平成狸合戦ぽんぽこ
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おキヨ
本名:縁切り寺のキヨ。正吉の
となり、4匹の子狸を授かる。かつておキヨの祖父は鉄砲で撃たれて落命したが、人間に食べられたのではなく、立派な毛皮として高値で売られたと伝えられており、おキヨはそれを誇りとしている。なお、正吉とおキヨが演じた「双子の星作戦」の名称とその時のセリフは、宮沢賢治の童話「双子の星」からとったものである。その後は人間として暮らし、スナックで働いている。なお、4匹の子狸のその後については明言されていない。
鶴亀和尚
ぼたもち山万福寺に巣食う狸。年齢は105歳。狸たちのまとめ役で人間に対抗する作戦の立案や、各地の狸の長を集めて会合を開いたりしている。
僧侶らしく、術による作戦で人間の命を奪った形となった際は手厚く供養をしている。妖怪大作戦の失敗と、それらを全てワンダーランドの仕業とされたことが悔しく、狸の世界の掟を破ってでも、真実を伝えたいと決意する。テレビ取材では、信楽焼のタヌキの姿をとって人間の前に姿を現し、最終的には元の姿で、あれは自分達がやったことだと訴えた。その後は人間として暮らし、人間の世界で和尚として活動している。
おろく婆
本名:火の玉のおろく。赤い着物を着ている。気が強く、鶴亀和尚と共に狸たちをまとめる重鎮。初登場時は、鷹ヶ森と鈴ヶ森の合戦の場に乱入し、狸たちの戦闘を終結させた。化け学に精通しており若手狸の変化の講師を担当する。鶴亀和尚の狸の世界の掟を破る行動にいの1番に反対したが、最終的に自身の考え方も変わり、テレビの取材で「山はオラたちの棲み処、勝手に無くさんでもらいたい!これは山で生きるもの全ての願いじゃ??」と叫んだ。その後は人間の姿で、「多摩の母」と名乗る占い師として生活している。ヘアスタイルや着物などのデザインは、
水木しげるによる「たぬき娘」や「着物狸」に似ている。
権太
本名:鷹ヶ森の権太。自分達に害をもたらす人間は皆殺しにすべきだと訴える過激な狸たち“強硬派”のリーダー格。鷹ヶ森を縄張りとしていた狸の長。狸のイメージらしかぬ、血の気が多く過激な思想の持ち主で、故郷の森を奪った人間を激しく憎悪し、人間達を永久追放・抹殺しようと目論む。ニュータウン開発の妨害行為から凱旋後、不慮の事故(胴上げ中に全員がテレビニュースに驚き、画面前に殺到したため落下、更に大勢に踏まれた)で複雑骨折、内臓破裂など全治1年の大怪我を負う。戦いに参加できないことを悔しがり、人間に大きな危害を加えない仲間達の生温いやり方を非難した。その言動や行動は同族たちからも疎まれ気味で、かつて敵対関係にあった長老・青左衛門からも「何が多摩の狸達の為だ」と非難される場面が見られた。ただ、人間の追放論を演説中に「そしたら人間の料理が食べられなくなる」と訴えたぽん吉の言葉に反応し、涙ながらに「自分も食べたい」と叫んだり、狸達が集まった会議の場を同じく強硬派の狸達に占拠させクーデターを実行するが、直後、仲間達の食べ物の話につられて浮かれてしまい、成功には至らなくなる等、他の狸たち同様、食べ物の話だけは弱い部分もある。それでも、最期は人間を憎む同志の狸と玉砕覚悟で攻撃を仕掛け、
機動隊を相手に奮戦するも敗北、死亡[注 4]。その後、アンデッドの様な状態で仲間と復活し、釣瓶落としに化けて何台かの車を踏み潰すが、デコトラに轢かれて他の狸諸共、今度こそ死亡した。ラスト付近では、人間の姿の正吉達が彼の墓参りをするシーンがある。
青左衛門
鈴ヶ森の長老。権太とはかつて敵対関係にあったが、森の危機から共に手を携える。その後は人間として暮らすが狸としての心意気を忘れ、逆に不動産業で森林開発に手を染めて大成功を収めていることが正吉によって語られている。
ぽん吉
正吉の
幼馴染。変化できない並みの狸。怠け者だが、温厚な性格の持ち主で、登場する狸達の中でも最も狸らしい狸。強硬派の権太が“人間は永久追放だ”と人間を全て追い払うつもりだという答えに対し、“人間を全部追い払ったら人間の料理が食べれなくなる”と反論したことが、権太たち強硬派や正吉たち他の狸たちの考えを少し変えることになる。上述の通り化け狸ではないが、失望して後述の太三朗禿狸の洗礼を受け、船に乗ることはなく最後まで正吉と行動を共にし、町田に移った。
文太
本名:水呑み沢の文太。有力な変化狸に支援を求める使者として若手狸の中から選ばれ、
二つ岩団三郎狸の消息を求めて佐渡へ旅立った。終盤で多摩に帰還した際には森の変貌ぶりに驚き、「俺はたった3年で浦島太郎だ。人間を化かしているはずなのに、化かされているのは狸の方じゃないのか」と嘆いた。その後は人間として生活している。
玉三郎
本名:鬼ヶ森の玉三郎。狸として整った容姿の持ち主で、人間に変化すれば爽やかなハンサムとなり、娘狸たちから黄色い歓声を浴びる場面もあった。文太と同じく、有力な狸に支援を求める使者として若手狸の中から選ばれ、金長狸を訪ねるべく四国に旅立った。四国にたどり着いたものの、疲労から倒れ、金長の娘・小春に看病されたことから懇ろになり、子狸達をもうけた。事件の後、正式に小春の夫となり、金長狸の跡目を継ぐ。
佐助
眼鏡をかけた頭脳明晰な化け狸。名前のある狸達の中では最年少と見られる。
六代目金長
徳島県小松島市にある金長大明神(金長神社)の主。小春の父親であり、玉三郎の義父となる。四国から駆けつけた長老陣では最もストーリーに関わっており、また、唯一生き残った。終盤では金長神社に戻り、宮司に復帰している。
太三朗禿狸
屋島に住む狸。年齢は999歳という最高齢で、屋島の戦い那須与一を見物していたという。妖怪大作戦が失敗し刑部が死亡したことに大変なショックを受け、その後は変化できない狸を集めて踊念仏教祖となり、最期はそのまま信者となった狸たちを連ねて宝船に変化し、船出[注 5]。彼らと共に集団自決を遂げた[注 7]
隠神刑部
愛媛県松山市の狸で、八百八狸を統率している。江戸時代松山藩御家騒動に関与したことを深く後悔しており、命尽きるまで自身の命を正義の為に使いたいとしていた。妖怪大作戦に尽力した結果、肉体的・精神的な限界を迎え、命を落とす。その際、来迎ともとれる描写がされている[注 8]。劇中に登場する他の狸たちに比べ、に近い鋭い顔つきをしている。
二つ岩団三郎狸
佐渡に住む高名な変化狸。劇中では名前のみ登場。六代目金長も“先生”と一目置くほどの存在だったが、文太が佐渡を訪れる45年前、戦後の食糧難の際、猟師に撃たれ落命していた。
お玉
権太の妻。夫を深く愛しており、彼が重傷を負ったときにも献身的に看病していた。
小春
六代目金長の一人娘。金長との面会を果たした後、疲労から倒れた玉三郎を介抱するうち恋仲となり、3匹の子狸をもうける。
花子
ぽん吉のガールフレンド。
お福
正吉達の仲間の雌狸。
熊太郎
馬の背山の
稲荷神社に住む狸。正一位のお使い狐に化けて人間たちを化かした。

