三船は当初軽いゲスト出演と思っていたらしく、台本の『座頭市と用心棒』のタイトルを見てたいそう驚いたそうである。勝プロが座頭市シリーズを本格的に制作をした最初の作品で(勝プロ発足当初、『座頭市牢破り』を単発で制作している)、以降の作品は全て勝プロ制作になる。本作はシリーズ最後の大映配給作品である(以降はダイニチ映配、東宝、松竹と変遷する)。
配給の大映は本作を当初、正月興行にしようと考えていたが、看板スターとエース監督である岡本喜八を貸し出した東宝の申し入れにより、正月明けの公開となった。このため、1962年の第1作以降、1968年まで間断なく制作されたシリーズが、1969年は一作も公開されないという事態に陥った。 市が3年前に訪れた村は、川のせせらぎ梅の香りに包まれた平和な村だった。しかし市が再び訪れたその村は、ヤクザの小仏一家によって変わってしまっていた。市の来訪を知った小仏の政五郎は、一家の用心棒に市を斬るよう頼み込む。盲を斬ることを断った用心棒だったが、政五郎に100両出すと言われ、酒に酔ったまま市を斬りに行く。しかし、対決し市が容易に斬れる者ではないと悟ると、その日は斬るのを諦め、市を酒に誘う。互いを「バケモノ」「ケダモノ」と呼び合う2人だった。 2人の入った居酒屋で、市はかつて手を引いてもらった優しい女性・梅乃と再会する。喜ぶ市に対し、梅乃は覚えていないと冷たい態度を取る。政五郎に借金のある梅乃は市が去ったあと、用心棒に「小仏一家の手前、市に話しかけられなかった」となじるが、用心棒のことを憎からず思う気持ちにも気付いていた。 用心棒と梅乃から別れた市は、自分の凶状のため捕吏に捕まり、牢に入る。本来なら打ち首の市だったが、生糸問屋・烏帽子屋の口利きで番屋から出してもらう。烏帽子屋の主人・弥助は小仏の政五郎の実の父であるが、親子は対立していた。また政五郎は、父・烏帽子屋の隠している金塊を狙い、用心棒をなにかと頼りにしている。それを知る烏帽子屋は、市を手許に置いて身を守ろうとしていた。どうやら隠されている金塊は、烏帽子屋とその次男・三右衛門が八州見廻り役・脇屋とも共謀し、着服した御用金らしい。 江戸にいる三右衛門は父を心配し、九頭竜という名の浪人を送り込む。小仏一家の用心棒、烏帽子屋の九頭竜。曰くありげな2人をそれぞれ抱え、双方出入りの準備を始める。そして2人の素性を知った市も独自に動き始める。
あらすじ
キャスト
座頭市:勝新太郎
用心棒・佐々大作:三船敏郎
梅乃:若尾文子
九頭竜・跡部九内:岸田森
後藤三右エ門:細川俊之
小仏の政五郎:米倉斉加年
脇屋陣三郎:神山繁
ちんぴら余吾:寺田農
馬瀬の藤三:草野大悟
鍛冶屋留吉:常田富士男
小仏一家の常:五味龍太郎
烏帽子屋番頭惣七:木村元
偽按摩桑原涌之助:砂塚秀夫
小仏一家の権:田中浩
小仏一家の松:木村博人
小仏一家のA:黒木現
小仏一家のB:新関順司郎
烏帽子屋の若い衆:浜田雄史
梅の家小女:熱田洋子
兵六爺さん:嵐寛寿郎
烏帽子屋弥助:滝沢修
賭博場の男:伴勇太郎 ※ノンクレジット
スタッフ
監督:岡本喜八
製作:勝新太郎
原作:子母沢寛
脚色:岡本喜八、吉田哲郎
撮影:宮川一夫
音楽:伊福部昭
美術:西岡善信
編集:谷口登司夫
録音:林土太郎
スチール:大谷栄一
照明:中岡源権
併映作品
『女組長』: マキノ雅弘監督
脚注^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)274頁
^ “勝新太郎vs三船敏郎… 公開から50年「座頭市と用心棒」の煮え切らなさ
外部リンク
座頭市と用心棒 - allcinema
⇒座頭市と用心棒 - KINENOTE
座頭市と用心棒 - IMDb(英語)
座頭市物語 - 続・座頭市物語 - 新・座頭市物語 - 座頭市兇状旅 - 座頭市喧嘩旅 - 座頭市千両首 - 座頭市あばれ凧 - 座頭市血笑旅 - 座頭市関所破り - 座頭市二段斬り - 座頭市逆手斬り - 座頭市地獄旅 - 座頭市の歌が聞える - 座頭市海を渡る - 座頭市鉄火旅 - 座頭市牢破り - 座頭市血煙り街道 - 座頭市果し状 - 座頭市喧嘩太鼓 - 座頭市と用心棒 - 座頭市あばれ火祭り - 新座頭市・破れ!唐人剣 - 座頭市御用旅 - 新座頭市物語 折れた杖 - 新座頭市物語 笠間の血祭り - 座頭市
関連人物
勝新太郎 - 三隅研次 - 森一生 - 田中徳三 - 安田公義 - 池広一夫 - 井上昭 - 山本薩夫 - 岡本喜八 - 伊福部昭 - 牧浦地志 - 菅沼完二
カテゴリ
表
話
編
歴
岡本喜八監督作品
1950年代
結婚のすべて(1958年)
若い娘たち(1958年)
暗黒街の顔役(1959年)
ある日わたしは(1959年)
独立愚連隊(1959年)
1960年代
暗黒街の対決(1960年)
大学の山賊たち(1960年)
独立愚連隊西へ(1960年)
暗黒街の弾痕(1961年)
顔役暁に死す(1961年)
地獄の饗宴(1961年)
どぶ鼠作戦(1962年)
月給泥棒(1962年)
戦国野郎(1963年)
江分利満氏の優雅な生活(1963年)
ああ爆弾(1964年)
侍(1965年)
血と砂(1965年)
大菩薩峠(1966年)
殺人狂時代(1967年)
日本のいちばん長い日(1967年)