大正12年(1923年)2月28日の改定においては、従来の国是、国家目標、国家戦略、国防方針の順序で記述され、政戦略の一致が重視されていたが、国是や国家戦略が省略され、国防の本義として要約される形となっている。
国防の本義は国防の目的として自主独立の保障、国利国権の擁護、国家の発展、国民の福祉増進という原則的な記述にとどまり、国家戦略の部分については従来のような具体的な記述はない。また軍事ドクトリンとしては総力戦に配慮しながらも短期決戦の攻勢が強調されている。
また国際的な孤立を回避した上で対立がもっとも激しい外国に対しては警戒し、敵国が結合することを防ぎながら同盟を密接にして戦争遂行で優位に立つように努め、敵を海外において撃破して速やかに終結するという攻勢作戦の軍事ドクトリンが述べられている。[6] 昭和11年(1936年)6月3日の改定では前回の改定から国是、国家目標、国家戦略が国防の本義としてまとめられる構成となっている。その国防の本義とは、国家の権威を高めることと経済的な繁栄にあるという原則的な記述となった。 そして国防方針は外交で国家の発展を確保し、その上で有事においては先制主義と短期決戦を軍事ドクトリンとすることが定められた。また持久戦・総力戦に配慮しながらも短期決戦に必要な平時における軍事力の準備が強調されている。[7]
昭和11年帝国国防方針
脚注^ 黒川雄三『近代日本の軍事戦略概史』(芙蓉書房出版、2003年)64頁
^ 黒川雄三『近代日本の軍事戦略概史』(芙蓉書房出版、2003年) 67 - 68頁
^ 黒川雄三『近代日本の軍事戦略概史』(芙蓉書房出版、2003年)63 - 64頁
^ 黒川雄三『近代日本の軍事戦略概史』(芙蓉書房出版、2003年) 68 - 70頁
^ 黒川雄三『近代日本の軍事戦略概史』(芙蓉書房出版、2003年)107 - 108頁
^ 黒川雄三『近代日本の軍事戦略概史』(芙蓉書房出版、2003年) 142 - 144頁
^ 黒川雄三『近代日本の軍事戦略概史』(芙蓉書房出版、2003年) 194 - 195頁
関連項目
国家安全保障戦略 - 日本国憲法体制下の日本の国家安全保障に関する基本方針
戦略
軍事戦略
オレンジ計画
防衛計画の大綱(国家防衛戦略)
参考文献
黒川雄三『近代日本の軍事戦略概史』(芙蓉書房出版、2003年)