当事者の活動には、山奥の限界集落でシェアハウスを行う事例[16]、当事者発のマス・メディアの運営[17][18]、女性の当事者を主体とした「ひきこもりUX女子会」の開催[19][20]など様々なあり方がある。
いわゆる「引き出し屋」のあり方に対して、ひきこもり当事者及び当事者会がこれに反対する活動を展開している。2021年12月23日には、ひきこもりの当事者、経験者らで結成された「暴力的『ひきこもり支援』施設問題を考える会」が厚生労働省にて記者会見を行って「ひきこもり人権宣言」を発表した。記者会見には「ひきこもり新聞」の木村ナオヒロや丸山康彦らが出席した。人権宣言の一節には幸福追求権として『ひきこもり当事者は、自分らしく生きるために、自己決定権を行使でき、他者から目標を強制されない』とある[21]。
諸問題
8050問題詳細は「8050問題」を参照
中高年の引きこもりが直面する問題に8050問題がある。これは80歳を超えた親が引きこもりに陥った中高年の子を支える事で発生する様々な問題の総称である[22][23][24]。 従来、ひきこもりは男性が中心というイメージを持つ者が多かった。国の従来の調査結果でも男性が多いことが示されていた。しかし、2023年3月末に内閣府が発表した調査結果では、40歳?64歳のひきこもり状態にある者のうち、女性が52,3%で半数を超えている。15歳?39歳のうちでも女性が45,1%を占めた。従来の国の調査では、自身を主婦及び主夫や家事手伝いと調査結果に回答した者をひきこもりには含まなかったが、主婦及び主夫や家事手伝いと答えた者のうち「直近の半年間に家族以外との会話がほぼなかった場合」をひきこもり状態にあるとするようになったため、調査結果の内容が変化した[6][7]。 この調査結果を受けてNPO法人「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」の副理事長の池上正樹は「日本の伝統的な家父長制度や生産性を重んじる男性社会によって、ひきこもりにされてきた女性たちの歴史、世間の抑圧的な価値観があった。(中略)「女性はこうあるべき」という同調圧力の中で、自分の生きがいや夢を諦めて、自分の心を偽って生きてきた、日本の「家」という縛りの中で我慢と自己否定を強いられてきた女性が、ようやく、そのつらさを声に出してもいいと思ったのではないでしょうか。」と話している[6]。 2016年から一般社団法人「ひきこもりUX会議」などの当事者団体が「ひきこもり女子会」や「ひきこもりママ会」を開いている[7]。そうした「ひきこもりの女性たちの受け皿が増えてきたことも、今回の結果につながったと考えます。」とも池上は話している[6]。 当事者の中にはドメスティックバイオレンスや性被害の経験を持つ女性もいるが、行政機関の男性職員に自身のことを相談することが難しかったり、男性中心の当事者団体には女性の当事者が行きにくいことがあった。2023年3月末に内閣府が発表した調査結果を受けて「今回の、男女が半々という調査結果が、支援を見直すための材料になればと思います」と一般社団法人「ひきこもりUX会議」代表理事の林恭子
見過ごされてきた女性のひきこもり
2010年代後半以降は各地で女性のひきこもり当事者に焦点を当てた支援や当事者団体の動きが活発化している。例えば京都では有料老人ホームなどを運営する「日本いのちの花協会」が、女性のひきこもり当事者を対象としたシェアハウス「さくら荘」を始めたり[25]、仙台では先述の「ひきこもりUX会議」に触発されて、宮城県内の女性らが「ひきこもりLadyの会」を結成し、仙台市男女共同参画推進センター「エル・ソーラ仙台」で定期的に会を催している[26]。
その一方で2015年には「ひきこもりを自立させる」と称する悪質な業者(引き出し屋)がひきこもり当事者の女性に暴行する事件[27]も発生している。
引き出し屋詳細は「引き出し屋」を参照
引きこもりの解決を謳う業者の中には、本人を無理やり連れ出し施設に収容し、さらに施設においても人権を侵害されるようなケースがあり、「引き出し屋」または「引き出し業者」として問題視されている[28]。引き出し屋の施設に入れられた引きこもりが、精神的なストレスによるPTSD(心的外傷後ストレス障害)や引きこもりの悪化、自殺企図に至るケースもある[29]。 2022年12月8日、偏見や無断撮影などを行うことに対して、弁護士、精神科医、当事者らが『ひきこもり報道ガイドライン』を発表した[30]。 発達障害や自閉症スペクトラム障害(アスペルガー症候群)を抱える人物は対人関係を苦手とし、引きこもりになりやすい。
報道
引きこもりと発達障害