帝都物語
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精神を病んで森田正馬医師の治療を受けるが、帝都に撒かれた怨念と復讐の種子は彼女を通じて不気味に開花する。幼少期の体験から兄に対して恋愛感情を抱き、結ばれて雪子を産んだ。
辰宮 雪子(たつみや ゆきこ)
由佳里の娘。母から霊能力を受け継ぎ、加藤に狙われた。実は伯父でもある母の実兄・洋一郎を父とする禁忌の子。品川のカフェで女給として働いているが、二・二六事件に深くかかわっている。
目方 恵子(めかた けいこ)
辰宮洋一郎の妻。相馬俤神社の巫女。辰宮家と帝都を守るべく将門の巫女として加藤と戦うも敗れ、それでも肉体を与えることで加藤の怨念を鎮めた。真に男と女として求め合い身も心も結ばれ、帝都の怨敵と結ばれても至福を得たと地獄に墜ちる覚悟を綴った手紙を父に送り満州に去る。戦後に解放され、美千代や二美子といった後継者を育成しながら加藤と戦い続けた。自身の死期が迫っていることを悟り、美千代らに後を託して命を絶ち、後に「あなた」と加藤を呼んで迎え入れた。
その他の人物
鳴滝 純一(なるたき じゅんいち)
理学士。洋一郎の旧友。東京帝国大理科大学に籍を置く。純朴な性格だが、由佳理を思い続けるあまり、暴走することもある。戦後、人胆の効用で長寿と財産を得て、由佳里の霊を呼び戻して閉じ込めたり異常な行動に走る。
平井 保昌(ひらい やすまさ)
陰陽師の名家・土御門家一門の総帥。秘術を尽くして宿敵とわたりあうが、明治天皇崩御に接し自刃。鬼殺しの英雄源頼光に仕えた武者に同名の人物がおり、奇しくも明治版「羅生門の鬼」事件に遭遇する。
クラウス
救世軍の医師。加藤に精神を狂わされた辰宮母子の治療にあたる。
黒田 茂丸(くろだ しげまる)
風水師。風水を操り寺田、恵子と協力し加藤と戦う。死闘の場に駆け付けた際、すべては終わり恵子が身体を与えて赤子のように求める加藤の姿を目撃した。後に北海道へ帰るが、終戦直前に森繁久弥と共に恵子を探しに満州を訪れる。
トマーゾ
帝都支配を目論むメソニック協会日本支部を牛耳る、年齢が130歳を超える謎のイタリア人。重い障害を患っているが、特殊な力を持つ宝石「世界の眼(オクルス・ムンディ)」で補っている。また髪を意のままに操る事ができる。
鳴滝 二美子(なるたき ふみこ)
鳴滝の養子。多大な犠牲を出す事を厭わず、野望を推し進める養父に心を痛める。
大沢 美千代(おおさわ みちよ)
ある人物の転生として誕生し、前世の記憶に目覚めていく。
団 宗治(だん むねはる)
大沢美千代と協力して、オカルト知識やコンピュータを駆使し、加藤の放った水虎式神と対決した。単行本10巻収録の対談において、挿絵担当の丸尾が「団は荒俣さん」と言っている事から[要ページ番号]、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}名前の由来は荒俣宏のペンネーム「団 精二」を捩ったものと思われる。[独自研究?]
土師 金凰(はじ きんぽう)
土師氏棟梁。団や春樹と協力して加藤と戦う。
梅小路 文麿(うめこうじ あやまろ)
華族出身の人物。新時代の為に天皇を人胆の力で生かし続けていた。
実在の人物

以下実在の人物の詳細は全て、名前部分のリンク先も参照。
平将門(たいら の まさかど)
帝都東京を守護する亡霊。ストーリーの根幹をなす最も重要な人物。平安期関東最大の英雄。中央集権に刃向かい、関東を独立国家化したため討伐されたが、その一生は関東ユートピア設立のためにささげられた。現在もなお大手町のビルの一角に残る将門首塚は、すでに千年間、東京の中心を鎮護しつづけている。
佐藤信淵 (さとう のぶひろ)
江戸末期の経世家、鉱山技術家、兵法家。ユートピアをめざし、将門ゆかりの印旛沼をはじめ内洋すべてを干拓した生産性の向上をもとめた人物。彼の『宇内混同秘策』は神道家平田篤胤等の奇怪な日本中心主義を借りて、全世界を征服するための青写真を描いた一大奇書であり、この中に「東京」という名称が初めて用いられたとされる。
渋沢栄一(しぶさわ えいいち)
