日本の年功序列制度は戦後になって出来上がったシステムである[3]。
戦前の日本では大卒者の比率が圧倒的に少なく、旧帝国大学出身者が大企業に入社して数年で百人規模の部下を持つことも珍しくなく[3]、鉱山会社などでは大卒の若手技術者が1,000人もの部下を擁していた事例もある[3]。
日本では高度成長期の到来とともに労働市場の内部化が進展した[2]。ピラミッド型の人口構造で右肩上がりの経済成長の下で、企業側は関連業務をすべて企業内で行い、専門的な労働力を確保して育成するという経営システムを構築した[6]。労働者側からも安定雇用と収入増への期待から終身雇用や年功序列型賃金を受け入れる環境にあった[6]。
1960年代の高度経済成長期は経済が拡大を続けた。また石油ショック以降の安定成長時代である1970年代後半から1980年代末期は団塊ジュニア世代の学齢期に当たり、数多い若年者の賃金を低く抑え、一方で年配者の賃金を高くすることに経済合理性があったということができる。もっともこの時期の日本企業が抜擢人事を完全に否定していたわけでは決してなく、真に優秀と見込んだ幹部候補を早くから要職に取り立てること自体は各企業で行われていた。
しかし、企業が将来の成長を見込んで労働力を囲い込むのを止め、次第に分社化やアウトソーシング化などによる経営効率化が図られるようになった[6]。
日本経済団体連合会は2011年、「経営労働政策委員会報告」の中で、定期昇給制度について、国際競争の激化や長引くデフレで「実施を当然視できなくなっている」と明記。「労使の話し合いにより、合理的な範囲で抜本的に見直すことが考えられる」と指摘した[7]。
利点と欠点
利点
インセンティブ効果
終身雇用制のもとでは、同じ会社に継続勤務するほうが転職するよりも高い効用が得られるようになるので、労働者に怠けないインセンティブを与える[4]。
企業特有の技能への投資
企業が労働者の企業特有の技能への投資(教育費用の負担)を行う場合、終身雇用制とともに年功序列による賃金制度が合理的である[4]。
欠点が望まれています。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 逆に言えば、終身雇用よりも中途での転職のほうが一般的であれば、賃金は年齢に依存しなくなる(小田切 (2010))。
出典^ a b OECD Economic Surveys: Japan 2019, OECD, (2019), Chapt.1, doi:10.1787/fd63f374-en
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