広辞苑
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第七版は2017年10月24日に発表され、同年11月に予約受付開始、2018年1月12日に発行された[10][11][12]
刊行年譜

1935年(昭和10年):『辞苑』(
博文館)発行

1955年(昭和30年)5月25日:第一版発行

1969年(昭和44年)5月16日:第二版発行

1976年(昭和51年)12月1日:第二版補訂版発行

1983年(昭和58年)12月6日:第三版発行

1991年(平成3年)11月15日:第四版発行

1998年(平成10年)11月11日:第五版発行

2008年(平成20年)1月11日:第六版発行

2018年(平成30年)1月12日:第七版発行

影響

1995年9月の井上ひさしの著書によると、愛用者は多く、一時期「広辞苑によると」という書き出しでエッセイなどを書くことが流行したとされる[13]
記載内容

この節には複数の問題があります。改善ノートページでの議論にご協力ください。

出典がまったく示されていないか不十分です。内容に関する文献や情報源が必要です。(2022年1月)


独自研究が含まれているおそれがあります。(2022年1月)


『広辞苑』の改版時に採用される新語は、若者言葉が一般的に日本語として定着したかどうかの目安とされることがある(例:フリーター着メロ等)。1980年代初頭に流行した「ナウい」は2008年改訂の第六版において収録され[14]、2000年代半ばに流行した「萌え」は2018年改訂の第七版において収録された。逆に、「猛暑日」は2007年4月1日気象庁が使用を開始したかなり新しい用語だが、「今後は頻繁に使われるであろうと判断したため[15]」、2008年の第六版で収録された[注 2]

なお特撮関係のキャラクターで記載されている項目は、第六版時点では「ゴジラ」と「ウルトラマン」の二つのみで、その他『商標』の掲載についてはあまり積極的ではなく、商標権を持つ企業名(商標権者)まで掲載しない場合が多い。広辞苑編集部の上野真志は、「第五版まで世相・時代相を表す用語は第二次世界大戦前までに限定していたからで、第六版で昭和40年代まで拡大した」と説明している[注 3]。第七版では「仮面ライダー」が追加されている。

第二版刊行時に約2万項目を削除し、新たに約2万項目を追加した。これは初版で多く収録されていた古代中国の漢文用語や国史の古典用語を整理したためである。なお第六版では、新たな事実判明・発覚での改変も行っている[注 4]

言葉の意味の変化に伴った語釈の追加・変更[17]も見られ、「姑息」は本来「その場しのぎ」の意味であるが、「ずるい」の意味で多く使われるようになったことを受け第七版で「卑怯なさま」の語釈が加えられた。同じく「にやける」も本来の「なよなよとしている」の他に「にやにやする」の語釈が第七版で加わった[18]

なお日本人の人名は物故者(故人)の掲載のみに限定し、存命の人名については掲載していないが、他の国語辞典もほぼ同様の処置を取っている[注 5]

広辞苑の最後の見出し語は初版から第六版まで一貫して「んとす」であったが、第七版で新しく「んぼう[注 6]」が追加され最後の語となった[19]
論争

谷沢永一渡部昇一との共著の中で、「博文館から『辞苑』の版権を取得した岩波書店が『広辞苑』として改訂を重ねる中で、3版から劇的に内容が変わり左翼理論の活発な演習場と化した」と主張した[20]。水野靖夫はこれを受けて「左翼の曲がり角」と呼んでいる[21][22][23]
慰安婦・従軍慰安婦及び朝鮮人強制連行

1955年の初版では『慰安婦』を「戦地の部隊に随行、将兵を慰安した女」と定義し、1983年の第三版では「戦地将兵を慰安する女性」と定義している。1970年代以降になって「従軍慰安婦」問題が社会問題となり、外交における日韓問題にまで発展すると、第四版(1991年)以後で「従軍慰安婦」項目が登場し、「日中戦争太平洋戦争期、日本軍将兵の性的慰安のために従軍させられた女性」と記載された。

