、公衆の面前で訂正や謝罪をしなければならなくなることさえある(法第115条)。

字句を変えて引用の要件を逃れようとするのではなく、出所明示や正当な範囲、主従関係、必然性など著作権法の定める引用の要件を守って、引用するのが肝要である。
科学論文の場合.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節は検証可能参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方
出典検索?: "引用" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2022年12月)

科学分野の論文の場合、引用は他者の論文の文章の一部をそのまま持ってくることではないことが多い。図や表についてはそのようなやり方であるが、多くの場合、他の論文の結果や結論、記録された事実を使うことを指しており、そのままの文章を取ることは少ない。

科学論文を書く場合、その論文をその分野の研究の流れの中に位置づける必要がある。そのために先行研究を引用し、それに対して自分はどのような点で新しいことを行ったのかを示さなければならない。したがって参考文献からの引用は必須であり、それは文章の引き写しではなく、内容の要約や要点のみを引き出した形を取りやすい。

したがって、重要な内容を含む論文は、それが重要で基本的であるほど、多くの論文から引用される。逆に言えば、その分野においてあちこちから引用される文献はそれだけ価値が高いものと考えることができる。インパクトファクターはこれを利用して、雑誌の値打ちを数量化しようとするものである。
イタリア法における著作物の引用
法の条文

著作権および著作隣接権の保護に関する法律(1941年4月22日の法律第633号)第70条に規定される[16]

1. 批評または議論を目的とし、または教育を目的とする著作物の断片または部分の要約、引用または複製は、その行為が著作物の経済的利用権と衝突しないことを条件として、その目的上正当とされる範囲内で許される。

2. 学校で利用される詩文集の複製は、その複製に関する公正な報酬を定める方法をも規定する施行令が定める範囲を超えてはならない。

3. 要約、引用または複製の場合、複製された著作物に表示がなされるときはいつでも、著作物の題号、著作者および出版者の氏名の表示、翻訳の場合には翻訳者の氏名が常に表示されなければならない。
? [16]、著作権および著作隣接権の保護に関する法律(1941年4月22日の法律第633号)第70条
イギリス法における著作物の引用
法の条文

英国著作権法第30条(1ZA)に規定される[17]

(1ZA)著作物の著作権は、以下のことを条件として、(批評、論評その他の理由にかかわらず)その著作物からの引用による使用によって、侵害されない。

(a) その著作物が公衆に対して利用可能なものとされていること

(b) 当該引用による使用が、その著作物について公正利用であること

(c) 当該引用の範囲が、それが使用される特定の目的によって要求される以上のものではないこと、および

(d) 当該引用が、(実際上その他の理由のために不可能である場合を除いて)十分な出所明示を伴うこと。
? [17]、英国著作権法第30条(1ZA)
関連用語

「引用」という語は前述の通り、著作権法の条件を満たしたものに限って用いられることがあり、誤解を招くおそれがある。これを避けるため、次のような語を用いることができる。
援用 : 自分の言説を裏付けるため、他の文書等を参考文献として挙げること一般をいう。

転用 : 閲覧等のための文書等を、雑誌への転載や参考資料としての複製頒布、論文への引用、パロディ制作(翻案)などの別の用途で再利用、再使用すること一般をいう。

関連項目

著作権法 (アメリカ合衆国)#著作権保護の例外と制約

参照_(書誌学)参考文献ハーバード方式バンクーバー方式

著作権著作権法著作物

慣用句ことわざ

転載

引用管理ソフトウェア

脱ゴーマニズム宣言事件 - 漫画における引用の基準が争われた事件。

研究論文の引用のスタイル

APAスタイルBibTeXLaTeX(Biblatex)、MLAハンドブック(英語版)、Oxford Standard for Citation of Legal Authorities(英語版)(略称:OSCOLA)


脚注[脚注の使い方]
注釈^ citationは他の参考文献を情報源として示すこと全般をいい、quotationはそのうち字句を一切変えずに行うものをいう。
^ 「転載等」とは、日本の著作権法では「転載し、又は放送し、若しくは有線放送し、若しくは当該放送を受信して同時に専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)」(第39条)のこと。
^ 違法なものを含めて無断引用と呼んで禁じる権利者もあるが、引用は適法な無断利用の一態様のことなので「無断引用」という言葉はあり得ない (北村 & 雪丸 2005, p. 5) 。
^ 「量」については、様々な意見・見解がある:(例)『Q&A 引用・転載の実務と著作権法』北村行夫、雪丸真吾編 中央経済社 2005年 ISBN 4-502-92680-9 の pp.177 - 182 「主従関係」の要件で躓くのはなぜか
^ 長い引用文の後、地の文として自身のコメントを少し載せるだけでは正当な引用にならない[6]
^ a b 転載等が禁止されていても、引用の要件を満たせば「引用」は可能である。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:40 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef