引きこもり
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従来の国の調査では、自身を主婦及び主夫家事手伝いと調査結果に回答した者をひきこもりには含まなかったが、主婦及び主夫や家事手伝いと答えた者のうち「直近の半年間に家族以外との会話がほぼなかった場合」をひきこもり状態にあるとするようになったため、調査結果の内容が変化した[6][7]

この調査結果を受けてNPO法人「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」の副理事長の池上正樹は「日本の伝統的な家父長制度生産性を重んじる男性社会によって、ひきこもりにされてきた女性たちの歴史、世間の抑圧的な価値観があった。(中略)「女性はこうあるべき」という同調圧力の中で、自分の生きがいや夢を諦めて、自分の心を偽って生きてきた、日本の「」という縛りの中で我慢と自己否定を強いられてきた女性が、ようやく、そのつらさを声に出してもいいと思ったのではないでしょうか。」と話している[6]

2016年から一般社団法人「ひきこもりUX会議」などの当事者団体が「ひきこもり女子会」や「ひきこもりママ会」を開いている[7]。そうした「ひきこもりの女性たちの受け皿が増えてきたことも、今回の結果につながったと考えます。」とも池上は話している[6]

当事者の中にはドメスティックバイオレンス性被害の経験を持つ女性もいるが、行政機関の男性職員に自身のことを相談することが難しかったり、男性中心の当事者団体には女性の当事者が行きにくいことがあった。2023年3月末に内閣府が発表した調査結果を受けて「今回の、男女が半々という調査結果が、支援を見直すための材料になればと思います」と一般社団法人「ひきこもりUX会議」代表理事の林恭子は話している[7]

2010年代後半以降は各地で女性のひきこもり当事者に焦点を当てた支援や当事者団体の動きが活発化している。例えば京都では有料老人ホームなどを運営する「日本いのちの花協会」が、女性のひきこもり当事者を対象としたシェアハウス「さくら荘」を始めたり[25]、仙台では先述の「ひきこもりUX会議」に触発されて、宮城県内の女性らが「ひきこもりLadyの会」を結成し、仙台市男女共同参画推進センター「エル・ソーラ仙台」で定期的に会を催している[26]

その一方で2015年には「ひきこもりを自立させる」と称する悪質な業者(引き出し屋)がひきこもり当事者の女性に暴行する事件[27]も発生している。
引き出し屋詳細は「引き出し屋」を参照

引きこもりの解決を謳う業者の中には、本人を無理やり連れ出し施設に収容し、さらに施設においても人権を侵害されるようなケースがあり、「引き出し屋」または「引き出し業者」として問題視されている[28]。引き出し屋の施設に入れられた引きこもりが、精神的なストレスによるPTSD(心的外傷後ストレス障害)や引きこもりの悪化、自殺企図に至るケースもある[29]
報道

2022年12月8日、偏見や無断撮影などを行うことに対して、弁護士、精神科医、当事者らが『ひきこもり報道ガイドライン』を発表した[30]
引きこもりと発達障害

発達障害自閉症スペクトラム障害アスペルガー症候群)を抱える人物は対人関係を苦手とし、引きこもりになりやすい。これらの障害を抱える人物の就労の方法としてテレワークの活用が注目されている。長年自閉症スペクトラム障害を抱える人物の支援を行ってきたシカゴスクール(英語版) のJoy F. Johnsonは「自閉症スペクトラム障害の人物が生産性を維持できるなら、どこで仕事をしようが関係のないことだ」「障害のある人物が、障害のある人物のための配慮ができていない世界で苦労をする必要はない」と述べている。Joy F. Johnsonはコロナ禍でテレワークが普及し、テレワーク勤務に対する偏見が弱くなったことを良いことだと考えている[31][32]

ポーランドで行われた調査でも、テレワークによって自閉症スペクトラム障害を抱える労働者が、障害の程度に対応した柔軟な労働時間の設定、対人関係を巡るストレスからの解放などの恩恵を受けたという調査結果がある[33][34]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 吉川幸次郎『宋詩概説』には「弾劾されて失脚し、遠く江蘇の蘇州に、別荘を買って『蹌浪亭』と名づけたのにひきこもり」(岩波文庫版124頁、初出1962年)とある。横山光輝の『三国志』(希望コミックス版24巻、潮出版社、1981年)にも諸葛亮の台詞として「これは隆中にひきこもっているころ聞いたのですが」といった用例がある。

出典^ “Behind the rise of Japan's recluses”The Japan Times Dec 20, 2019(2023年4月4日閲覧)
^ a b ひきこもり推計146万人 内閣府調査 理由「コロナ」2割『読売新聞』朝刊2023年4月1日2面
^ 「中高年ひきこもり61万人 内閣府が初調査」日本経済新聞(2019年3月29日)2023年4月4日閲覧


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