帯_(出版)
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帯の内容が大きく本の売り上げを引き上げることもある[1][2]

通常は一冊に対し一つの帯が用いられるが、出版社によるキャンペーン(フェア)が行われる場合、その商品群に対して統一した帯が用意され、書店などにおいて掛け替えが行われる。表紙そのものを差し替える場合は取次会社への煩雑な手続きが必用なのに対し、帯の場合は簡単な手続きで済むため[3]、カバーのほぼ全面を覆うような帯を「特大帯」「超幅広帯」「全面帯(全面カバー帯)」などと称し、表紙カバーの上から別の図案のカバーを覆うような仕掛けが試みられることもある[3][4]。こうした表紙全体を差し替えるような「帯」は、文庫で出版された小説が映像化される際などに用いられている[3]。帯は表紙(カバー)と一体として、併せてデザインされることが多く、その副作用として「帯を外したあとの表紙(カバー)が、間が抜けて見える」と評される装訂も見られる。

出版業界における一般的な通念によれば、帯の体裁や、そこに記載する文章等は、その本の著者・編者ではなく、本を刊行する出版者=出版社に決定権がある。昭和20年代ごろには、帯の文章はジャーナリストや学者、作家などに外注されていた。その後「帯封屋」と呼ばれる帯の文章を専門とするコピーライターが凝った宣伝文句をひねり出すようになり「帯封文学」と揶揄された[5]。昭和48年には雑誌『面白半分』で日本腰巻文学大賞という帯のキャッチコピーを対象とした文学賞が企画された[5]

帯は捨てられることが多いため、愛好家・収集家の間では希少価値を持つ収集品になることもあり、古書店で帯だけを万引きする者も存在する。人気作品や後に評価が上がった作品の初版帯付き本は、ネットオークション等で高値で取り引きされる傾向にある。人気作品は増刷され、それに伴って帯も変更される事から、初版時の帯は特に珍重される。また、古書店の同業者市では帯のみを販売している場合もある。

なお、こういった書籍の帯とほぼ同じ役割であるためと思われるが、CDの形態で販売される音楽やゲームソフトにも帯と呼ばれるものが付属している。ただしこちらは下部に巻きつけるのではなく、CDケースの厚みにあわせた2本の平行な折り目をつけたやや硬めの紙をケースの背の側にかぶせるというもので、英語圏では「背骨」や「本の背表紙」を意味する言葉のSpineで呼ばれる。書籍の帯と同様、中古での売買時には欠損している事が珍しくない。
製本工程における帯

製本のうち、上製本を作る工程の中で、断裁後に丸み出しと呼ばれる作業がある。上製本の書物にあるページ揃えのゆるやかなカーブをつくる作業だが、これを行った後、そのままにしておくと背表紙部分の弾力によって元に戻ってしまう。このため、丸みが元に戻らないように仮止めしておく布のことも帯と呼ばれる。
包装としての帯

刷了後の印刷物を纏めておく、ハトロン紙やクラフト紙による簡易包装のことを、帯あるいは帯掛けと呼ばれる。
レコード類の帯

書店で売られていたフォノシート類や、レコード店で売られるレコードに付けられた盤名、価格、宣伝などが書かれたたすき状の紙を「帯」または「たすき」と言う。主に表面に大文字でタイトルが、小さめの文字でキャッチコピーや規格番号、価格などが書かれ、裏面には同系統のディスコグラフィや再生機などの宣伝が書かれている事が多い。CDに付属する同様の物は多少形状の違いはあるが一般に「帯」または「キャップ」と呼ばれる。これがないと正式なタイトルや規格番号、価格が分からない場合もある。

書籍と同様に収集家は帯にこだわる。そのため中古店では帯の有無で買取価格、販売価格が異なる場合が多い。ただし、複合型の新古書店ではその限りではない。

これらレコードに付けられる帯は日本盤独自のものであり[6][7]、帯が付いた日本盤レコードは、国外でも人気が高いという[8]
脚注[脚注の使い方]^ 寺本隆裕 (2009年9月25日). “ ⇒東大・京大で一番読まれた本”. ザ・レスポンス. ダイレクト出版. 2012年12月12日閲覧。
^ 「出版社「帯を変えたら売れ行き10倍になった」 ラノベ作家の一般文芸デビュー作がベストセラーに」『ねとらぼ』ITmedia、2015年3月5日。2015年3月7日閲覧。
^ a b c 海老沢類「苦境の新書救世主!? 表紙カバー? いいえ「特大帯」なんです」『MSN産経ニュースマイクロソフト産業経済新聞社)、2014年2月19日。2014年8月9日閲覧。オリジナルの2017年12月8日時点におけるアーカイブ。
^ 待田晋哉「文庫全面カバー帯 定着」『YOMIURI ONLINE』読売新聞社、2016年5月26日。2021年5月17日閲覧。 ⇒オリジナルの2016年8月6日時点におけるアーカイブ。
^ a b 澤宮優『イラストで見る 昭和の消えた仕事図鑑』原書房、2016年、196-197頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-4-562-05298-1


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