幻覚剤
[Wikipedia|▼Menu]

一般的な副作用は、不安、吐き気、嘔吐、心拍や血圧の増加である[3]。精神病性障害のような比較的一般的な障害が生じた場合には、サイケデリック体験に起因するのではと誤解されることがあるが、上述のように、統計からは精神病など精神的健康問題のリスクの低下と結びついている[21]幻覚剤後知覚障害 (HPPD) は、シロシビンやアヤワスカを用いた最近の近代的な臨床試験(偽薬対照を設けて問題の発生率を比較する)では報告されていない[3]

幻覚剤が依存や嗜癖を引き起こすという証拠は非常に限られたものである[3]耐性は急速に形成され、離脱症状が起こることは確認されていない[3]。精神的依存はまれだと考えられるがそのための研究は少ない[3]
作用機序

典型的な幻覚剤は、主としてセロトニンが作用している5-HT2A受容体(英語版)に作用する[2]。対してケタミンなどの解離性麻酔薬は、主としてグルタミン酸作動性のNMDA型グルタミン酸受容体(N-メチルD-アスパラギン酸受容体)を阻害する[2]。MDMAは、セロトニン作動性でありセロトニンの放出を促進し、絆の形成などに関わる神経ペプチドのオキシトシンバソプレッシンも放出させる[1]

5-HT2A受容体への作用は、脳由来神経栄養因子 (BDNF) を増加させ、神経新生を促す可能性がある[2][22]。ケタミンでは、自殺念慮が大きく減少しこのような改善の追跡は6週間まで確認されている[23]

5-HT2A受容体への作用は急速に耐性が形成されるため、この特徴が依存症や頻繁な使用を少なくしてしまう[6]。たとえば、LSDでは4日間日常的に投与することで耐性が形成され、活性はなくなってしまう[6]。依存性があるものだろうと一般的に誤解されているが、専門家は依存や強迫的な使用を引き起こすものではないことに同意する[24]
幻覚剤の種類と歴史

DSM-5では、幻覚剤関連障害の中に、ケタミンを含むフェンサイクリジン類による解離性のある幻覚剤と、それ以外であるLSD、メスカリン、シロシビン、MDMA、ジメチルトリプタミン (DMT) 、サルビアなどに大きく分類しており、大麻は幻覚剤に含めず大麻関連障害として別個である。

植物性のアルカロイドには、幻覚をもたらすものがあり、古来から様々な目的で用いられてきた。天然の植物の状態のものはナチュラルドラッグ、化学合成されたものはケミカルドラッグと呼ばれる。幻覚剤の作用成分は、脳内の神経伝達物質と類似の構造を持っている。

幻覚をもたらす植物の発見や歴史的考察は、JPモルガン銀行の副社長で菌類の研究家であったロバート・ゴードン・ワッソン(以降、R・G・ワッソンと略記する)の貢献が大きい[25]
自生する植物の利用.mw-parser-output .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .trow>.thumbcaption{text-align:center}}アヤワスカは複数の植物を調合し煮込んで作られる。ペヨーテネイティブ・アメリカン・チャーチの儀式で用いられる。ネコ科のすり鉢とネコ科と蛇の形をしたすり棒は、小さいため幻覚剤や顔料をすり潰したと考えられている。ペルー北部の神殿遺跡、紀元前900-500年のパコパンパ遺跡より。[26]
アメリカ

アメリカ大陸のシャーマンはアヤワスカという飲料やサボテンのペヨーテ、サンペドロを用いている。アメリカ中西部やメキシコに自生するメスカリンを含むペヨーテは生や乾燥させて食される。ペルーでは幻覚成分のメスカリンを含むサボテンのサンペドロ(英語版)があり、煮詰めた成分が摂取される。アマゾン熱帯雨林のシャーマンは、植物を煮出してアヤワスカを作るが、これには、ジメチルトリプタミン(DMT)とモノアミン酸化酵素阻害薬であるハルミンが含まれ、相互作用で効力を発揮する。アヤワスカは2-6時間前後効力を発揮し、その間は自我が停止するといわれる。
メキシコ

幻覚をもたらす成分のシロシビンを含む俗にマジックマッシュルームと呼ばれるキノコが自生し、シャーマンにより宗教儀式や治療に用いられている。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:127 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef