中世ヨーロッパでは、基本的にユリウス暦を用いながらも、年初は地域によってばらばらだった。それらは主にキリスト教にとって重要な日を選び、イエス・キリスト生誕日であるクリスマスの12月25日、受胎告知の3月25日、そしてキリスト教で最も重視され太陽暦では固定できなかった復活祭[52]。1月1日を主の割礼祭として年初に据えることもあったが、一般的ではなかった[26]。
1564年にフランスのシャルル9世が、年初を冬至に近い[52]1月1日へ固定した[26]。当初これには国内の反発があったが3年後には議会で採択され正式に発令され、さらにこれは1582年のグレゴリオ暦採用時にも再度定められた[26]。しかしこの定めはキリスト教圏にすぐに広がったわけではなく、例えばイギリスが1月1日を年初としたのは1752年であった[52]。 歴史学や天文学などにおいて、何かしらの概念に基づく長大な時間に対し固有名詞をつけて「何々年」と呼ぶ場合がある。古代ギリシアの哲学者プラトンは歴史とは循環するものと考え、『テアイテトス』にて、その周期を36,000年と試算した。36,000は「完全数」の名で呼ばれ、これは「プラトン大年(magnus Platonicus annus)」「大年(great year)」「プラトン年 (Platonic Year)」「プラトン的転回 (Platonic Revolution)」と呼ばれ[62]、地球を回る8天体(太陽と7惑星)が元の位置に戻るのに要する時間をいい、宇宙の更新が行われる聖なる周期と考えられていた。 現代では、歳差運動によって春分点が移動して一周する約26,000年に対し、「大年(great year)」 の名が与えられている[63]。さらに、太陽系が秒速200kmの速度で銀河系を一周する期間である約2億年も、銀河年 (Galactic year) という名称で呼ばれる[64][65]。 年が地球の公転周期を基礎にしていることから転じ、他の惑星の公転周期についても「年」という表記が使われる。例えば「水星年」[66]、「火星の一年」[5][67]などである。このような用語を使う際、混同を避けるために地球の1年は「地球年」 (earth year) とも呼ばれる[66][68]。 ガウス年
その他の年
長大な時間
他の惑星の公転
天文単位の基準
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 日本においてグレゴリオ暦導入前に使用されていた天保暦などは太陰太陽暦のため、1年は12か月または(閏月を含む)13か月と一定ではない。
^ 古代バビロニアでは6か月を1年としていたという。そのため人の年齢は現在の倍以上で数えられた。聖書の登場人物が非常に長寿なのは、この習慣が反映したという説がある。