庄内方言
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

これは秋田方言にも見られ、丁寧さを表す文法的現象ではないかという説がある[3]。例:ナシエ(茄子、梨)、ナシコア(茄子子)サ・タ行ではウ段がはなはだしく前寄りとなり、「ズーズー」ではなく「ジージー」と特徴付けられる[4]ような音声となっている。イとエの混同が見られる。例:ネンジ(人参)
子音

※ア列で代表

鼻音マ、ナ

流音ラ

摩擦音ハ、サ

破裂音・破擦音パ、バ、ンバ;タ、ダ、ンダ、ザ、ンザ;カ、ガ;カ゜

有声阻害音は文節中の母音間で入渡り鼻音(
前鼻音)を伴う。特別な音韻過程が関わる場合を除き、非継続性無声阻害音は母音間で有声化する。
ヒ、キの子音はそれぞれ [Φç],[kç]であり、軽い摩擦音が聞かれる。リは摩擦が強く発音されることがあり、次の例はこれによるキとの混同と考えられる。例:コノビールダバ リーノゲッダオノノー(このビールったら気(炭酸)が抜けてるものねー)有声破裂音が期待される位置で、ンの後で無声化するものがある。例:カンツカ(鰍)、ハンツケ(つまはじき)アクセント:アクセントが実現される音節が他より高いピッチ(例ではacute accentで示す)で発音される。例: te:(手), te:sa(手に), te:dogo(手を);tago(蛸), tagosa(蛸に), tagodogo(蛸を)シラビーム方言に属し、音韻論的に有意義な単位としてのモーラは認められない。このため、撥音、促音という特殊拍にあたるものは音節末鼻音、二重子音になる。モーラ方言の話者には極めて短く聞こえるか、聞き落とされるようである。
統語構造


主格:ガ、-Ø対格:ドゴ、バ、-Ø与格:サ、-Ø属格:ノ、-Ø位格:デ

使役文
雨どご降らしぇる(<雨が降る)

受動文
せっかぐ生がた実ー、鳥がら/さ食いる(<鳥が実どご食)

目的節
たばご買い(酒田)/買いさ(鶴岡)行ぐ
述部の形態

動詞の活用(「する」)

未然連用終止連体仮定命令
sa-nεsçisusuCsçe-mbasçe

 非回想回想
非完了susukke
完了sçitasçitake


形容動詞・名詞述語の活用(「そうだ」):形容詞もこれに準ずる

非回想回想
ndandake


可能
:su(する)は東京方言のように補充形を用いず、s-を語幹とした正則交替。南部方言と北部方言で異なる。
su→saeru(南部方言),sairu(北部方言)

未完了:完了相末音節の子音を重複させる。ただし撥音便では、南部方言では完了相のまま、北部方言では-dedaという補充形を用いる。
kita→kitta(来ている), ida→idda(「いる」未完了相)jonda→jonda(読んでいる、南部方言), jodeda(読んでいる、北部方言)

サテル(サッタ)形:北部方言では東京方言の「してある」にあたる形への語形交替がある。南部方言では語彙として残すのみで生産的ではない。
ueru→uwatta(植えてある),kagu→kagatta(書いてある。南部方言にもあり)

連体形末尾の-rは後続する語の初頭子音の調音点同化することがある。
/#su+r# #toki#/→[suddogi]/#su+r# #sake#/→[sussage]/#su+r# #na#/→[sunna]由利・庄内・北越方言圏

否定の接辞:「ない」が変化した「ネァ([n?])」。

推量の接辞:「…であろう」が変化した「-だろ」「-でろ」や「-う」「-ろー」[5]

「-べ」はなく、意志・勧誘は「-う」を用いる。

接続助詞には、理由に「から」の他に「さげ・すけ」(「さかい」由来)を、逆接に「ども・どもがし」を用いる[6]

上一段・下一段動詞活用の命令形は「見れ」「起きれ」のように「-レ」となる。

文法要素は北奥羽方言の中でも西日本方言の影響を強く受けており、北越方言由利方言とともに、「由利・庄内・北越方言圏」としてくくられる場合もある。
研究史

江戸時代の
明和4年に、堀季雄(ほりときかつ)により『浜荻』という江戸弁との対照語彙集・発音指南が作られる。

1930年昭和5年)、三矢重松が雑誌『木鐸』(木鐸社;酒田)に「荘内語」「語釈」を連載。のちに『浜荻』『荘内方音攷』を収めて『荘内語及び語釈』として出版される。

戦後、国立国語研究所によって1953年(昭和28年)の第一次から第三次までの鶴岡市方言の調査が行われ、その報告が出版されている。

井上史雄による音韻語形変化に関する広範な研究。

アクセント研究。金田一春彦による第一次調査での記述。上野善道による記述的研究。早田輝洋(抽象的な形式素を置き、その具現化を設定)[7]原口庄輔(自律分節音韻論)による生成音韻論的分析。

荒井孝一による文法カテゴリー別の記述的研究[8]

大鳥方言

鶴岡市大鳥集落では周囲とは異なる方言が話されている。詳細は大鳥方言・三面方言を参照。
出典^ 井上史雄『東北方言の変遷』秋田書店
^ 小林隆『方言から見た日本語の歴史』岩波書店
^ 大橋純一「秋田方言の音声」秋田県教育委員会(編)『秋田のことば』
^ 大橋純一『東北方言音声の研究』おうふう
^ 平山輝男ほか編『日本のことばシリーズ 6 山形県のことば』明治書院、1997年
^ 飯豊毅一・日野資純・佐藤亮一編『講座方言学 4 北海道・東北地方の方言』国書刊行会、1982年、327頁
^ 早田輝洋「生成アクセント論」『講座日本語 音韻』岩波書店
^ 荒井孝一「東北方言の文法」「酒田方言のテンスとアスペクト」

参考文献

飯豊毅一・
日野資純佐藤亮一編『講座方言学 4 北海道・東北地方の方言』国書刊行会、1982年

関連項目

北越方言

秋田方言

山形県内の他方言 - 新庄弁村山弁置賜弁

だだちゃ豆

外部リンク

美しき庄内語

庄内の方言で遊ぼう!










日本語の方言
*は言語島の方言
本土方言(狭義の日本語)

東日本方言

北海道方言

内陸部方言

沿岸部方言

東北方言

北奥羽方言

南部方言

下北方言

八戸方言

盛岡方言


津軽方言

秋田県方言

山形県沿岸部方言

庄内方言

小国方言


北越方言

大鳥方言・三面方言*

南奥羽方言

仙台方言

岩手県南部方言

ケセン語



山形県内陸部方言

置賜方言

村山方言

最上方言

香澄町弁*


福島県方言

会津方言

中通り方言

浜通り方言



関東方言

東関東方言

茨城県方言

栃木県方言

西関東方言

群馬県方言

足利方言

埼玉県方言


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:30 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef