広東語
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広東語(カントンご、: 廣東話 / 广??、: Cantonese)は、粤語の一方言である粤海方言(中国語版)を基盤に成立した言語で、広州のみならず香港マカオのほか、マレーシアシンガポールブルネイ華人、および各国にいる華僑華人の一部にも多くの話者がいる。欧米やオセアニアの華系社会でも主要な言語となっている。
特徴

音韻的に入声鼻音韻尾を有し、白文異読が少ないなど、中古音との整合性が高い。

一方で、広州代から他の地域に先駆けてイギリスなどの外国との接触が始まったため、英語からの借用語も少なくない。特にイギリスの植民地支配を長く受け、英語を併用していた香港の広東語には、英語からの借用語が多く使われている。同様にポルトガルに統治されていたマカオの広東語には少量のポルトガル語からの借用語がある。

形態論及び統語論的には、修飾辞が被修飾辞の後ろに付く複合語(「鷄公」、「椰青」、「豆腐潤」など)が食関連語彙を中心に見られる点[3]、二重目的語構文において直接目的語が動詞の直後に現れる点[4]類別詞数詞を伴わずに名詞に付いて定性を表す点[5]など、北方の官話をベースとした標準中国語とは異なる部分がある。こうした特徴はタイ諸語のような東南アジアの言語にも認められる。なお、逆修飾は古中国語でも見られる[注 1]
使用範囲

香港では、英語とともにテレビラジオメディアで使われている公用言語であり、映画演劇歌謡曲でも広く使用されている。香港でも公式の書き言葉としては「書面語」と呼ばれる標準中国語が用いられるため、他の中国語方言同様正書法は無く文字で表記されることは一般的ではない。それでも広東語は非公式ながら中国語方言の中では文字表記されることが多い部類に入り、新聞、雑誌、Webサイトなどの活字媒体でも広東語の口語を交えた文章は多く見られ、口語を表すための漢字表記も多数編み出されている(文字節参照)。

香港のテレビ番組では基本的にチャンネル別で広東語か英語が使われており、字幕は繁体字表記の書き言葉である[注 2]。一方、広東省のテレビやラジオでは、独自番組は広東語で放送することが多いが、普通話の番組も放送している。広東電視台珠江チャンネル、南方電視台南方衛星テレビは広東語のみのチャンネルである。仏山市湛江市などの地方のテレビ局でも、広東語番組を放送している例がある。

広東語の話者人口は上海などで使用される呉語よりも少ないが、影響力や地位は広東語の方が高い。これは香港が中国本土から政治的に切り離されていたことと経済発展によってもたらされたもので、ドイツ語の一方言という扱いから国語になったオランダ語の例に似ている。
広東語の制限と抗議行動詳細は「:en:Guangzhou Television Cantonese controversy」および「:zh:2010年廣州??語行動」を参照

2010年7月5日、広州市の諮問機関、人民政治協商会議が地元テレビの広東語チャンネルを標準語に改めるべきだと同市に提案した結果、地元住民が反発。7月25日には、「広東語を守れ!」と叫ぶ2000人以上の地元住民による抗議集会が開かれ、出動した警察隊に解散させられた。広州市は同月28日、広東語チャンネルを維持する考えを表明し事態収拾に乗り出したが、住民の抗議活動は収まらず、8月1日には広州と香港でほぼ同時に広東語擁護を求める住民デモが行われた。広州市では数百人が参加して「広東語万歳!」とのスローガンを連呼、警察隊が抗議集会を解散させて一部の参加者が拘束され、香港でも民主派活動家ら約150人が参加して広州市の住民運動を支援するデモが繰り広げられた。

2011年12月1日、広東省政府は『広東省国家通用語言文字規定』[6]を制定し、普通話の使用促進と方言の使用についてさらに明確な規定をし、2012年3月1日より施行するとした。これに関して、テレビなどの広東語放送ができなくなるなどの報道があったが、2011年12月24日広東省政府は記者会見を行い、広東省広播電影電視局何日丹副局長は、批准を受けている限り施行後も広東語などの方言放送ができなくなることはないと明言した[7]

また、香港の学校教育では、広東語で行われる授業が減ってきており、中国本土の影響が強まってきている。
発音

香港市街の広東語を例に説明する。この項目では粤?イェール粤語?音の声調表記を番号に変えて発音を示している。国際音声字母 (IPA) には[ ]を付けて示し、表には該当する漢字の例を付す。

広東語の音節は、他の中国語同様に声母(語頭子音)、韻母声調に分ける事ができる。
声母

現代の香港の広東語の例では、下記の表に示す19種に加えてゼロ声母(? とすることもある)を加えた計20種の声母がある。

広東語(香港標準粤語)の声母表唇音歯茎音硬口蓋音軟口蓋音声門音
破裂音破擦音非円唇円唇
閉鎖音無声無気音b p 巴d t 打z t?s 渣g k 加gw k? 瓜(? ?)
無声有気音p p? 怕t t? 他c t?s? 茶k k? ?kw k??
鼻音m m 媽n n 那ng ?
摩擦音f f 花s s 沙h h
接近音l l ?j j 也w w

子音

上記の声母に加えて、広東語の子音としては入声の音節末に見られる内破音がある。内破音には両唇 (-p [p?])、歯茎 (-t [t?] )、軟口蓋 (-k [k?])の3種がある。また、非入声の音節末には両唇 (-m [m])、歯茎 (-n [n])、軟口蓋 (-ng [?])の3種の鼻音韻尾を持つものがあり、意味の弁別に使われている。

s-、z-、c-は歯茎音([s]、[t?s]、[t?s?])で発音される場合と後部歯茎音([?]、[t͡ʃ]、[t͡ʃ?])で発音される場合があり、現在はこの違いは意味に影響しないが、20世紀前半までは意味の弁別に使われていた。
韻母

 前舌中舌後舌
非円唇円唇

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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