神奈川県藤野町(現:相模原市[注 9]に住む狸。自分たちの森に捨てられる土がどこから運ばれてくるかを調べるため、ダンプカーの荷台に紛れて多摩にやってくる。変化はできるがあまり得意ではなく、葉っぱを頭にのせて中年男性の姿に変化したものの、荷台で揺られるうちに体力が尽きて元の狸に戻ってしまった。
竜太郎
多摩
堀之内の変化狐。狸たち同様に土地開発で住処を奪われたため、変化術を使って人間に化け、他の変化狐をホステスに使い、クラブ経営者として生活している。金長に接触し、多摩の並の狐たちの末路と生き延びた仲間達の現状を伝え、変化術を使って人間社会に紛れるよう勧める。その裏ではワンダーランドの経営者に、変化狸を従業員として雇い入れるようもちかけていたが、金長たちの罠にかかり、資金の一億円を持ち逃げされる。
水木先生
狸たちが行った化かしを超常現象として扱っているテレビ番組に出演したコメンテーター。多発する超常現象に関して、「このような祟りの類はこれからも出る」という意味深長な発言をしている。
設定と用語
化け学

化け学[注 10]は人を脅かし、あるいは見誤らせる技術全般を指す。「身体の全組織組み替えの驚異」[8]であり、擬態と比べてより高度なものであるという。

作中ではタヌキ以外に化け学を身に付けているのは狐と一部の猫のみとされ、カメレオンによる擬態は化け学の初歩的なものともされている。また、同じタヌキであっても化け学の修得状況には個人差や地域差が大きく、舞台となる多摩丘陵においては変化本能を維持してきた変化ダヌキは少なく、変化本能をほとんど失った並ダヌキが大半となっている[8]。一方で阿波讃岐伊予佐渡のように変化の伝統を守り続けてきた地域も存在し[8]、作中では多摩丘陵のタヌキたちが化け学指南役として四国と佐渡から有名な変化ダヌキの長老たちを招へいしている。

タヌキが得意とするものは変身術(特にお化け妖怪への変身)と幻影や幻覚を与える能力であり、それ以外にも、物体を他のより高価なものに化かすことや、人間への憑依も可能である[8]。映画中で演じられる様々な化かし方は、その大部分がきわめて伝統に則ったものである。また、雄のタヌキは陰嚢を広げ、これを様々に変形させて非常に効果的に使用する[注 11]を乗せることで変身するとの伝承があるが、これは精神集中のための手段の一つでしかなく、これにこだわる必要はない[8][注 12]


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