新井佐和子は、初版にあった「朝鮮事変」「朝鮮貴族」などが消え、第四版では「朝鮮人虐殺」「朝鮮人強制連行」などと入れ替わっていると指摘(「朝鮮」の語を含む用語、5増5減)。「説明文の言い回しまで微妙に異なるのは、執筆者が高崎宗司和田春樹にかわったからだろうか」と疑問を呈している[24]

さらに、第五版(1998年)では「日中戦争、太平洋戦争期、日本軍によって将兵の性の対象となることを強いられた女性。多くは強制連行された朝鮮人女性。」と記述されている。これについて谷沢永一は「削除あるいは訂正すべきだ」とした[25]。その後、第六版(2008年)において、後半部は「植民地・占領地出身の女性も多く含まれていた」と改訂されたが、「朝鮮人強制連行」の項目で、「日中戦争・太平洋戦争期に100万人を超える朝鮮人を内地・樺太(サハリン)・沖縄・東南アジアなどに強制的に連行し、労務者や軍夫などとして強制就労させたこと。女性の一部は日本軍の慰安婦とされた。」と、慰安婦が強制連行されたとの説明内容を維持している[注 7]
意図的な作為による書き換え

水野靖夫は『広辞苑』の各版(初版?第六版)における近現代史用語を比較分析し、幾つかの問題点を指摘した。例えば伊藤博文の説明文について、「安重根が版を追うごとに格上げされている」ことに疑問を呈している[注 8]。また、日英同盟の説明文について、「中国と英領インドの現状維持を目的」(初版・第二版)が削除されて「日露戦争で日本に有利な役割を果たした」(第三版以降)と明記されていること、「ロシヤのアジアへの侵出」(初版)が「ロシアのアジア進出」(第二版以降)に書き換わっていることなどを取り上げており、これを水野は「意図的な作為が明らかである」とする[29]
那智黒論争

粘板岩の「那智黒」の項目では、実際の産出地が三重県熊野市であるにもかかわらず、1955年の第一版から産出地が「和歌山県那智地方」と誤って記載されていた、と2013年に複数のメディアで報道された。報道によると「熊野市からは1997年頃に訂正の申し入れが岩波書店になされたが、その後に刊行された第五版・第六版でもそのままになっていた」としている[30]。これに対して、岩波書店は、1997年頃に熊野市から指摘を受けて検討した結果、『紀伊続風土記』等の江戸時代の史料に那智地方で産出する旨の記述があることから、1998年刊行の『広辞苑』第五版で解説文を「那智地方に産した」という過去形に変更しており、現在の採石地が那智地方であるとは説明していないと主張するとともに、これら一連の報道は「事実経過を歪曲し、また『広辞苑』の記述を誤りと決めつけた不当な内容となっている」とウェブサイト上で反論している[31]
第六版の複数誤記問題

2008年に発行された第六版では、その記載内容について複数の誤記が発見されている。まず「芦屋・蘆屋」の項目では、「在原行平松風・村雨の伝説などの舞台」と記載されているが、正しくは「須磨」である。広辞苑編集部は、ウェブサイト上で「お詫びと訂正」を行い、早期の訂正を行いたいとしている[32] が、これは第五版から残っていた誤りである。さらに「横隔膜ヘルニア」の項目では、「横隔膜の欠損部や筋肉の弱った所を通って腹部内臓が腹腔へ逸脱する現象」などと記載されているが、腹腔内の内臓が腹腔に逸脱するというのはおかしく、この文脈であれば「胸腔へ逸脱」とすべきである。編集部は2008年1月にこの誤りを認め、第二刷から訂正したいとしている[33]

2017年5月「フェミニズム」などの項目の記述について、明日少女隊ウェブスター辞典オックスフォード英語辞典を引き合いに出して説明文の書き換えを求める公開質問を行った。


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