ツァンク試験(Tzanck試験)は、水疱内容物を塗抹標本とし、ギムザ染色を行い巨細胞を検出する検査で、帯状疱疹以外でも巨細胞は多々認められるが、迅速診断としての有用性は高い。確定診断としては水疱内容物のウイルス抗原を検出する方法、水疱内容物や血液中のウイルスDNAをPCR法で検出する方法、血清IgG抗体価の上昇を確認する方法があるが、通常は行われない。一般のVZVモノクローナル抗体はHSVでも、抗原抗体反応(交叉反応)を起こす。 アシクロビル、ビダラビン、バラシクロビル、ファムシクロビル、アメナメビルの抗ウイルス薬が有効で、内服薬や入院治療によるアシクロビル、ビタラビンの点滴による治療により、治癒までの期間短縮が期待できる。ただし、抗ウイルス薬は水痘・帯状疱疹ウイルスの増殖抑制効果しかなく、病初期72時間以内に投与しないと効果が期待できない。よって病初期以外は、症状を緩和する対症療法が主となる。 同時に、安静にし体力を回復することも大切である。適切な治療が行われれば、早ければ1週間ほどで水疱は痂皮化し治癒する。程度により水疱部が瘢痕化することもある。帯状疱疹の出現している時の急性期疼痛に対しては、アセトアミノフェン、トラマドール、リン酸コデイン、アミトリプチリンが欧米で使用されている。またステロイド系抗炎症薬の投与も、急性期の疼痛を除去する作用がある。 帯状疱疹後神経痛(神経痛様疼痛)は、治癒した後も後遺症として残ることがある。眼と関係する顔面神経で、神経痛様疼痛が発症した際に、適切な治療をしなければ、視力に影響が出ることがある。神経痛様疼痛に対する治療法は確立していないが、疼痛に対し漢方薬による疼痛緩和療法[20][21]や鍼灸療法が行われる事もある[22][23]。必要に応じ、対症療法として神経節ブロック[11]、理学療法、非ステロイド性抗炎症薬、三環系抗うつ薬、抗けいれん薬、レーザー治療
治療
帯状疱疹後神経痛の治療法具体例として、以下のものが挙げられる。※印は保険適用外である。
薬物療法
ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(ノイロトロピン)
抗うつ薬(三環系抗うつ薬のアミトリプチリンかSNRIのデュロキセチン単独、および神経ブロックの併用[25])。アミトリプチリンは、1961年に日本で薬価収載された抗うつ薬だが、2016年2月、「末梢性神経障害性疼痛」の効能が追加された[26]。
非オピオイド
アセトアミノフェン
非ステロイド系抗炎症薬 ※
プレガバリン、ミロガバリン(2013年2月より、効能は「神経障害性疼痛、線維筋痛症に伴う疼痛」)
オピオイド (トラマドール、トラムセット)
麻薬(コデイン、モルヒネ、フェンタニル)
漢方薬(補中益気湯[27]、桂枝加朮附湯など) ※
メキシレチン ※
局所療法
カプサイシン、アスピリン、硝酸イソソルビド、リドカインなどの外用薬 ※
神経ブロック
イオントフォレーシス ※
低出力レーザー[28][29] ※
ワクチンによる予防水痘ワクチン・帯状疱疹ワクチン詳細は「水痘ワクチン」を参照
前述の通り、帯状疱疹は潜伏感染している水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化によって引き起こされるため、そもそも水痘に罹患しなければ、帯状疱疹は発症しない。水痘ワクチンにより、帯状疱疹を発症する例も存在はするが、非接種の場合と比較して非常に稀な確率である。
免疫抑制剤を使用することになった患者で、帯状疱疹ワクチン接種を受けた者、受けていない者を対照に前向きコホート研究を行った研究がある。