帝都東京を物理的、霊的に守護された都市にしようと秘密会議を開く。明治末期東京を代表する実業家で、自由競争経済建設の指導者。パリ万博におもむいた幕府使節団の一人で、第一国立銀行の設立の頭取をつとめるなど金融体制の設立にも力があった。儒教理論の持ち主らしく、怪異・神秘に対しては「怪力乱神を語らず」の姿勢を通した。
幸田露伴(こうだ ろはん)
膨大な魔術知識を駆使して魔人加藤と戦い、追い詰める。本名は幸田成行。明治最大の東洋神秘研究家の一人。その著『魔法修行者』『頭脳論』などと並び因縁めいた評伝『平将門』などは、『帝都物語』の読者には必携必読であろう。『八犬伝』の熱烈な支持者でもあった。また彼には『一国の首都』と題した長大な東京改造計画論があり、後年には寺田寅彦と親交を結び、渋沢栄一の伝記も著している。
寺田寅彦(てらだ とらひこ)
渋沢の秘密会議に出席、その場で加藤と出会い、露伴とは別に加藤と戦う。日本を代表する超博物学者、夏目漱石の一番弟子。江戸末期にふとした事件から実弟を手にかけて死なせた父のやるせない思いを無意識に受け継ぐ一方、物理学者でありながら超自然や怪異への限りない興味をいだきつづけた。迫りくる東京滅亡必死で喰いとめようとする少壮の学士。
カール・ハウスホーファー
ミュンヘンに生まれ、一八八七年陸軍の将官としてインド、東アジア、シベリアを旅行し、一九〇九年から約二年日本にも滞在した。日本においては「緑竜」なる結社に入会したとされる。地政学ゲオポリティーク)を戦争の化学に高め、初代ナチズムの神秘的な教養を形成する影の参謀となった。また後年ミュンヘン大学の教授・学長を歴任、敗戦ののち割腹自殺を遂げた。
織田信之(おだ ひろゆき)
平将門の名誉回復に尽力した。三河の国の豪農の家に生まれ勤王派に加わり、桂小五郎高杉晋作らと交友したが、維新後は明治政府の農業・干拓事業を担当、とりわけ印旛沼の治水事業に力を入れた。二十五年に引退し碑文協会を設立、以来、二宮尊徳佐藤信淵の思想の体系的紹介に尽力した。
森田正馬(もりた まさたけ)
精神科神経科医であり、クラウスと共に辰宮母子の治療にあたる。日本近代の精神医学者、治療家。寺田寅彦が幼少期を過ごした高地に生まれ、犬神憑などの霊現象を研究した。のち「森田療法」と知られている独創的な精神病治療法を確立した。
西村真琴(にしむら まこと)
地下鉄工事現場に巣食う鬼を人造人間學天則」で退治する。映画版で演じた俳優の西村晃は、西村真琴の実子である。
中島莞爾(なかじま かんじ)
陸軍少尉。雪子と恋仲となるも、北一輝に傾倒し、二・二六事件に参加する。事件後、怨霊となって三島にとり憑く。
北一輝(きた いっき)
日本改造法案大綱』を掲げ、革命を目論む人物。シャーマンであり、革命を阻害する将門を倒す為、暗躍する。
石原莞爾(いしわら かんじ)
世界最終戦論』を掲げ、北一輝と同じ法華経オカルティストでありながら、二・二六事件にて立場の違いから対立する。
大谷光瑞(おおたに こうずい)
加持祈祷による米英ソの戦争指導者の呪殺を画策する。
甘粕正彦(あまかす まさひこ)
加藤やトマーゾと関わりを持ち、満州国で暗躍する。東条英機の子飼いであり、満洲警察庁長官。
愛新覚羅溥儀(あいしんかくら ふぎ)
清王朝の血を引く満州国の皇帝ラストエンペラー)。関東軍の監視の目に疲れ、オカルティズムに傾倒するようになる。
大川周明(おおかわ しゅうめい)
帝都の奥津城に眠る怨霊の正体を探るという命を加藤より受けるが、それを阻止せんとする地霊に精神を狂わされた。
三島由紀夫(みしま ゆきお)
中島の霊に憑かれていた大蔵省官吏。後に小説家に転向する。自衛隊に体験入隊し、加藤から訓練を受ける。その後、大川同様に帝都の奥津城に眠る怨霊の正体を探る為、市ヶ谷駐屯地割腹する。
角川源義(かどかわ げんよし)
帝都の怨霊鎮魂のため、人骨を砕いた灰を撒き続けた。
角川春樹(かどかわ はるき)
源義の子。角川書店社長となるも、突如出奔し、奈須香宇宙大神宮の大宮司として東京の破滅を見届ける。
辻政信(つじ まさのぶ)
陸軍将校。戦後東南アジアに潜入し、ドルジェフと闘う。
セルゲイ・ドルジェフ
民族解放運動の中心者。邪視を用いる超能力者学生運動のリーダーに呼ばれて来日し、恵子や加藤と戦う。
フサコ・イトー
ドルジェフの側近。
藤森照信(ふじもり てるのぶ)


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