市町村防災行政無線
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また防犯を兼ねており、児童に帰宅を促す目的もある[17]。時報とは別に、帰宅を促す放送を行う場合もある。ミュージックチャイムでは、主に日本の童謡「夕焼け小焼け[注釈 1][17]や「赤とんぼ」・「故郷[17]・「七つの子」・「もみじ」・「椰子の実」、外国の曲「家路(遠き山に日は落ちて)」・「恋はみずいろ」・「野ばら(ハインリッヒ・ヴェルナー作曲のもの)」・「スコットランドの釣鐘草(英語版)」・「ムーン・リバー」・「イエスタデイ」・「グリーンスリーブス」・「エーデルワイス」・「アマリリス」・「さんぽ」・「エリーゼのために」がよく使われる。歌謡曲では、松田聖子の「SWEET MEMORIES」・松任谷由実の「守ってあげたい」がある。またその地域にちなんだ曲[注釈 2]や、出身者にちなんだ曲[注釈 3]市町村歌、自治体のキャラクターのテーマソング(埼玉県ふじみ野市の「羽ばたけふじみん」や茨城県稲敷市の「いいな!稲敷いなのすけ」[17])なども使われている。基本的に通年で同じ曲が用いられるが、石川県野々市市のように[注釈 4]季節限定で曲が変わることもある。

放送は「こちらは広報(市町村名)です」や「役場(◯◯課)からお知らせします。」や「こちらは防災(市町村名)です」から始まることが多い。火災の場合はそのときの消防署員や役場職員の判断・自治体にもよるが、「只今、○○地区で□□火災が発生しました。」(最初にサイレン吹鳴や火災発生という文言を入れることもある)が一般的である。さらに、目標物からの方角と距離を放送したり、消防団の出動についての指示(「◯◯分団は直ちに出動してください」など)を行う場合もある。「防災(市町村名)」とアナウンスしたり、役場名から始まる地域もある[注釈 5]。遠方にある屋外スピーカーからの声が重なって聞き取りにくくなるのを防ぐため、語間を大きく空けてゆっくり話すのが特徴であり、機械音声の場合もある。複数のエリアに分割し、放送区域を時間差で切り替える手法もある(時差放送)。一部の市町村では放送内容を、コミュニティFMやケーブルテレビの自主放送(コミュニティ)チャンネルに提供することもある[注釈 6]

アナログ方式やコミュニティFMでは放送開始前・終了後に、受信機器を操作するための信号が流れるなど、対策が練られている。
移動系

移動系防災行政無線は、防災情報の収集や、他の通信手段が途絶した場合に防災担当者間の情報伝達手段を確保する目的で設置されるシステムである。役場などに設置される基地局、山の上等に設置する中継局移動局(簡単に持ち出しできる携帯型以外に、より大出力の可搬型(半固定型)や自動車搭載の車載型や車から取り外し可能な車携帯型もある)があり、移動局相互間の直接交信も可能である[1][2]

平時・災害時を通じて、加入電話携帯電話が使用できない場面で活用できるよう、数多くの市町村で整備されている。災害発生時には防災関係業務に優先して使用されるが、通常時でも役場・出先機関・現場との事務連絡に活用している自治体もある。

周波数帯はアナログ方式では150MHz帯・400MHz帯を使用している。同報系と同じく規制緩和でMCA無線を使用している地方自治体もあるが、2011年の電波法改正により、150MHz帯と400MHz帯を使用している防災無線局は、デジタル化と260MHz帯への周波数変更が進められている。

災害時には救援活動の連絡手段としてスムーズな運用が出来るよう、相互協定を結んでいる自治体もある。ちなみに被災地では、各自治体専用の周波数ではなく、「全国共通波」という、地方公共団体全てに統一で割り当てられている周波数を使用する。
デジタル方式

2種類がある[10]

π/4シフトQPSK方式 - 伝送速度9.6kbit/s。4スロットTDMAで多重化されているため周波数利用効率に優れ、狭帯域ではあるが比較的高レートの伝送が可能。

4値FSK方式 - 伝送速度4.8kbit/s。多重化されていないため伝送速度が遅いが、回路構成が単純であるため省電力・低価格。受信エリアがπ/4シフトQPSK方式よりも広い。ただし音声以外(サイレン・ミュージックチャイムなど)は劣化し、わずかではあるが遅延も発生する事がある。

テレメーター系

テレメーター系防災行政無線は、降水量・河川水位・地すべりなどの無人観測所と制御局とを結び、データを収集するものである。周波数帯は70MHz帯・400MHz帯を使用している[2]。同報系防災行政無線のアンサーバック機能を利用して、データを収集するシステムを構築している自治体もある。
市町村合併による統合と運用

市町村合併に伴い、システムの統合が進められているが、問題も生じている。設備の老朽化による更新や、デジタル方式へ移行により改善も見られる。

メーカー・システムが異なる設備を使用していた場合、統合運用が困難になる場合がある。特に旧市町村でのメーカー・導入年に大きく差がある場合、制御方式・動作条件や設備の更新時期の違いで問題が発生する。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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