廿日市市
[Wikipedia|▼Menu]
廿日市の町は商業・工業都市の側面が濃かったが、平成の大合併によって周辺の4町村(佐伯町吉和村大野町宮島町)を編入したことで、西中国山地の豊かな自然や世界遺産にも選ばれた厳島神社を含む安芸の宮島などの新しい顔を併せもつこととなった。

都市雇用圏で全国第8位の規模を持つ広島都市圏(10%通勤圏人口約158万人)を構成する一都市である。人口は2005年に旧宮島町・旧大野町と合併して以来ほとんど横ばい傾向(合併時約11万5000人)であるが、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}近年は[いつ?]微減傾向にある。これは、中心市街地の人口増と山間部の過疎化が相殺しているためである。

市制施行後の文化振興政策には一定の評価がある。例えば、市の文化ホール・はつかいち文化ホール(さくらぴあ)では人口規模の割に著名な人物・団体の公演が多く催され、出演者からも高評価を受けて新たな公演につながる好循環を生んでいる[注釈 1]。また、市名の由来である「廿日の市」という市民主体の市を毎月20日に催したり、姉妹友好都市であるニュージーランド・マスタートンとの交流から、JETプログラムによってニュージーランド出身の「国際交流員」を招いて様々な活動に関わらせたりするなど、多様な取り組みが見られる。

各地の大規模合併の例に漏れず、都市基盤整備、教育・文化サービスなどの地域間格差是正が最大の課題となっている。

現在の形式のけん玉発祥の地である。
地名の由来

本来、「廿日市(はつかいち)」という地名は現在の廿日市1丁目・2丁目付近を指す狭い地区名称であり、1889年に廿日市町が発足して以降、合併を重ねて次第に広範囲を指すようになった。

廿日市という名称は、現在の中央公民館(天神)周辺で中世以来開かれていた「廿日(はつか)の市」に由来する。厳島神社平清盛の庇護により平安時代末期に大きく発展し、地域に影響力をもったが、鎌倉時代に入ると承久の乱に伴う権力争いの中で貞応年間(1222年 - 1224年)に火災で社殿を焼失した。鎌倉幕府の命により厳島神社を再建するために対岸の地域(現在の廿日市市廿日市周辺)に多くの鋳物師たちが移り住んだことから、木材等の生活物資・再建物資の集積が始まった。厳島神社の年4回の祭礼の最終日がいずれも20日であったことから、早くも鎌倉時代中期には毎月20日に市が立つようになり、二十日の市=「廿日市」という名称が徐々に定着していったと思われる。

当時、この地域一帯は「佐西(ささい)の浦」と呼ばれていたと考えられている。1370年(応安3年)、今川貞世九州探題として大宰府に下向する際に記した紀行文『道ゆきぶり』の中に、貞世が「かひだとかやいひける浦」(現在の安芸郡海田町)を通って「佐西の浦」(佐西郡の海岸、現在の広島市佐伯区五日市から廿日市市串戸付近)から宮島へ参詣し、「地の御前」(現在の廿日市市地御前)から山道に入って周防国へ向かう旨の記述がある。

廿日市という地名の初出は1454年(享徳3年)である。山口県柳井市の賀茂神社に残された当時の詫び状に、同神社の梵鐘(享徳3年頃鋳造)の鋳工「廿日市ひかしかり屋三郎次郎」の名が見える。

現在も日本各地に残る「○日市」という地名は安土桃山時代以降盛んになった市に由来するものが多く、鎌倉時代に市立てされたことが確認されている廿日市は、現存する最も古い「市」地名の一つとされる。

一日市から十日市までは各地に見られるが(市場を参照)「廿日市」は珍しく、2023年1月時点で住所表記に記載がある地名としては「廿日市」は当市が唯一の例である。かつて愛媛県内子町に廿日市地区があったが、住所表記上は同町内子となっている。
地理廿日市市中心部周辺の空中写真。
2008年5月21日撮影の5枚を合成作成。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。
位置

広島県の西部に位置する。北部は西中国山地の脊梁部で島根県山口県とも境を接し、南は瀬戸内海(広島湾)の穏やかな海岸線が続く。沿岸部は都市化が進む一方、内陸の農村地帯は過疎化の進行が著しい。

特定外来生物に指定されているアルゼンチンアリが1993年に市内の木材港(広島港廿日市地区)周辺において、アジアで初めて個体が採取された。その後、日本各地に拡散・定着している。廿日市市においても生態系や住環境への被害拡大が深刻である。
地形
山岳
主な山


安芸冠山(1,339メートル、吉和) - 広島県第2位の標高がある。「吉和冠山」ともいい、単に「冠山」といえばこの山を指すことが多い。山頂からの眺望の良さから、西中国山地の中でも人気のある山である。中下流部に広島平野を抱える太田川の源流であり、林野庁から水源の森100選に選定されている。

弥山(535メートル、宮島町) - 宮島にそびえる山。古来より信仰の対象とされてきた。山中には806年(大同元年)に弘法大師が護摩行をした火を絶やさず燃やすという「消えずの霊火堂」など、「弥山七不思議」という伝承が伝わる(弥山を参照)。宮島ロープウェーで気軽に山頂の近くまで登ることができ、眺望がよい。元旦には初日の出参りの人で特に賑わう。

大峯山(1,040メートル、玖島) - 広島市街地から一番近い千メートル峰で、登山道が整備されている。「佐伯富士」の異名を持つ。

極楽寺山(693メートル、原) - 山頂に真言宗の古刹・極楽寺がある。広島地方気象台が発表する「広島の初冠雪」とは、その冬初めて極楽寺山が雪化粧していると麓から観測したことを指す[2]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:125 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef