土地への定着要件は建築基準法に明確に示されていないが、行政例規上は旧建設省通達を踏襲しており、プレハブ物置や、トレーラーハウスなど基礎に緊結されていないものであっても、随時かつ任意に移動できない形式のものは建築物として取り扱われる。したがって、これらプレハブ物置等についても一定の土地において恒常的に建築物として利用する場合は、基礎への緊結や規模によっては建築確認申請等の手続きを要する。
屋根については風雨をしのぐ機能を有するものであるため、かつて、屋根をグレーチング板とした立体駐車場を脱法的に建築する事案が発生した。法改正により「これに類する構造のものを含む」との文言が付されたことによって、屋根の機能を持たない屋外設置型の機械式駐車場についても一定の高さを超えるものについては建築物として取り扱う行政庁が多い。
「建造物」の定義
法律用語としての「建造物」の定義は必ずしも明確ではない。刑法[10]や文化財保護法[11]においては建築物ではなく建造物が用いられているが[注釈 1]、建造物には建築物の定義を満たさない建物、構築物(主には橋梁や水門などの土木構造物)も含まれうる[注釈 2]。
景観法では景観重要建造物という名称を用いているほか、自治体の文化財保護においても、建造物の名称が用いられている[注釈 3]。
刑法では、建造物が現住建造物か非現住建造物による区別がある条項[注釈 4]と、無い条項[注釈 5]が見られる。現住建造物…現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物非現住建造物…現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物
である。
建築物の歴史
建築史コロッセオ(ローマ帝政期)詳細は「建築史」を参照
日本の建築史法隆寺詳細は「日本建築史」および「日本近代建築史」を参照
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建築物の種類清水寺(木造)シーグラム・ビルディング(鉄骨構造)ル・ランシーのノートルダム教会(鉄筋コンクリート構造)アヤソフィア(ドーム構造)シドニー・オペラハウス(シェル構造)
建築物の分類には、使用する材料、骨組の形状、耐力配分方式、施工過程、特殊目的など様々な分類法がある[2]。 構造形式による分類として、木構造、鉄筋コンクリート構造、鉄骨造、鉄筋・鉄骨コンクリート造、補強コンクリート造、石造、レンガ造などがある[2]。
構造形式による分類
木構造・木質構造木構造とは主要構造部に木材を用いた構造で、軸組式、壁式、組積式がある[2]。
軸組式軸組式は柱・梁・桁といった軸組を主体とする日本の伝統的な工法である[2]。軸組構法(在来工法)ともいう。柱の内側に壁を仕上げる様式を真壁造り、柱の外側を壁で覆う様式を大壁造りという[2]。
壁式壁式はツーバイフォー工法などに代表される工法である[12]。ツーバイフォー工法(2×4工法)は北米で開発された2×4の壁材を主要な構造材とする工法である[12]。
組積式組積式は線状材を井桁状に組み上げるもので校倉造などに代表される工法である[12]。
鉄骨構造・鋼構造(S造)
鉄筋コンクリート構造(RC造)鉄筋コンクリート構造は主要構造部に鉄筋コンクリートを用いた構造である[12]。コンクリートは圧縮に強いが引っ張りには弱く、鉄筋は引っ張りには強いが圧縮に弱い(座屈を生じる)という弱点を鉄筋コンクリートにすることで相互に補完している[12]。また、鉄筋コンクリートにすることで耐火性も向上し、コンクリートのアルカリ分によって鉄筋の酸化を防いでいる[12]。