この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方)
出典検索?: "幻の湖"
幻の湖
監督橋本忍
脚本橋本忍
原作橋本忍
製作
佐藤正之
大山勝美
野村芳太郎
橋本忍
出演者南條玲子
音楽芥川也寸志
撮影
中尾駿一郎
斎藤孝雄
岸本正広
編集小川信夫
配給東宝
公開 1982年9月11日
上映時間164分[注釈 1]
製作国 日本
言語日本語
配給収入9000万円[2]
テンプレートを表示
『幻の湖』(まぼろしのみずうみ)は、1982年に公開された日本映画。 『砂の器』(1974年)、『八甲田山』(1977年)に続く、橋本プロダクション制作作品[3]。1982年9月11日公開。原作・脚本・監督は、橋本プロ代表の脚本家、橋本忍。東宝創立50周年記念作品[3][1][注釈 2]、第37回文化庁芸術祭参加作品。 主要登場人物の3名(ヒロインの道子、みつ、淀君)については、俳優経験を問わない一般オーディションが行われた[4]。その結果、応募者1627人の中から道子役に南條玲子が選ばれ[5]、女優としての本格的デビューを果たした[1]。南條は主役に決定した直後の1980年10月から宇佐美彰朗による徹底したランニング指導を受け、琵琶湖での撮影が終了(1982年2月)するまでに彼女が走った距離は、合計4,500キロに及んだ[6]。 難解な内容のため観客動員が伸びず、早々に公開が打ち切られた。公開が短期間に終わり、その後もしばらくは映像ソフト化もされなかったため、幻の作品として扱われていた[1]。 1996年、『映画秘宝 vol.6 底抜け超大作』(洋泉社)で本作品が大きく取り上げられたのが契機となり、好事家たちの間で「笑えるトンデモ映画」として認知度が高まるにつれて上映の機会も増え、2003年にはDVDも発売された[7]。さらに時が経ち、「永遠の、極上のイリュージョン・ムービー」[8]「時空を踏破した映像スペクタクル。トンデモ映画的な冷やかしの目で観るのはもう時代遅れ。真剣に見るべし」[9]「至るところにトチ狂った細工が施され、壮大に歪んだ和のわびさびを感じる、一級品の発狂映画」[10]など、肯定的に評価する動きも出ている。 雄琴のソープランド街で「お市」の源氏名で働くソープ嬢道子は、愛犬シロと琵琶湖の西岸でマラソンをするのが日課であった。そんな彼女が近頃気になっているのは、葛篭尾崎の付近を走っていると時折聞こえる、哀しげな笛の音だった。 そんなある日、道子の心の支えだった愛犬のシロが和邇浜で殺されているのが見つかった。凶器の包丁と様々な証言をもとに犯人が東京の作曲家日夏という男だと探りあてたものの、警察は頼りにならず、怒った道子は自ら東京へと乗り込む。 かつて道子の店にソープ嬢として潜入していた米国の諜報員ローザの尽力で、日夏の住所とジョギングが趣味であることを知った道子は、得意のマラソンで日夏を「倒れるまで走らせてやる」と決意する。 復讐決行の日。道子はジョギングに出かける日夏の後をつけ、駒沢オリンピック公園に入ったところで日夏を後ろから執拗にあおる。しかし都会の空気に不慣れな道子はペースを乱し、スパートをかけた日夏に逃げ去られてしまった。肉体的にも精神的にも敗北感にさいなまれ、道子は公園をさまよう。 復讐に失敗し雄琴に帰った失意の道子を待っていたのは、知り合いの銀行員倉田からのドライブの誘い、そして求婚だった。初めて琵琶湖の東岸を旅したことで暗い情念からも解放された道子は、倉田の求婚を受け入れる。 そんな折、道子は葛篭尾崎で、かの哀しげな笛を吹いていた男、長尾に出会う。長尾が笛の由来として話すのは戦国時代、近江の浅井長政の妻「お市」にまつわる、哀しい物語だった。長尾はその哀しげな笛で、織田信長に殺され葛篭尾崎に沈められたお市の侍女「みつ」の魂を鎮めていたのだ。みつの笛を受け継いだ子孫で、宇宙パルサー研究者としてNASAで働く長尾は、ある目的で近く大気圏外へ飛び立つのだという。 長尾の話を通じ、史実の「お市」もまた、大切な人をシロのように理不尽に殺されていたのを知った道子は、ただの源氏名だったお市の存在に深く共感し、涙を流す。しかし今更どうにもならないことであった。 結婚のためソープ嬢を辞めようとしていた矢先、なんと偶然にも作曲家の日夏が雄琴の道子の店に現れた。お市とみつの伝説を聞きつけたという日夏は「琵琶湖に沈んだ女の恨み節を書きに来た」と軽薄に笑う。激しい怨念の虜となった道子は、シロを殺した凶器の包丁を掴み日夏を追い回す。 日夏は店の外に逃げ出し、琵琶湖のほとりで過酷なマラソン対決が始まった。シロや倉田の幻にも支えられ、日夏を追って追ってひたすら追いかけた道子は、琵琶湖大橋のたもとでとうとう日夏の足を止めることに成功した。 「勝ったわよ、シロ!」快哉を叫んだ道子が日夏に包丁を突き刺したころ、長尾は地上からはるか離れた地球の衛星軌道にいた。長尾はスペースシャトルの船外に出ると、琵琶湖の上空185キロの位置に鎮魂の笛を静止させた。琵琶湖の水が枯れ果て「幻の湖」となる遠い未来までも、笛が琵琶湖の怨念を鎮めることができるように…。
概要
ストーリー
キャスト
尾坂道子 / トルコ嬢お市 - 南條玲子
長尾正信 / 吉康 - 隆大介
日夏圭介 - 光田昌弘
倉田修 - 長谷川初範
トルコ嬢淀君 - かたせ梨乃
ローザ - デビ・カムダ
矢崎 - 室田日出男
関口 - 谷幹一
大西 - 北村和夫
弁護士 - 仲谷昇
平山 - 下条アトム
みつ - 星野知子
藤掛三河 - 大滝秀治
長尾吉兼 - 宮口精二
お市の方 - 関根恵子
織田信長 - 北大路欣也
日夏音楽事務所の受付 - 荒木由美子
お市の方の侍女 - 中村れい子
道子の客 - 奥野匡
シロ - ラウンドウェイ・KT・ジョニー号
菅井きん
杉山とく子
辻萬長
西田健
浜田晃
木村四郎
青木卓
伊藤敏孝
坂西良太
永妻晃
岩城和男
スタッフ