ルネサンス期には、人文主義者トマス・モアが理想と風刺の題材としてのユートピアを著し、フランソワ・ラブレーによる民間伝承を元にした超人的な巨人の王によるグロテスクな笑いの物語「ガルガンチュワとパンタグリュエル」が民衆の人気を得た。 フランスでは16、17世紀にはシャルル・ペローによる民話収集などの他、民衆による迷信的な物語の延長上の「不可思議物語」が栄え、18世紀にはジャック・カゾットやサドなど、想像力豊かな作品が生み出されていた。グリム兄弟はドイツの民間伝承を収集して『子供と家庭のメルヒェン集』(1812年)などとして刊行し、ハイネも『精霊物語』(1835年)でゲルマン民族の古代神を取り上げ、続いて『流刑の神々』(1853年)ではギリシアの神々について述べ、また詩作に反映した。ルートヴィヒ・ティークらは、「民衆本」の民話などを題材にして創作したクンスト・メルヘン(芸術童話)を生み、自然礼賛の思想を育んだ。ゴーゴリは、当時ロシアで流行していた、故郷ウクライナの伝説を元にした創作『ディカーニカ近郷夜話』(1832年)で人気を得た。 近代におけるその系譜は、たとえばイギリスのゴシック・ロマンス、ロマン派などといった潮流となり、19世紀には後期ロマン派、特にE.T.A.ホフマンの作品が各国に大きな影響を与えた。 19世紀には、幻想文学論「文学における幻想について」(Reveries litteraires, morales et fantastiques、1832)を書いたシャルル・ノディエや、テオフィル・ゴーティエら小ロマン派と呼ばれる作家達が活動し、コント・ファンタスティック(Conte Fantastique)という分野を形成する。またスウェーデンボルグなどの神秘思想に影響された作品(バルザック「セラフィタ」など)や、悪魔崇拝を題材にした作品(ユイスマンス『彼方』など)も生まれた。ドイツやフランスのロマン派作品が翻訳されたイギリスでは、産業革命によって押し進む合理主義社会で、人間性回復のための文学として、ジョン・ラスキンなどによる妖精物語が復権する。さらにラファエル前派や、フェビアン協会のキリスト教的社会主義の影響を受けながら、昔話とは異なる別世界を舞台にしたチャールズ・キングスレー、ルイス・キャロル、ジョージ・マクドナルドなどの物語が生み出された。[8] 世紀後半には象徴派のリラダンなどによる作品が生まれ、20世紀にはハンス・ハインツ・エーヴェルス
伝説の再発見
文学潮流