広辞苑
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

浄土真宗で、僧の妻」と説明しているが、2000年代に入り、本願寺派大谷派が相前後して女性住職の配偶者や家族が坊守を称することを認めており[41]、訂正を求める声もある[42][43]

一方、20年にわたり間違いが指摘されてきた将棋宗家伊藤家の始祖についての記述は修正されている[37]。また、「仮にこれまで指摘されているものだけに止まるなら、奇跡的に少ないと言うべき」といった意見もある[44]
台湾記述と台湾からの批判

『広辞苑』第六版は、「中華人民共和国」の項目に示す中華人民共和国行政区分の図に台湾「台湾省」として組み入れ、「日中共同声明」の項目では「日本は中華人民共和国を唯一の正統政府と承認し、台湾がこれに帰属することを実質的に認め」たと記述する。台北駐日経済文化代表処は2017年12月11日「台湾が中華人民共和国の「台湾省」として紹介され」ている「誤記」「事実と異なる内容」として、岩波書店に対し「中華民国台湾は独立主権国家であり、断じて中華人民共和国の一部ではない」と修正を要求した[45][46][47]

岩波書店は同月22日、「中華人民共和国・中華民国はともに「一つの中国」を主張しており、一方、日本を含む各国は「一つの中国」論に異を唱えず」とした上で、「台湾省」と表記して掲載した地図は「「中華人民共和国」の項目に付した地図であり、同国が示している行政区分を記載したもの」とする見解を発表し、指摘のあった記述について「誤りであるとは考えておりません」との「謹告」[48]を発表した。これに対し駐日台北経済文化代表処は遺憾の意を表明した[49]。第七版でもこれらの記述はそのままとなっている[注 9]
年間発行部数

1991年、第四版が出版された年は、大きな反響を呼んだ宮沢りえの写真集『Santa Fe』の出版があり、出版業界では発行部数でどちらが上回るかが話題となった。結果的に、年間発行部数は『広辞苑』が約220万部と『Santa Fe』の約150万部を上回り圧勝した[53]。以降の版は、電子媒体やインターネットの出現で初年度の販売部数を減らしており、第六版が出版された2008年1月-2009年3月では約36万部となっている[54]
種類電子辞書に収録された広辞苑

通常版(菊判

机上版(B5判) - 第六版では「あ - そ」「た - ん」までの二分冊となった。

総革装広辞苑(菊判)第二版から発売。第七版は未発売。

総革装広辞苑机上版(B5判) - 第四版から存在する。第六版のみ通常の机上版と同じく二分冊とされた。第七版は未発売。

CD-ROM版 - 1987年に発売された『広辞苑 第三版CD-ROM版』が最初[注 10]。第五版まで発売され、容量の問題もありDVDに移行した。

DVD-ROM版 - 第六版のものが岩波書店から発売された。コンピュータで使用する。書籍版と収録項目は同数であるが、文学作品・憲法等の文献資料、カラー画像、動画、鳥の鳴き声、クラシック日本民謡の楽曲を含み、検索機能が付加されている。

電子ブック版 - 第四版・第五版のものが岩波書店から発売された。電子ブックプレーヤーを用い、収録項目は書籍版と同数。書籍版とCD-ROM版の中間的なデータと機能を有する。電子ブックプレイヤーのバンドル版と市販品では、マルチメディアデータの収録状況に差がある。

携帯電話版 - 携帯電話の有料サービスとして2001年4月から開始した。一定の月額利用料金を支払うことで携帯電話のメニューから単語検索や漢字検索が行える。

電子辞書版 - 電子辞書機器向けの辞書として広辞苑を含む場合がある。収録語数は書籍版と同数だが、地名項目が市町村合併に伴い増補されているものもある。

スマートフォン・タブレット版 - 第六版以降にはモバイルアプリケーションがある。第七版は計測技研(iPhone・iPad)、コードダイナミクス(富士通パーソナルズからティーガイアを経て運営移管、Android)、ロゴヴィスタ(iPhone・iPad、Android)からリリースされている。

