日本を代表する食用キノコとして親しまれている。かつては秋の味覚の代表格であったが、菌床栽培や水耕栽培などによる人工栽培が確立して、通年流通している[12]。日本では「しいたけ品質表示基準」によって、食品としての「しいたけ」を「しいたけ菌の子実体であって全形のもの、柄を除去したもの又は柄を除去し、若しくは除去しないで傘を薄切りにしたもの」と定義している[13]。
主な旬は、3月 - 5月、または9月 - 11月といわれ、傘は肉厚で内側に巻き込み、裏側が変色していない白いもの、軸は太くて短めのものが市場価値の高い良品とされる[7]。生椎茸のほか、干し椎茸にも厚さの厚い順から「冬茹(どんこ)」「香茹(こうこ)」「香信(こうしん)」などの種別があり[12]、それぞれ香りや味に個性があるが、いずれも食物繊維やミネラルは豊富で、低カロリーである[7]。じっくり加熱することで、シイタケ特有の旨味が出てくる[7]。和風・洋風・中華料理ともに万能で、香りや旨味を生かして料理に使われる[8]。
旨み成分として、5'-グアニル酸を豊富に含むので、出汁をとって、コンブの旨味成分(グルタミン酸)や、鰹節の旨味成分(イノシン酸)との相乗効果を高める働きがある[8]。グアニル酸は生のシイタケでは総重量に占める割合が少ないが、乾燥して温度が上昇する過程で、リボヌクレアーゼやホスホモノエステラーゼ(英語版)などの酵素の働きにより増加する[12]。また乾燥することで細胞が破壊され、旨味成分の抽出効率が上昇する[14]。
栄養価としては、炭水化物、ビタミンB群、食物繊維、ミネラル、免疫細胞を活性化させるレンナチンなどが含まれる[7][1]。しかし、含有されるミネラル分やビタミン類の量は生育環境(栽培条件)により大きく異なり[15][16]栄養価として公表されている数値は目安に過ぎない。そのため収穫後の子実体への効果を期待し様々な成分の添加が研究されている[17][18][19]。シイタケにはエスゴステリンという成分が含まれており、これが日光に含まれる紫外線に当たると体内に入ることでビタミンDへと変化する[7]。したがって、生シイタケの軸を上向きにしてザルなどに広げ、ひだの部分に1 - 2時間ほど日光に当てると、ビタミンDの量が格段に増える[12]。 生椎茸(なましいたけ)は風味や歯ざわりを生かして、遠火で炙り焼きにしたり、ホイル焼き、鍋料理、すき焼き、スープ、すまし汁、茶碗蒸し、うどん、巻き寿司、炒め物、天ぷらなどにして食べる[8][10]。農薬や虫の心配も無いため、洗わずにそのまま使うのが基本で、水洗いすると香りや風味が落ちてしまうため、汚れは軽く拭き取る程度にする[7][1]。日本料理ではしいたけの傘の部分に十字の形や星型の形に包丁で飾り切り 干し椎茸(ほししいたけ・乾椎茸とも)は、シイタケを天日、または電気などの乾燥機械を使って乾燥させた食品である[12]。保存性が高く、乾燥によって栄養が凝縮されて、生のときにはなかったシイタケの旨み・香り成分が化学的に増すという特徴がある[12]。水で戻してから調理するのが基本で[12]、濃厚な旨味と出汁を生かして、煮物や佃煮、ご飯もの、点心、スープにしたりする[8]。もどし汁も香りのよい出汁として利用される[8]。もどし方が足りないと、時間をかけて加熱してもやわらかくならないので、芯までゆっくり時間をかけてもどす必要がある[12]。また、陽に当てて干すことによって、生のものよりも旨味成分や香りが凝縮され、ビタミンD2の含有量も増える[10]。椎茸を乾燥する方法として、古来天日乾燥が行われていたと思われているが、天日乾燥は低温で乾燥するために椎茸のうまみ成分はできにくく、高温乾燥によってより多く生成されるため1800年頃には既に、産地では焚火または炭火による乾燥が行われていたという。(「シイタケの研究」森喜作著 1963年/「山の光」(復刻版)小野村雄著 1930年) 種類は、成長程度の違いから肉厚で傘が開ききっていない(傘の開きがおおよそ七分まで)冬磨iどんこ)、薄手で傘が開いている香信(こうしん、本来は香蕈と書く)、さらに両者の中間的存在の香磨iこうこ)の区別がある[12]。
生椎茸
干ししいたけ
干し椎茸の種類