常圧
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種々の物理定数の推奨値を発表しているCODATAはIUPACの推奨に沿って後者をSSPとしているが[3]、標準圧力の設定に依存する理想気体モル体積サッカー・テトロード定数などは、105 Pa および 101 325 Pa の両方の標準圧力に基づく値で発表している。

IUPACによるSSPの変更の推奨は単位の変更に伴うものとして行われたが、標準状態とは(仮想的な)測定条件であり、基準とする量の選び方であって、単位の選び方ではない。物理学の理論は単位の選び方には依らないが、例えば標準生成エンタルピーは標準状態の設定に依存してその量が変化する(単位の変更による数値の変化ではない)。そもそも、105 PaはSIに沿った一貫性のある単位ではないことに注意。
温度と圧力の標準条件

基準とする温度には 25 °C か 0 °C が選ばれることが多い。呼び名のある温度と圧力の標準条件としては、SATPとSTPとNTPが挙げられる。
SATP
基準の温度を25 °C(298.15
K)、標準圧力を 105 Pa とするものがSATP(標準環境温度と圧力、: standard ambient temperature and pressure)と定義される[7]
STP(1990年頃以降)
基準の温度を0 °C(273.15 K)、標準圧力を 105 Pa とするものがSTP(標準温度と圧力、: standard temperature and pressure)と定義される[8]。1990年頃[注 1]より前のSTPはNTPと同じである。
NTP
基準の温度を0 °C(273.15 K)、標準圧力を 101 325 Pa とするものがNTP(標準温度と圧力、: normal temperature and pressure)と定義される[9][注 2]。NTPは1990年頃より前のSTPと同じである。

気体の標準状態としてどの条件が使われるかは、地域や分野により異なる。『アトキンス物理化学要論』によれば2016年現在、主に 25 °C、105 Pa のSATPが使われるが、0 °C、1 atm のSTP[注 3]は、今でも使われている[7]。一方『ボール物理化学』によれば、0 °C、105 Pa のSTPが最もふつうの一組である[10]。日本では、単に標準状態といえば 0 °C、1 atm のNTPを指すことが多い[11]
気体の体積

1モル理想気体体積は、SATPでは24.8リットル、STPでは22.7リットル(1990年頃[8][注 1]より前は22.4リットル)、NTPでは22.4リットルである。
物質の標準状態

温度 T における物質の標準状態とは、温度 T、標準状態圧力(SSP) p° におけるその物質の純粋な状態または仮想的な状態である[12]。標準状態にある物質の熱力学量は、標準状態における量であることを表すために ° を付けて表される[注 4]。例えば標準生成エンタルピーであれば ΔfH° と書かれる(Δf は生成反応(formation)を示す)。温度は引数として ΔfH°(298 K) のように示すか、右下の添え字で ΔfH°298 のように示す[13]
液体と固体の標準状態

液体と固体の標準状態は、純物質がSSPの下にある状態である。例として標準状態におけるグラファイトの熱力学量[14]を表に示す。

グラファイトの標準熱力学量(p° = 105 Pa)T / K.mw-parser-output .sfrac{white-space:nowrap}.mw-parser-output .sfrac.tion,.mw-parser-output .sfrac .tion{display:inline-block;vertical-align:-0.5em;font-size:85%;text-align:center}.mw-parser-output .sfrac .num,.mw-parser-output .sfrac .den{display:block;line-height:1em;margin:0 0.1em}.mw-parser-output .sfrac .den{border-top:1px solid}.mw-parser-output .sr-only{border:0;clip:rect(0,0,0,0);height:1px;margin:-1px;overflow:hidden;padding:0;position:absolute;width:1px}S°T/J K−1mol−1H°T − H°298/kJ mol−1ΔfH°T/kJ mol−1
00.00-1.050.00
2985.690.000.00
50011.652.380.00
100024.4511.820.00
200040.6335.320.00
300050.7560.300.00

グラファイトの標準生成エンタルピー ΔfH°T は表の温度範囲では定義によりゼロである。温度 T における標準エントロピー S°T および標準エンタルピー H°T は、定圧モル熱容量の実測値 Cp(T, p°) からそれぞれ

S T ∘ = ∫ 0 T C p ( T ′ , p ∘ ) T ′ d T ′ {\displaystyle S_{T}^{\circ }=\int _{0}^{T}{\frac {C_{p}(T',p^{\circ })}{T'}}\mathrm {d} T'}


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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