ロゴヴィスタ電子辞典版 - 独自のデータ形式を採用する。DVD-ROM版、ダウンロード版があり、Windows、Macintosh、iPhone/iPad、Androidの各プラットフォームに対応する。これまでに第五版(前身に当たるシステムソフト電子辞典を引き継いだもの)・第六版・第七版のものを発売している。

ATOK連携電子辞典版 - ジャストシステムの日本語入力システムATOKで入力・変換中に参照するための電子辞典。2016年のATOK 2016以降では「ATOKイミクル」により、入力・変換中でなく文書の閲覧中にも辞典を引けるようになった。2006年に発売された『広辞苑 第五版 for ATOK』以降、各版のものがある。ATOK Passport [プレミアム]ではクラウド辞典として第七版を参照できる。

脚注[脚注の使い方]
注釈^ 「大型の国語辞典である」とされることが多々あるが、日本で該当する大型国語辞典は、小学館が発行する『日本国語大辞典』のみである[1][2]
^ 同様の事例で、以前から存在する語句でありながら、法律の成立・施行により語彙を改められた「少子」などがある。
^ ただし、1954年(昭和29年)初公開の「ゴジラ」は第五版で既に追加されている。第六版では1983年(昭和58年)放送の「おしん」なども追加された[16]
^上高森遺跡」の捏造が発覚したため削除された例など。
^ 学研「新世紀ビジュアル百科辞典」は辞典と名乗るが、存命の人名も掲載している。
^ 【ん坊】[接尾](多くの動詞の連用形に付く)そういう性質・特色をもつ人や事物。「んぼ」とも。「暴れ?」「食いし?」「赤?」「さくら?」
^ このことを渡部昇一は「非常に慎重に書いているように見えるのだが、最も重要な事実を書いていない」と指摘する[26]
^ 水野によると、「韓人」(初版)が「韓国人安重根」(第二版)となり、第三版では「独立運動家」という肩書が付いて、第四版で「安重根」という独立項目となったという[27]。一方で、伊藤博文は「維新の功臣」が第五版から削除されている[27]。井上寶護はこれを受けて、この他にも数項目を引用した上で、『広辞苑』を「要するに一事が萬事、祖国の来歴になるべく冷たい視線を向け、先人同胞の行為を悪意の偏見をもつて断罪し、己のみ道徳的高みに立ちたい変態心理に支配された人々によつて作り上げられた「欠陥辞書」なのである」と切言する[28]
^ この手段については「恥知らず[50]」や「政府の見解より劣悪な説明表記をしている[51]」などの意見がある一方で、「他の出版社でも似た記述はあるので、岩波書店が特に悪質なわけではないが、やはり権威ある辞書の性質上、きちんと反映した内容の記述をしていただきたい[52]」や「台湾の独立を承認すべきかどうかという議論とは全くの別問題[44]」といったものもある。
^ ただし「電子広辞苑 誕生物語 (吉田安孝/坪倉 孝) 」によれば、富士通のワープロ「オアシス 100GX」専用であった。

出典^ “第1回 はじめに 。『日本国語大辞典』をよむ(今野 真二) 。三省堂 ことばのコラム”. 三省堂WORD-WISE WEB -Dictionaries & Beyond-. 三省堂 (2017年2月12日). 2022年8月2日閲覧。
^ 今野真二 (2018), pp. 22?23.
^ 岡茂雄 (1974).
^ “逆引き広辞苑 第五版対応”. 岩波書店. 2010年12月22日閲覧。
^ 岩波書店、『広辞苑第7版』来年1月12日に発売へ、文化通信、2017年10月25日。
^ a b c広辞苑10年ぶり改訂 【LGBT】【ブラック企業】【がっつり】…など1万項目、『東京新聞』朝刊、2017年10月25日。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:75 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef