引きこもり
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高学歴家庭では、約20人に1人が引きこもりを経験していた。家庭が経済的に困窮していたかどうかは引きこもりと関係ない。また、発達障害者が3割程度含まれることを確認した。

内閣府は、引きこもりの実態を把握するために、若年層(15歳 - 39歳)を対象に調査を行っている。しかし、引きこもりが長期化する人が増えていることから、2018年12月、中高年層(40歳 - 64歳)を対象とする初めての調査を行った。その推計では、中高年層における引きこもりは61万3000人に上る。内閣府の平成27年度(2015年度)調査では「不登校」「職場になじめなかったこと」、「就職活動がうまくいかなかった」「人間関係がうまくいかなかった」という、学生時代に直面した問題が引きこもりの切っ掛けとして上位に挙がっていた。しかし、平成30年度調査においては、「退職したこと(解雇・リストラ等が含むかは不明)」「人間関係がうまくいかなかったこと」「病気」「職場になじめなかったこと」という、社会人として直面する問題(職を失ったなど)が切っ掛けとして上位となっている。
高齢化と長期化

2010年代中盤まで、引きこもりは若者の問題であると考えられており、不登校問題と同一視されてきた経緯から、支援対象者は10歳代から20歳代を想定した場合がほとんどであった。内閣府は2016年9月、サンプル調査に基づき、15 - 39歳の若年層の引きこもりが全国で約54.1万人(統合失調症の者も含めた場合、約56.3万人)に上るとの推計を公表した。その内、準引きこもり(ふだんは家にいるが、自分の趣味に関する用事のときだけ外出する。経済面では親に全面依存している)が約36.5万人、狭義のひきこもり(近所のコンビニなど近場以外に外出しない状態か殆ど家に出ない状態)が約17.6万人であった。内閣府調査で対象外だった40歳以上の引きこもりについて、 ⇒KHJ全国ひきこもり家族会連合会は、16万人いると推計している。

近年では引きこもりの長期化や、社会に出た後に引きこもりになってしまうケースなどにより、20歳代や30歳代以上が増加している。KHJが2016年から2017年にかけて実施したアンケートでは、引きこもりの平均年齢は33.5歳、40歳代も25%が占めた。引きこもりの平均期間は10.8年間で、調査対象の16%は20年以上に及んでいた。支える家族の平均年齢は64.1歳と高齢化している。2割近いという調査結果もある。

山形県が2013年に引きこもりの実態を調査したところ、15歳以上の県民のうち、引きこもりは1,607人だった。そのうち40代以上が717人だった。これはほぼ半数が高齢の引きこもりであるということを示している。

就職氷河期世代の高齢化などにより、引きこもりが中高年になっても続く傾向は2010年以前から指摘されていた。この年齢層では支援の方法も限られてしまい、支援団体でも支援対象者に年齢制限を設けている場合がある。引きこもりの子を養っている親が老年期に入ると、経済的・体力的に行き詰まってしまう場合が多い。このためKHJのように、中高年に達した引きこもりの子を持つ親も参加できる支援団体もあるほか、親の退職・死亡後も子が引きこもりから抜け出せないことを前提に、生活資金の確保や物価が安い地域への引っ越しといった「サバイバルプラン」を助言するファイナンシャルプランナーもいる。高齢化がさらに進むことで、後期高齢者になって介護が必要な80代の親と50代の引きこもりとの親子関係における問題があるとする「8050問題」についてメディアが積極的に追求・報道するなど社会問題に発展している。

政府の引きこもり支援は内閣府所管の「子ども・若者育成支援推進法」に基づき、当初は34歳までを上限としていたが、後に39歳までに変更し、支援対象者を年齢で線引きしてきた[8]。また、内閣府は引きこもりの実態を把握するために、15歳から39歳までの主に若者を対象に調査してきた。引きこもりが長期化する人が増えていることから、2018年12月、40歳から64歳を対象とする初めての調査を行ったところ、40歳から64歳で引きこもりの人は推計で61万3000人おり、内閣府が2015年度に実施した調査で1若年層を推計した54万1000人を上回っていた[9]。その内、準引きこもり(ふだんは家にいるが、自分の趣味に関する用事のときだけ外出する)が約24万8000人、狭義のひきこもり(近所のコンビニなど近場以外に外出しない状態か殆ど家に出ない状態)が約36万5000人であった。また、40 - 44歳の層では、就職氷河期による影響の為、殆どの大学短大専門学校の新卒者が就職活動する時期に当たる20 - 24歳の時期にひきこもりが始まった人が目立っていた。更に引きこもり期間については、中高年引きこもりの約21.2%が3?5年が最も多かったと同時に、10年以上の者は約36.1%を占めていた。その内、30年以上引きこもっていた者は、10年以上引きこもりをしている中高年の約17.7%であった。
世界各国の状況
ヨーロッパ
フランス

フランスでは、伝統的に、何世紀も前から、人間と会いたがらない人のことを「misanthrope」(ミザントロープ)と言う。日本語では「人間嫌い」などと訳されている[10]
イギリス

英語圏では元々、ある人が社会と距離を置くような態度をとることや、その行動パターンは、あえて言うと「social withdrawal」と言う。

英語圏で、日本でも社会と距離を置く人々がおり、だが日本独特のパターンがある、ということが知られると、『オックスフォード英語辞典』は2010年8月、第3版に「hikikomori」の単語を収録し、定義文として“社会との接触を異常なまでに避けること”を掲載、補足の説明文として“一般的には若い男性に多い”を掲載した。

BBC が日本の引きこもりについての番組を放映した時に、複数のイギリスの視聴者から「同様の経験を持つ」とのコメントが寄せられた。イギリスでは孤独問題が社会問題になっており、2018年に孤独問題担当国務大臣を設置して孤独対策に力を入れ始めた。
イタリア

イタリアには引きこもり状態の若者が10万人程度いるとの推計もある。問題への認識は従来薄かったが、2017年6月に日本の取り組みを参考にした支援団体「HIKIKOMORIイタリア」(本部ミラノ)が発足するなど、対策が取られつつある[11]
アジア

韓国台湾香港などでも確認されている。
韓国

韓国では、首都のソウル特別市が2023年1月に同国の地方自治体として初めて引きこもり調査の結果を発表し、19?39歳のうち4.5%、12万9000人と推計した(家族以外と対面するのが年2回以下の「孤立」青年および外出を半年以上しない「隠遁」青年の合計)[12]。引きこもりになった契機は失職・就職難(45.5%)、いじめ・暴力(20.1%)、進学の失敗(19.5%)の順で、ソウルに実家がない地方出身者も45.3%を占め、上京した若者が就職に失敗して引きこもりになるのが「ソウル型」の特徴と分析されている[12]


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