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これを基準に季節を3つの期に分け、アケト(洪水)、ペロイェト(芽生え)、ショム(欠乏)と呼んでいた[28]。この期がそれぞれ4朔望月とほぼ一致することから、当初はエジプトでも太陰暦が用いられていた[28]。ところが彼らは、洪水が起こり始める夏の時期には太陽が昇る直前の東の空にシリウスが輝くという天文現象に気づいた。エジプト人はシリウスをソプデトと崇め、夏至を基準とする暦法を作り出した。当初、これは朔望月を基準に3年に1度閏月を加える1年を354日とする「太陰星暦」とも呼べる暦法だったが、紀元前2700年ごろに1か月を30日とし別に5日の祭日を設けた1年を365日とするシリウス暦に改められた[28]。この30日の12倍に余りの5日を1年とする暦法は古代エチオピア[29]古代インドのパーシ教徒[30]でも用いられた。古代エジプトでは、やがてシリウス(恒星)と太陽の運行には若干の差がある事が認識され、プトレマイオス3世治世時に4年に1度閏日を加え、1年を平均365.25日とする暦法が制定された[31]ガイウス・ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)

共和政ローマの実権を握ったガイウス・ユリウス・カエサルは、紀元前46年に1年を平均365.25日とするエジプトの太陽暦を導入した[注釈 3]。彼の死後、一時混乱して閏年を3年に1度とする平均365.3333日の運用もなされたが、紀元8年にアウグストゥスが修正を施し平均365.25日へ戻された[31]ローマ帝国の拡大に伴い、ユリウス暦はヨーロッパのほぼ全土・アフリカ北部から中近東に至る広い地域で用いられた[31]。このユリウス暦でも1年当たり約11分14秒長かったため、やがて春分日との誤差が顕著になった。1582年、ローマ教皇グレゴリウス13世によって400年間に97回の閏年を設けるグレゴリオ暦へ改暦され、1年は365.2425日となった。この年単位は当初はカトリック諸国のみの採用に留まっていた。しかし暦として優れている点が徐々に認められ、プロテスタント諸国には18世紀以降、ギリシア正教諸国も19世紀には、非キリスト教国では1873年の日本 [注釈 4]を皮切りに、20世紀中には世界中のほとんどの国が採用する西暦(世界標準暦)として用いられるようになった[32]
マヤ暦
詳細は「マヤ暦」を参照

メソアメリカ文明では、エジプトとは独立に太陽暦を確立していた。メソアメリカには20日の月が18と5日の余日から構成される365日を1年とする暦と、13日の数字による周期と20日の日名による周期が別々に動き、260日で元に戻る宗教暦が用いられた[33]
ユリウス年詳細は「ユリウス年」を参照

天文学では計量単位としての「年」として、1年を正確に365.25とするユリウス年を用いる。したがって、1ユリウス年は、国際単位系における31 557 600(正確に)と定義されている[34]
ユリウス通日

日付(年月日)と日数が、改暦による時期やそれぞれの地域によって統一されていないことから生じるさまざまな不具合に対して考案された基準がユリウス通日(または、「ユリウス日」)である[35]。ユリウス通日は、紀元前4713年1月1日(または、-4712年1月1日)の正午を起点とした通日である。1582年に実施されたユリウス暦からグレゴリオ暦への改暦によって、さまざまな混乱が生じることを懸念して、スカリゲル(ジョゼフ=ジュスト・スカリジェ(英語版))(1540年-1609年)が考案した。
派生単位.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィクショナリーに関連の辞書項目があります。decade、千年紀、ミレニアム、世紀、半年、quarter

10年を「十年紀」(decade)[36][37]1000年を「千年紀」(ミレニアム)と呼ぶ。また、100年を「世紀」と言うが、これは西暦元年から100年刻みの時代区分を指す[38]

1年の半分の6か月のことを「半年(はんとし、はんねん)」という[39]。また、会計年度などで一つの年度を6か月ずつの半期に分けて、前の半期(前期)を「上半期(かみはんき)」[40]、後の半期(後期)を「下半期(しもはんき)」[41]ともいう。さらに、1年を3か月単位の4分の1に分けたものを「四半期(しはんき)」(クォーター、英語:quarter)といい[42]、年や年度の初めから順に第1四半期・第2四半期・第3四半期・第4四半期と呼ぶ。英語圏では "Q1,Q2,Q3,Q4" と略す。
SI接頭語の使用

天文学地質学古生物学などでは、以下のような単位が使用される。1000年 ka(kilo annumの略、annum はラテン語で年を意味する), ky, kyr100万年 Ma, My, Myr、10億年 Ga, Gy, Gyr

これらはそれぞれ「キロ年」「メガ年」「ギガ年」の意味だが、日本語では接頭語も訳して呼ぶ。

地殻変動など非常に遅い速度を表すのに、「ミリメートル毎年」(mm/y, mm/yr)、「センチメートル毎年」(cm/y, cm/yr)が使われる。資源などの産出量は「トン毎年」(t/y, t/yr)などが使われるが、年当たりなのは自明とみなし単にトンなどと表すことが多い。他にもさまざまな量が年当たりで算出されるが、毎年は省略することが多い。
光年

ユリウス年を使って定義される長さ単位に「光年」(ly)がある。これは光速度ユリウス年との積に等しい。1光年は正確に 9 460 730 472 580 800 m である。
紀年法

紀年法には、ある起点から期間を区切らず無限に年数が加算されていく紀元[43]、君主や統治者、その他さまざまな制限によって期限を区切られる元号[44]、一定の期間で循環する周期によって年を表わす方法[45]が存在する。周期による紀年法の例としては、古代ギリシアにおけるオリンピアード(オリンピア紀元)や[46]干支などが挙げられる[47]

現代においてはキリスト紀元(西暦)が最も多くの国で使われていて、国際標準化機構ISO 8601ではアラビア数字4桁で表記するよう定められている[2]。また、西暦と独自の紀年法を併記する場合がある[48]新聞を例に取ると、例えば日本では西暦2020年に対して、元号を用いる「令和2年」[49]。ほかのアジア諸国では、中華民国(台湾)では「民国109年」(聯合報)、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)では「主体109年」(コリアンニュース)[50]大韓民国(韓国)では「檀君紀元4353年」(朝鮮日報)、イスラム教国でもエジプトアル・アハラム)やブルネイ(ブリタブルネイ)を例に取ると「ヒジュラ太陰暦1442年」[51]が併記される。


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