引きこもり
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政府の引きこもり支援は内閣府所管の「子ども・若者育成支援推進法」に基づき、当初は34歳までを上限としていたが、後に39歳までに変更し、支援対象者を年齢で線引きしてきた[8]。また、内閣府は引きこもりの実態を把握するために、15歳から39歳までの主に若者を対象に調査してきた。引きこもりが長期化する人が増えていることから、2018年12月、40歳から64歳を対象とする初めての調査を行ったところ、40歳から64歳で引きこもりの人は推計で61万3000人おり、内閣府が2015年度に実施した調査で1若年層を推計した54万1000人を上回っていた[9]。その内、準引きこもり(ふだんは家にいるが、自分の趣味に関する用事のときだけ外出する)が約24万8000人、狭義のひきこもり(近所のコンビニなど近場以外に外出しない状態か殆ど家に出ない状態)が約36万5000人であった。また、40 - 44歳の層では、就職氷河期による影響の為、殆どの大学短大専門学校の新卒者が就職活動する時期に当たる20 - 24歳の時期にひきこもりが始まった人が目立っていた。更に引きこもり期間については、中高年引きこもりの約21.2%が3?5年が最も多かったと同時に、10年以上の者は約36.1%を占めていた。その内、30年以上引きこもっていた者は、10年以上引きこもりをしている中高年の約17.7%であった。
世界各国の状況
ヨーロッパ
フランス

フランスでは、伝統的に、何世紀も前から、人間と会いたがらない人のことを「misanthrope」(ミザントロープ)と言う。日本語では「人間嫌い」などと訳されている[10]
イギリス

英語圏では元々、ある人が社会と距離を置くような態度をとることや、その行動パターンは、あえて言うと「social withdrawal」と言う。

英語圏で、日本でも社会と距離を置く人々がおり、だが日本独特のパターンがある、ということが知られると、『オックスフォード英語辞典』は2010年8月、第3版に「hikikomori」の単語を収録し、定義文として“社会との接触を異常なまでに避けること”を掲載、補足の説明文として“一般的には若い男性に多い”を掲載した。

BBC が日本の引きこもりについての番組を放映した時に、複数のイギリスの視聴者から「同様の経験を持つ」とのコメントが寄せられた。イギリスでは孤独問題が社会問題になっており、2018年に孤独問題担当国務大臣を設置して孤独対策に力を入れ始めた。
イタリア

イタリアには引きこもり状態の若者が10万人程度いるとの推計もある。問題への認識は従来薄かったが、2017年6月に日本の取り組みを参考にした支援団体「HIKIKOMORIイタリア」(本部ミラノ)が発足するなど、対策が取られつつある[11]
アジア

韓国台湾香港などでも確認されている。
韓国

韓国では、首都のソウル特別市が2023年1月に同国の地方自治体として初めて引きこもり調査の結果を発表し、19?39歳のうち4.5%、12万9000人と推計した(家族以外と対面するのが年2回以下の「孤立」青年および外出を半年以上しない「隠遁」青年の合計)[12]。引きこもりになった契機は失職・就職難(45.5%)、いじめ・暴力(20.1%)、進学の失敗(19.5%)の順で、ソウルに実家がない地方出身者も45.3%を占め、上京した若者が就職に失敗して引きこもりになるのが「ソウル型」の特徴と分析されている[12]。ソウル市は4月に実態調査の継続と就業支援、シェアハウスへの受け入れなど総合支援策を発表したが、年500人の支援では不十分との指摘もある[12]

韓国政府系の研究機関も同年5月、韓国全体で引きこもり青年が約54万人、5%いるとの推定値を発表した[12]。韓国では日本のアニメ作品から引きこもりという言葉は知られていたものの、内向的な性格の人をからかう場合などに使われることが多い。
国立精神・神経センター精神保健研究所による「ひきこもり」概念の説明

日本の国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所社会復帰部による 「ひきこもり」の概念は以下である。

「ひきこもり」は、単一の疾患や障害の概念ではない

「ひきこもり」の実態は多彩である

生物学的要因が強く関与している場合もある

明確な疾患や障害の存在が考えられない場合もある

「ひきこもり」の長期化はひとつの特徴である

長期化は、以下のようないくつかの側面から理解することができる

生物学的側面

心理的側面

社会的側面


「ひきこもり」は精神保健福祉の対象である
? 国立精神・神経センター 2003

※調査対象者は次の条件をすべて満たす80例(男66例女14例)。初診時の年齢が12歳 - 34歳(平均19.8歳)、調査時点で13歳 - 37歳(平均21.8歳)。

統合失調症躁うつ病、器質性精神病などの基礎疾患がないこと

初診時点で3か月以上の無気力・引きこもり状態があること

1989年6月の時点で、本人との治療関係が6か月以上続いていること

少なくとも本人が5回以上来院していること(家族のみの相談も多いため)

評価表を記入するための資料が十分にそろっていること

精神疾患

この節には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2022年1月)

日本のある研究では、引きこもり(6カ月以上自宅に滞在)を理由として精神保健福祉センターにカウンセリングに訪れた16歳?35歳のうち、その80%は精神疾患が診断され、その33%は統合失調症もしくは気分障害、32%は一般的発達障害もしくは精神遅滞、34%はパーソナリティ障害もしくは適応障害であった[13]


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